第7話 子どもたちのお小遣い事情
翠の歯科クリニックで歯の治療をブリッジに決めたエビスじいちゃんだが
歯医者の森園の提案により歯科検診とクリーニングを申し込んだ。
今後駄菓子屋の経営を続けていくために体と歯の健康を気遣うことを決心する。
そして来月は健康診断を受ける予定である健康診断の結果にもよるが
現在は歯科医院に歯の治療のため駄菓子屋をその都度休まなければいけなくなる。
解決策として息子の定休日を設けてみてはとアドバイスする。
だが今の駄菓子屋エビスはまだ客足が少ないため突然臨時休業になっても問題ないが
将来どうしていくべきか定休日を設けることを含め検討していく。
まずは歯の治療に専念するべきでこの治療を乗り越えればきっと良いことが待っているはずだ。
でももうすでに閑散としていた駄菓子屋エビスに明るい光が差し込もうとしていた。
翠の歯科クリニックでかつての仕事の部下である本多と再開し
彼の息子が翔吉という駄菓子屋エビスに来客していた男の子だったのだ。
おかげでまた親睦を深めることができ明日翔吉が駄菓子屋に友達を連れてお菓子を買うという約束をしたのだ。
エビスじいちゃんは明日に向けて準備していた。
駄菓子屋で明日の準備をしているエビスじいちゃんを見て息子の理貴も手伝おうとしている。
明日理貴も「オリーブ」で仕事があるのでエビスじいちゃんは理貴を気遣う。
エビスじいちゃん「明日仕事じゃろ大丈夫か?」
理貴「これくらい平気さ」
理貴「あのさ親父今日のこと話しちゃっていいかな?」
エビスじいちゃんが「グニャボヨ」というハードグミで歯を折ってしまったことを「オリーブ」の仕事仲間に話すそうだ。
話題にはなるがエビスじいちゃんにとっては苦い思い出話である。
もうすでに本多にも知られているので理貴が自ら言わずといずれ知られるだろう。
でも逆にみんなは今のエビスじいちゃんのことを知ってもらう機会に繋がるはずだ。
歯の治療中であることを知ってもらえればみんな健康のことを心配し何かしら協力を得られるかもしれない。
この駄菓子屋のことを知って顧客を増やすチャンスと見た。
最初から言われても構わない身ではあったが駄菓子屋エビスのことも伝えてほしいと理貴にお願いする。
エビスじいちゃん「別にいっても構わないが言うんだったらここの駄菓子屋のことも行ってくれんか?」
理貴「もちろん言うぜ。けどもう玉井店長には教えてあるんだぜ。駄菓子屋やってること」
すでに玉井店長にはお菓子の買い出しの時に駄菓子屋エビスのことを話している。
本人も余裕があればいくそうだがら自然とそのような話題ができて広がっていくはずだ。
エビスじいちゃん「今だからじゃ!しつこく言わんと忘れる」
鉄は熱いうちに打てであり話題性があるうち話しておくべきだ。
時間経つうちに忘れられることもある。
できる範囲で協力すると言ったが玉井店長は店長の立場として「オリーブ」の仕事で手一杯になるかもしれない。
好機を逃さず目を輝かせているエビスじいちゃんはどこか落ち着きがなかった。
それほどエビスじいちゃんは駄菓子屋経営に対して熱意を持っている証拠である。
昨日来てくれた子供のお客さんがエビスじいちゃんの心を動かしたのだろう。
キリのいいところで作業を終わらせて就寝した。
朝6時になり先に起きた理貴が朝ごはんの用意をする。
今日の理貴の勤務は中(勤務時間9時から17時)なので午前8時に仕事へ行くつもりだ。
また理貴はお昼の弁当を作るついでにエビスじいちゃんのお昼ご飯を作っている。
午前7時にエビスじいちゃんも起きてきた。
エビスじいちゃん「おはよう」
理貴「おはよう親父」
昨日スイッチが入ったようにはりきっていたがそれと比べて今日は起きたばかりなのがスイッチがオフになっていて、くだけた感じだ。
