駄菓子屋じいちゃんエビス

第5話 グミの悲劇

かつての職場を懐かしみ今のスーパーマーケット「オリーブ」を知れたエビスじいちゃん。
食卓用の食材も含め駄菓子屋のお菓子を買って実家へ戻り
早速グミ菓子である「グニャボヨ」をエビスじいちゃんは味見したのが歯が折れてしまった。
突然のハプニングに理貴も驚いてしまう。


理貴「どこが折れたの?」
コップを取り出し台所の洗面所の蛇口を捻りコップに水いっぱい注ぎティシュペーパー一枚と一緒にエビスじいちゃんに渡した。
理貴はエビスじいちゃんの歯のどこが折れたのか聞く。
エビスじいちゃんは理貴から貰ったティシュペーパーにグミと欠けた歯を吐き出した。
ちょっと血が混じっていた。
水が入ったコップを持って洗面所の前に立って水で口をゆすいでうがいした。
エビスじいちゃん「ここじゃ」
ニっとした顔で悲しい表情を浮かべながら折れた歯がどこか指差しながら理貴に見せた。
折れたのは上顎の左の犬歯のようだ。
「グニャボヨ」というグミ菓子はハード系で固いグミなのだがエビスじいちゃんの歯で噛み切れないぐらい固く
元から歯が弱かったことも起因し折れてしまった。
グミで歯が折れてしまうことは不思議ではなく特に固いハードグミなどは粘着性も合わせて歯が欠けたり折ってしまうケースがある。
パッケージの裏などに粘着性のある菓子には歯科治療材が取れる場合があると注意表記がされているのもあり
歯が折れてしまう危険性も示唆された注意書きもある
エビスじいちゃん「はあ〜こんなことになるとは」
エビスじいちゃんは歯が折れた箇所を舌で舐めている。
血の味がして、欠けた先端が少し尖っていてチクチクする。
エビスじいちゃん「あ〜昼飯はどうするうぅ〜」
これから昼飯なのにその矢先で歯が折れてしまうのは心許ない。
理貴「昼はうどんにする?」
理貴は昼はうどんにしてみないかと提案にする。
冷蔵庫の中身を見てうどんパックがあったのでうどんにしてみようかと思った次第ではあるが
うどんなら柔らかくて消化にいい食べ物である。
エビスじいちゃん「それにするかのう…」
理貴「味噌汁が冷蔵庫に残ってるからそれを使うか」
夕食のワカメと豆腐の味噌汁が残っているらしくそれを味噌汁うどんしてリメイクするそうだ。
余った味噌汁で昼飯のうどんにするのは節約になり家計にも優しい。
多分エビスじいちゃんの歯が割れなくても冷蔵庫を覗き込んだら
味噌汁が残っていたので味噌汁うどんにしようと思いつき昼飯の選択肢の候補に入っていたはずだろう。
理貴「今から歯医者に行ってくれば?」
エビスじいちゃん「そうじゃな、このままじゃまずいしな。」
また理貴は歯科医院に行くことを提案する。
時間を確認したところ午前11時である。
12時になれば休憩時間に入ってしまう。
すぐに治療できなくても予約だけでも取りたい。
欠けてしまった歯をそのまま放置してはいけないだろうし
大事な歯がなくては楽しい食事もお菓子も食べられなくなってしまう。
昼飯づくりは息子の理貴に任せてエビスじいちゃんは家を出て自転車に乗って歯科医院へ向かった。
星川家から歯科医院まで約2kmぐらい離れたところにあり
自転車で行けば約10分程度で到着できる。
エビスじいちゃんが戻ってくる間に味噌汁うどんを作ってすぐに食べられるようにしておきたい。
理貴は買ってきた食材の整理を再開し、どのような味噌汁うどんを料理していくか考えていた。
できるだけエビスじいちゃんの歯に優しい料理にしたい。
先ほど買ってきた食材と冷蔵庫にある食材を見て選定する。
理貴「今日の夕飯キムチ鍋にすることになったけど大丈夫かな?」
理貴は「オリーブ」で買ったキャベツを手に持って冷蔵庫の中に入れた。
キャベツには芯や葉脈など固い部分がある。
キャベツの固い部分は食べられないんじゃないかと心配する。
理貴「まあ茹でれば大丈夫だろう。」
理貴「でも今日はキムチ鍋にすんのかな?」
キャベツの外側と内側の葉は柔らかいのでエビスじいちゃんでも食べられるはずだ。
また茹でたり調理法によってはある程度は柔らかくなる。
夕飯の食材にキャベツを入れるようだがキムチ鍋にするのかはわからなくなった。
キムチ鍋の辛みが欠けた歯に染みてしまわないのか気になってしまう。
予定通りキムチ鍋にするか普通に野菜鍋にするかは歯科医院で診察とエビスじいちゃんの気分次第である。
理貴「豆腐をちょっと増やして、もやしも足そうかな~いやどうすっかな」
昼飯の味噌汁うどんに食材を足すのか迷っている理貴。
もやしやその他の食材も夕食の方に回したいそうだ。
IHクッキングヒーターの電源を入れその上に味噌汁が入った鍋を置いて加熱しおたまでかき混ぜる。
理貴「昨日経営にも引き算が大事って俺言ってたな!」
理貴「なら料理にも引き算が大事ってことだよな!」
理貴「足すのはうどんだけにしてテキトーに味付けすればいいか。」
今回の味噌汁うどんは夕食の残りの味噌汁のまま調味料で味付けしてうどんを茹でて入れるだけにした。
味噌汁の具材は豆腐とわかめと玉ねぎそしてうどんだけである。
どれも柔らかい食感なので午前中に歯の治療ができなかったとしてもエビスじいちゃんなら食べられるはずだ。
下手に食材を足して食べづらくさせてしまうこともあるので理貴の考えは賢明かもしれない。
しかし今の考えが引き算の発想で生まれた考えなのかは理貴のみぞ知る。
結局足そうと思っていた食材を夕食に回したかっただけのことである。
家の台所で一人、料理している理貴はふと考え込む。
理貴「いつかは…親父も」
父のことを考えて料理しているが、いつかは父もいなくなって一人になる時がやってくる。
一人家の台所で料理しているこの空間が父のいない未来を映し出しているかのように見えた。
時間はかかったが母の死を受け入れ立ち直れたが順序的に考えても次いなくなるのは父である。
もちろん理貴は一人暮らしをした経験もあるが再び大切な人がいなくなる孤独や悲しさに耐えられるかわからない。
父の歯を折ったグミの悲劇が星川家の将来の行く末を案じるきっかけになった。
父の歯の状態だけでなく健康のことも気になってきた。
せめて末永く生きてほしいと理貴は思っている。
今日の夕飯はキムチ鍋か違うものになるかわからないが健康によくて栄養満点の料理にしようと考えている。
食材たちに父の健康を授かってくれるよう心の中で祈った。


エビスじいちゃんは風を切りながら自転車を漕いで歯科医院に向かっている。
欠けた歯の痛みがジンジンしている。
その痛みに耐えながらただひたすら歯科医院へ向かう。
エビスじいちゃん「ふう~ついた」
歯科医院に到着したエビスじいちゃん。
建物は15坪ぐらいで白くて四角く回りはお花や木々に囲まれている。
名前は翠の歯科クリニックである。
駐輪場スペースに自転車を置いてゆっくり恐る恐る入って行く。
エビスじいちゃん「う~正直歯医者行くのは嫌じゃのう~」
エビスじいちゃんも歯科医院に行って何度が歯の治療を受けた経験があるそうだが未だに苦手意識はあるようだ。
これからもおいしい食事やお菓子を楽しむためにも背に腹は代えられない。
入り口は自動ドアでそして自動ドアが開く音がして気づいてエビスじいちゃんに目を向ける窓口のスタッフ。
窓口のスタッフ「いらっしゃいませ」
もう後戻りはできない。
覚悟を決めて奥へ入り窓口のスタッフの前に立つ。
窓口のスタッフ「予約はお済みでしょうか?」
エビスじいちゃん「いえまだです…」
窓口のスタッフ「かしこまりました。では診察券はお持ちでしょうか?」
エビスじいちゃん「診察券?はいえ〜と」
以前エビスじいちゃんはこの翠の歯科クリニックで歯の治療を受けている。
だから診察券も持っているはずだ。
エビスじいちゃん「ちょっと待ってください!あ〜整理しておくべきじゃった〜」
財布の中から翠の歯科クリニックの診察券を探すが紙幣やレシート、ポイントカードが乱雑されていてなかなか見つけられない。
財布の中のものを全て取り出して焦っていたがなんとか診察券を見つけ出し窓口に提示した。
また本人確認できるものなども提示し運転免許証かマイナンバーカードを見せた。
窓口のスタッフ「お名前フルネームでまたお電話番号をお願いします。」
エビスじいちゃん「星川健仁です。」
名前を言った後、スマホの設定を開いて電話番号を確認しそれを窓口のスタッフに言った。
エビスじいちゃん側からでは窓口のスタッフが何をしているがわからないがきっと認証作業をしているのかもしれない。
翠の歯科クリニックの患者にエビスじいちゃんの情報が登録されているのを確認される。
窓口のスタッフ「はい、星川様本日はどうなさいましたか?」
エビスじいちゃん「歯が欠けてしまって…」
エビスじいちゃんは包んであるティッシュを広げて欠けてしまった歯を見せた。
窓口のスタッフ「これはいつ頃から?今痛いですか?」
エビスじいちゃん「今日こうなっちゃったばかりで痛いです…」
事の経緯を窓口のスタッフに話した。
心配そうな表情で窓口のスタッフは時間を確認する。
窓口のスタッフ「すいません、休憩時間に入りますので営業は午後から再開になります。」
窓口のスタッフ「まだ営業時間ですので時間過ぎても手術に取り掛かることができますが今空きがない状態です。」
エビスじいちゃん「あ〜う〜そうか〜」
翠の歯科クリニックの午前の営業は11時45分までで再開は午後14時からである。
現在時間は11時20分であり、この時間帯なら多少時間が過ぎても手術することは可能なのだが
もうすでに午前予約の患者で埋まっていて、予約は午後からになってしまうようだ。
エビスじいちゃん「午後から予約を取ります。」
窓口のスタッフ「本日午後からの予約になりますと17時からになりますがよろしいでしょうか?」
エビスじいちゃん「え…てことは午後5時から?」
窓口のスタッフ「はい」
営業開始時間の14時になっても午後も他の患者で埋まっているらしくエビスじいちゃんが受信できるのは早くても17時からになってしまうようだ。
エビスじいちゃん「う〜ん」
他の歯科医院を探すか悩んだが最寄りの歯科医院はここしかないし、見つけてもまた予約がいっぱいで入れなかったり営業時間外かもしれない。
エビスじいちゃん「17時に予約を取ります…」
窓口のスタッフ「かしこまりました。これをご記入ください。」
ということでここの歯科医院で治療を受けることに決めた。
そして窓口のスタッフから紙が1枚挟んであるバインダーを渡された。その紙は問診票である。
午前中に問診票を書くようにお願いされた。
診察前の情報収集と言ったところだろう。
待ち時間の有効活用にもなり午後の診察開始直後に問診を行う手間が省ける。
エビスじいちゃん「とほほ…みんなも大変じゃな」
17時まで我慢するしかないがここまで予約が埋まっているのを知り歯のことで悩んでいるのはエビスじいちゃんだけじゃないと思い内心ほっとしている。
問診票の記入を済ませて窓口に提出した後欠けた歯も預かってもらった。