白髪が目立つような寝癖で目を細くしてまだ眠たそうな表情している。
明日が待ち遠しくてこうして眠れないかと思いきやいびきをかいてぐっすり寝ていた。
良くも悪くもこれがいつも通りだ。
働いていた頃と比べて緊張感みたいなのがなく落ち着いている。
エビスじいちゃんは洗面所で顔を洗いうがいしてそのあとリビングの畳に座った。
頭がまだ回っていなさそうなので今日の予定を忘れていないか理貴は聞いてみた。
理貴「今日何するか覚えているよね?」
エビスじいちゃん「ん〜?なんじゃったけな〜」
とぼけたような顔で首を傾げて今日やるべきことを忘れているかのようだ。
理貴「ほら、昨日歯科医院言ったでしょ」
エビスじいちゃん「うん行ったのう〜痛かった〜」
歯科医院に行ったことは覚えているようだ。
マイナスな記憶ほど人の脳は覚えやすく歯の治療はエビスじいちゃんにとってはトラウマの体験として頭に残りやすい。
理貴「そこで誰かとあったよね。」
エビスじいちゃん「お〜そうじゃそうじゃ誰かとあったのう〜その子の名前なんじゃったかな?」
頭を小刻みに上下するが、昨日の出来事は覚えていても
今日の午後駄菓子屋に来てくれる子供の名前が出てこない。
理貴「えっと誰だっけ?」
エビスじいちゃん「理貴も名前がでんじゃろが!」
エビスじいちゃん「まったくわしを認知症扱いしおって!」
理貴「いやそこまでいってないだろ〜それにその子とは一度も顔を合わせてないし〜」
理貴「あ〜でも悪かったよ〜」
物覚えが悪くなりつつあるエビスじいちゃんだが年を重ねるごとに記憶力が衰えていくのは仕方がないことだ。
だからと言って認知症だと決めつけるのはいかがなものか。
理貴はそんなつもりではなくただの誤解である。
けれどもこれは少しでもエビスじいちゃんの記憶力が衰えないように頭の体操としては働きかけをしようとした理貴のちょっとした気遣いだ。
そのようなことはエビスじいちゃんも理解していてこうやって彼なり大げさにいっているだけなのだ。
駄菓子屋経営はその日その日の売上で一喜一憂するほんの趣味程度の扱いでもどうでもいいが
昨日のように商売魂を燃え上がらせて本気で駄菓子屋に向き合うエビスじいちゃんの姿を尊重し支えていきたいという思いだ。
顧客リストを広げて誰がくるのか確認する。
エビスじいちゃん「そうじゃ本多じゃ!翔吉君が来るんじゃったな!」
顧客リストで本多翔吉の名前を指を指す。
彼が友達を連れて午後駄菓子屋エビスに来る予定だ。
朝食を食べてエビスじいちゃんは駄菓子屋の準備に取り掛かった。
時を同じくして本多家。
目覚まし時計が鳴り響きカーテン越しから光が漏れてその眩しさと目覚ましの音がベッドで横になっている翔吉の目を覚まさせる。
目覚ましの時計の音を消して目をこすり時間を確認する。
目覚ましの時計の設定通り午前7時だとわかる。
翔吉はベットから降りてそのまま家の廊下を歩いてリビングに入った。
リビングでは足を組んでソファに座ってスマホを眺めている父とその奥の台所で朝ごはんを作っている母の姿が見える。
翔吉の父は星川家の理貴と同じくスーパーマーケット「オリーブ」の従業員で勤務は中である。
翔吉の父と母「おはよう」
翔吉「おはよう」
翔吉は椅子に座って母の作る朝食を待っていた。
翔吉の母「できたわよ。」
テーブルに母の作ったベーコンエッグが置かれた。
父もソファからテーブルの方に来て椅子に座った。
翔吉と父「いただきます。」
数分後食事を終えて自分の部屋に戻ろうとする翔吉に父は引き止める。
翔吉の父「翔吉、はいこれ」
翔吉の父「星川店長の駄菓子屋の件よろしくな」
父は財布から1000円札を取り出して息子の翔吉に渡した。
これが駄菓子屋エビスでお菓子を買うための資金だ。
翔吉の母「なに?翔吉にお金なんか渡して」