翠の歯科クリニックを出て自転車で帰り星川家に戻ったエビスじいちゃん。
理貴「おかえり親父どうだった?」
エビスじいちゃん「午前中は予約でいっぱいで午後からになったんじゃが17時になるみたいじゃ」
理貴「行ったのって翠の歯科クリニックだよね?」
エビスじいちゃん「そうじゃ」
理貴「俺も前に虫歯治療でお世話になったな。」
理貴も翠の歯科クリニックで虫歯治療を受けたことがあり診察券も財布の中に持っている。
エビスじいちゃん「理貴も歯は大事にせんとな!」
理貴「言うのはこっちのセリフだな。」
理貴「けどやっぱり歯医者は行きたくないな〜麻酔とか痛いし」
エビスじいちゃん「あ〜わしもあのキューイン!って音が苦手なんじゃ」
親子揃って歯医者が苦手のようで歯の治療を受けた苦い過去を思い出しなから話していた。
理貴「とりあえず今日予約てきてよかったね。」
理貴「もう昼飯はできているよ。」
エビスじいちゃん「おう早速飯にするか!」
リビングのテーブルの真ん中にプレートを置きその上に鍋を乗せた。
今日の昼飯は味噌汁うどんである。
歯が欠けてしまったエビスじいちゃんのために作ったのだ。
理貴「これなら食べられるんじゃない?」
エビスじいちゃん「うん、これなら食べれるありがとう。」
まだ欠けた歯の箇所が痛むので噛み合わせないように慎重に食べるようにした。
なんとか昼飯を済ますことができた。
話し合いの結果、キムチ鍋を作ることに決まった。
料理するのはもちろん理貴であり早く戻ればエビスじいちゃんも手伝うそうだ。
洗面所で食器を洗う理貴はエビスじいちゃんの健康について話す。
理貴「大丈夫か親父?」
エビスじいちゃん「おうまだわしは生きておるぞ」
理貴「健康診断行ったら?」
エビスじいちゃん「あ〜そういうことか、去年は行かなかったな。」
エビスじいちゃん「最後に受けたときは異常はなかったぞい。」
正社員だったときは会社が負担してくれて健康診断を受けており結果はひとまず良好だった。
しかし退職して以来健康診断を受けていない。
年金暮らしという位置づけにエビスじいちゃんはいるが健康診断を受診する場合は保険などで減額されるがそれでも自己負担になる。
理貴「健康診断も行ってきてよ。俺が金だすから。」
エビスじいちゃん「それはありがたいのう〜」
理貴「まあなんていうか、親父には末永く生きてほしいから…」
人差し指でほっぺを上下に優しくこすりながら照れくさそうに
父であるエビスじいちゃんを理貴は身を案じている。
今のところ異変や体に目立った不調は見受けられない。
「オリーブ」で見せたたくましき商売魂の健在さが健康である証である。
エビスじいちゃん「うむ、駄菓子屋を始めたばかりじゃからな。」
エビスじいちゃん「経営も体が資本じゃな。」
歯の健康状態に伴い体の健康についても気を遣わないといけないと本人も気付く。
駄菓子屋経営を続けるには体の健康と丈夫さが大事なのだ。
息子の言葉をすぐに受け止めたエビスじいちゃん。
エビスじいちゃん「来月健康診断でも行くか。年金も入るし」
理貴「うんそれがいいよ。」
エビスじいちゃん「じゃがその代わり、来月も仕送りじゃぞ」
理貴「ああ!全然安いほうだ。」
来月年金が受給されるため健康診断の自己負担をそこに充てるということらしい。
こうして来月はエビスじいちゃんが健康診断を受けるということだから理貴も安心している。
来月も仕送りを頼まれたが父の健康のことを考えれば安いものだろう。
エビスじいちゃん「金のことは心配すんな。貯金だってちゃんとある。」
いざっていう時の生活防衛資金もあり
老後のための貯金も堅実にためていたそうで妻の恵美須との旅行のための資金もそこに含まれていた。
またエビスじいちゃんは息子の理貴のために貯金を残しておく考えである。
理貴「来月は行ってきてね。異常がなくても良かったって言いたいんだ。」
健康診断を受けて結果に異常がなければ「良かった…」という一言さえ言えれば心配事は解消される。
もし異常見つかればすぐに治療してもらえれば生存率は上がる。
なによりも父には健康でいて長生きほしい。
そして駄菓子屋も長く続けてほしい。
そのため理貴も全力で父を支え応援していく姿勢だ。


理貴はあるダンボール箱をエビスじいちゃんに渡した。
中に入っているのは駄菓子屋で売るためのお菓子である。
代わりに理貴が整理してくれたのだ。
ほとんどグミ菓子でエビスじいちゃんの歯を折ったハードグミの「グニャボヨ」に目が行く。
さらにエビスじいちゃんが1つ開けた「グニャボヨ」の袋を渡した。
しかしもうこの「グニャボヨ」を食べる気はない。
開封された「グニャボヨ」のパッケージを持ってそれをにらみつけるエビスじいちゃん。
エビスじいちゃん「おぬし!何がグミじゃ!わしの歯を許さん!」
手に持った「グニャボヨ」のパッケージをテーブルに置いてグーで叩きつけた。
しかしグミの弾力で反発し衝撃が吸収された。
ハードグミの「グニャボヨ」の耐久性をエビスじいちゃんを身を持って味わった。
エビスじいちゃん「ぐぬぬぬぬ〜」
理貴「八つ当たりしてもダメだよ。」
理貴「でもそのおかげで歯の健康を見直すきっかけになってくれたんだからいいんじゃないの?」
そう指摘する理貴。
歯の健康状態が元から悪かったなら「グニャボヨ」というグミ菓子がそれを教えてくれたのかもしれない。
いつかこの悲劇が歯の治療を経て喜劇にも笑劇にも変えられるようになり
そんな話が駄菓子屋エビスの良い思い出になるはずだ。
だが今はエビスじいちゃんは不機嫌そうである。
今度は理貴が開封された「グニャボヨ」のパッケージを手に取りその中からグミを1つ出して
エビスじいちゃんの目の前で口に入れた。
理貴「うん!うん!かなり弾力があって噛みごたえがあるな〜」
理貴「こんなうめえもんが食えないなんて勿体ないな〜」
エビスじいちゃん「ふん!グミなんかガキどもにくれてやるわい!」
エビスじいちゃん「今日は駄菓子屋休みじゃ!」
エビスじいちゃんはリビングへ行き座布団を畳んで枕代わりにして寝そべり
リモコンでテレビの電源をつけて面白い番組はないかチャンネルを切り替えていた。
気分を悪くしてしまったのか今日の駄菓子屋は臨時休業になった。
今は歯の治療に専念したほうがいいだろう。