翔吉の父「え〜とこれはだな…」
翔吉の母「ふ〜ん」
母に事情を話した父。
母は父が翔吉にお金を渡した理由を聞いてうなずくがあまり興味はなく別のことを思いつく。
翔吉の母「そういえば。昨日給料日だったじゃない。」
同じく理貴が働く「オリーブ」の従業員のため昨日が給料日だ。
昨日本多家は翔吉の歯の治療を優先するためお金をおろすのは後日となった。
母は仕事に行く前にお金をおろしてくるようにと命令されて父は通帳を持って銀行へ行った。
翔吉「ということは!」
翔吉は目をキラキラ輝かせている。
父の給料日の当日か後日にお小遣いを貰うので翔吉は追加でお金がもらえるのではと期待する。
期待という星が翔吉の目の奥を輝かせ視線を母におくるが対して母は冷めたい表情を向けてくる。
翔吉の母「なんのことかしら?」
翔吉「なんのことって?それはいつものお小遣いだって決まってんじゃん!」
翔吉の母「もう貰ったじゃない」
翔吉「へ?」
母は翔吉が持っている1000円札に指差した。
これが翔吉のお小遣いということだ。
翔吉「え〜これ!?」
翔吉の母「そうよ」
父からいただいた1000円が翔吉のお小遣いとなるのだが翔吉は驚きながらも不満そうだ。
いつもなら3000円ぐらいは貰っているのにたったの1000円では全然物足りないのだ。
翔吉はお小遣いが少なすぎると抗議する。
翔吉「これじゃ少ないよ!ほらこれみて!!」
翔吉「いつも3000円でしょ!!なんで1000円だけなのさ」
父が翔吉にお小遣いをあげる日のことを覚えていれば1000円だけ渡すはずがない。
おそらく父の財布の中には1000円札1枚しか入っていなかったと推測する。
もしかしたら母は3000円を貰っているのだと勘違いしているかもしれない。
翔吉は嘘偽りなく1000円札が1枚しかないと母の目の前で見せる。
それに気づいてくれれば追加分はもらえなくてもいつものように同額3000円がもらえるだろうと思っていた。
翔吉の母「本当ね。1000円しかないわね。それが?それでいいんじゃないの?」
翔吉「え?だからなんで1000円だけなのさ」
1000円だけなのかと理由を聞く翔吉であり納得しない様子だ。
それに面倒くさそうな顔をする母。
翔吉の母「お父さんの財布には1000円しかなかったってことじゃない?」
翔吉の母「あ!つまりよ!」
ひらめいたかのように母の頭上に電球が浮かぶ。
翔吉の母「翔吉の歯の治療費が2000円だったから元からお父さんの財布の中には3000円あったと仮定すれば…」
翔吉の母「おこづかいは1000円であっているじゃない!うん!解決!」
仮設を立てて合点がいったのか母は自己解決して勝手に満足している。
翔吉「なんだよその理屈〜」
翔吉「でも父ちゃんお金おろしにいったじゃん」
銀行へ父がお金を引き出しに行ったので父の財布の中のお金は補充されるので
その分翔吉の方に足りない2000円分を渡す余裕ができる。
しかし母は機嫌が悪そうで腕を組んでいる。
翔吉の母「あんたがお金持ったってしょうがないでしょ。使うとこあんの?」
翔吉「お菓子とかゲームとか」
翔吉の母「それだけでしょ?習い事や稽古とかするわけでもないし」
翔吉の母「今虫歯治しているところでしょ?」
使いみちを聞かれればお菓子とゲームしかない。
翔吉の瞳の奥に期待という星の周りに絶望と諦めのつぶてが集まる。
小学生である今の翔吉には1000円で十分であるということである。
歯の治療中ということもありお菓子を買うのは間が悪い。
もちろん風邪を引いてしまったなどの治療費や習い事をするとかの資金なら惜しまず金を出すそうだ。
翔吉「たったの1000円でどうやって生きてきゃいいんだ!」
翔吉の母「それを言うのはまだ早い!身の程をわきまえなさい!」