16時半になったのでそろそろ歯科医院に行く頃だろう。
エビスじいちゃん「はあ〜もう時間になったか‥」
理貴「頑張れ親父」
エビスじいちゃん「おう‥」
エビスじいちゃんは自転車に乗って翠の歯科クリニックに再び向かい理貴がそれを見送る。
到着したエビスじいちゃんは気を引き締めて翠の歯科クリニックに入り窓口で診察券と身分証明そして本人確認を済ませチェックインした。
エントランスに置いてある椅子に腰掛けて自分の番が来るのは待った。
その時、40代ぐらい男性がエビスじいちゃんに声をかけてきた。
「星川店長ですか?」
エビスじいちゃん「あ!本多か!」
本多「はい!本多ですお久しぶりです。」
本多「オリーブに午前中来ていたんですね!玉井店長から聞きましたよ!」
本多「今日は私、勤務は前だったんです。」
エビスじいちゃん「なるほど。んでその後ここに寄ってきたということか。」
エビスじいちゃん「こんなところで会うとはのう〜お前さんもしかして歯悪くしたか?」
本多「いえいえ、息子が虫歯でしてその付き添いできました。」
エビスじいちゃんに声を掛けたのは「オリーブ」の従業員の本多でありかつての部下である。
本多は息子が虫歯らしく治療のため付き添いで来たらしい。
ちょうどシフトが前で勤務時間が午前7時から午後15時までなのでこうして息子を連れて翠の歯科クリニックに来ることができたのだ。
エビスじいちゃん「そうか息子がいるって聞いてな。」
本多「もう小学3年生です。」
本多「そろそろ戻ってくる頃だった思います。」
本多が息子がいると話を聞いているが彼の息子にまだ会ったことがない。
本多の息子に会うのを楽しみにしていたエビスじいちゃん。
あわよくば駄菓子屋エビスを紹介しようと思っている。
本多の息子が手術室から出てきた。
手術室からでた男の子に見覚えがある。
翔吉「うえ〜ん痛かった〜」
エビスじいちゃん「あ〜!おぬしは!」
翔吉「あ!昨日のエビスじいちゃん!」
本多の息子は昨日駄菓子屋エビスに来てくれた客の翔吉であった。

続く

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