翔吉の母「生活のためには贅沢できないのよ」
翔吉の母「もう学校へ行く時間じゃないの?早く学校へいきなさい!」
翔吉「は〜い」
息子とのお小遣い論争には付き合わず翔吉を学校に行かせた母。
母にとって優先すべきは生活費なのだ。
本多家の財布は母が握っている。
父も母に頭が上がらずお小遣い制となっている。
翔吉は落胆しソンビのような気が抜けたような歩き方で学校へと向かっていた。
慎吾「おはようショウ」
和河也「おーす!」
翔吉「おう!シン、ワカ!」
登校中に慎吾と和河也と合流し三人で学校で登校した。
慎吾「昨日歯医者行くって言ってたけど虫歯は全部治ったのか?」
翔吉「まだ虫歯が2個残っている。」
和河也「貴様もあのスパイラルドリルの巣窟を抜けることができたか」
翔吉「ああ並大抵の人間ではあの巣窟を超えることはできない」
翔吉「だが俺は余裕だったぜ!」
漫画やアニメの世界を持ち出してファンタジーチックに話しをする翔吉と和河也に慎吾は深く溜息をした。
余裕と翔吉は言っていたが歯の治療費の当日は顔を赤くして泣いていた。
そんな恥ずかしいこと友達の前では言えない。
和河也も虫歯ができてしまい歯科医院に言って治療を受けた経験がある。
やっぱり彼も翔吉と同じく怖がりであった。
慎吾は虫歯を1つもできてしまったことはなくちゃんと歯磨きをしていて二人よりもしっかりしている。
校内に入り3年1組教室に入って着席した。
3年1組は五人しかいないため机が前列の5台しか置いていない。
奥の窓側の席が翔吉でそこから楓、慎吾、日葵、そして和河也が教室の出入り口側の席になる。
翔吉は昨日翠の歯科クリニックでエビスじいちゃんで会ったことを話す。
和河也「へえ〜エビスじいちゃんは大商人からレベルをリセットして見習い商人になったんだ〜」
楓「エビスじいちゃん?」
後から教室に入ってきた楓と日葵は翔吉たちが駄菓子屋エビスの話をしていたので会話に参加する。
昨日もエビスじいちゃんの駄菓子屋の話をしていたが今日も引き続き同じ話題になった。
楓と日葵は、エビスじいちゃんが「オリーブ」の店長だったことは初耳である。
楓「エビスじいちゃんってすごい人だったんだね!」
楓「確か日葵のお母さんも「オリーブ」で働いているんだよね。」
日葵「うん。星川店長がエビスじいちゃんだったなんて驚きだよ。」
日葵の母も「オリーブ」で働いていて星川店長のことをよく話していたがまさかその人がエビスじいちゃんだったとは知らなくてびっくりしている。
慎吾「でもなんで駄菓子屋なんて始めんたんだろ?」
楓「え?知らないの!?エビスじいちゃんの奥さんの夢を叶えるために始めたのよ」
楓は翔吉たちにエビスじいちゃんが駄菓子屋を始めた経緯を話した。
和河也はそれを聞いて感動する。
和河也「いい話だ…感動する〜」
最初にエビスじいちゃんの駄菓子屋に入ったのは和河也であり一人目の客であった。
和河也「それ聞いちゃったからにはなんとかしてあげたいね。」
慎吾「う〜ん気持ちわかる。」
楓「同感ね。だって日葵、あそこで2000円以上もお金使っちゃったもんね。」
日葵「それは言わないでよ!もう〜!」
顔が赤くなり恥ずかしそうに日葵は両手で顔を覆い隠す。
和河也「でもわかるよ!ゲームで売れてなさそうな小さなショップ見つけたらなんか余計にアイテムを買っちゃうあれだね!」
翔吉「うん!うん!でさでさ!そこで高値でレアアイテムを売ろうとするとなんか罪悪感出るよな!」
和河也「わかるわかる!レアアイテム売ったらあ!ごめんっ!てリセットしちゃうだよね!」
慎吾「なんの話してんだお前ら…」
事情を聞いたからにはなにかエビスじいちゃんの力になりたいと思っている五人。
自分たちにできることはないか考えたが結局行き着くのはお菓子を買うことである。
翔吉「俺今日帰りエビスじいちゃんの駄菓子屋でお菓子買う予定なんだ。」
慎吾「でも金あんのか?」
翔吉「そんなこともあろうかとジャーン!」
翔吉は立って足を開いて両手で1000円札を掴んで慎吾に見せる。
父からお小遣いを貰ったという。
翔吉「お菓子奢ってやるよ」
和河也「やったぜ!」
慎吾「まああの日ほとんど俺とワカが金出したからな。」
エビスじいちゃんのお菓子を買ったのは一昨日のこと、エビスじいちゃんはまけてくれてお菓子3つで合計300円にしてくれた。
三人で金を出し合ったが翔吉は30円しか出せなかった。
だから慎吾と和河也のいずれかが100円以上で最高170円を支払ったことになる。
だが二人はいくら出したかわかっていて和河也が所持金を開示していて150円持っていた。
和河也が所持金を全て出したので慎吾は120円支払ったことになる。
翔吉「シンとワカは金あるの?」
慎吾「いま手元にないけど財布の中はお菓子買ったときから何も変わってない。」
和河也「こっちはゼロだぜ。」
二人はほとんどのお金を持っていないようだ。
翔吉「俺の父ちゃんの仕事の給料日が昨日だったからお小遣い貰ったんだけど」
翔吉「シンとワカは貰わねえのか?お小遣い?」
慎吾「ショウの家、お小遣いは給料日に貰うんだな」
翔吉「え?そっちは違うの?」
慎吾「俺の場合は欲しい物があるって親に言ってテストの結果次第でいくら貰えるのか決まる。」
慎吾「あとたまに買い出しの時に余ったのを少し貰うくらい。」
和河也「僕はクエストをクリアしないと報酬として貰えない。」
翔吉こと本多家のように給料日当日か後日にお小遣いが貰えるというわけではなく
家庭によってお小遣いをあげるタイミングはそれぞれ違うようだ。
和河也の言うクエストクリアとは家事の手伝いのことである。聞くと単価は10円から100円ぐらいである。
欲しいゲームやおもちゃがある場合は別途お金を出して買ってくれるそうだがテストの結果がよくないと買ってもらえないらしい。
だから慎吾と和河也はいつもテストで80点以上の高得点をキープしているのはそういった理由があるからだ。
家事のお手伝いをするのもお小遣いを貰うのも有効な手段だが
勉強を頑張りテストの結果次第でお小遣いを貰ったほうがより多くのお金を得られることができる。
給料日以外でお小遣いを貰う手段はざっくり以上の2点である。
楓と日葵にも聞いてみたら同じような返事だった。
結局子どもたちはみんな親の収入からお小遣いをいただいているのには変わらない。
和河也「ショウは一度に1000円もお小遣いが貰えるなんて羨ましいな〜」
日葵「いいな〜」
翔吉「へへどうだ羨ましいだろ〜」
楓「だからあんたは私達より点数が低いのよ!」
ある金融機関の調査では小学生のお小遣いの平均はだいたい1000円ぐらいである。
朝、翔吉に対して厳格だった母だがああ見えてちゃんとお小遣いを出してあげているのだ。
みんなのお小遣い事情を知ることができたが現時点で一番お金を持っているのは翔吉である。
しかし1000円だけでは心細い。
お菓子以外にだって趣味でお金を使うし少ない資金でやりくりしている。
お菓子を買うことこそがエビスじいちゃんの駄菓子屋の支援につながるが大きな支援にはならない。
翔吉たち五人だけでは限界がある。
日葵「う〜んどうしようか…わたしたちだけじゃね…」
楓「よし!こうなったら他の学年の子たちに声を掛けましょう!」
日葵「ちょっと待って!楓ちゃん!」
楓は少しでもエビスじいちゃんの役に立つため他の学年の生徒に協力を得るそうだ。
果たしてうまくいくのだろうか。
続く
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