第28話 計画変更
長沼はアミュ真仙教の内部資料を警察に渡すことができ見事最重要任務を果たした。
これによりアミュ真仙教の目的や活動内容、メンバーなど組織の規模が浮き彫りとなり全貌が明らかとなる。
そして川代たちが捕まって隔離されている監禁所の住所もわかり千葉県の我孫子市にあるようだ。
警視庁と千葉県警は人質を救うため我孫子市に向かう準備をする。
捜査は大きく進展するがこれも花が急な心変わりをしたからだ。
林の優しさによって感化されてしまったのだろうか。
一方で滝川は花の存在が不都合であると気づく。
滝川と山本は2階で花の事について話していた。
花を排除してほしいとの相談だった。
山本「俺が土屋を殺せということか」
山本「それはできないんじゃないか?」
滝川「ほう…なぜ?」
山本「忘れたのか?規則を」
山本「仲間同士で危害を加えることは禁止されているはずだ。」
アミュ真仙教にも規則があるらしくその規則に応じ仲間同士で危害を加える行為は禁止されているため
花を殺害してほしいという滝川の要求には応えられないそうだ。
滝川「君もわかっていないそうですね。」
滝川「アミュ様の意思に背く行為は、または計画を妨害する行為をするものは処罰しなければならない。」
滝川「土屋さんはアミュ様以外の好意を抱いていてさらには計画を妨害しようとしてきている。」
滝川も言い返し上記の通り花は規則違反をしているため彼女の処罰は妥当だと言う。
山本「あいつはまだ若い。お前の期待に沿えないこともあるだろう。」
山本「だが、警察を味方にできたのは、思いもよらなかっただろ。」
滝川「そうですね。嬉しい誤算ではありますが計画が狂い始めようとしています。」
山本「人質の件か…」
林は人質の解放を強く要求している。
しかし人質の解放は滝川たちにとってはデメリットでしかない。
勝手に人質に危害を加えれば林もなんらかの危害をこちらに加えてくると思うし彼に肩入れしている花も黙ってはいないだろう。
二人だけなら何とかなるかもしれないが花は幹部になるほどの実力はある。
林は警察はそれなりの訓練をしているだろうから侮れない。
対立が起きてしまえば内部で混乱が生じ痛手を負うことは避けられない。
林は扱いづらく不都合な存在の上、人質の命を彼が握っているということにもなる。
花が勝手に警察の林を招き入れた結果こうなってしまったのだ。
だからまずは花を排除して欲しいという訳である。
山本「そもそも計画は林ありきで実行されるものではなかったはずだろ」
山本「元々の計画は覚えているだろ?」
滝川「偽りの知を放せし赤き塔、神の裁きにより眠りし死者の魂、解せよ!」
滝川「天に結びし命の花、衆目に晒し屠らん。」
犯行計画を2つ述べた滝川。
これらを当てはめてみると
1つ目の[偽りの知を放せし赤き塔、神の裁きにより眠りし死者の魂、解せよ!]の
赤き塔とは明日の取引で行われる東京タワーのことを指しているのだろう。
東京タワーとは東京都港区芝公園にある総合電波塔で1958年12月23日竣工された。
今や東京タワーは東京のシンボルとされているが組織らは偽りの知を放せし赤き塔と言って批判的である。
また眠りし死者の魂とはなんなのだろうか。
そして2つ目の[天に結びし命の花、衆目に晒し屠らん。]は
人質を殺害することを意味し、衆目ということで犯行声明のように電波ジャックして人質の殺害映像を流すことなのだ。
テレビなどの映像媒体を利用しアミュ真仙教は凶悪な犯罪組織である人々に知らしめることを目的とした計画なのだろう。
安田の悪い予感は的中し
つまり50兆円の身代金の取引が成立しようがしないが元々の計画通り人質は殺害されてしまうことになる。
川代たちは花と林のおかげで首の皮一枚でつながっていた。
二人がいなければ滝川たちはいつでも計画を実行することができていた。
滝川「当初の計画では林さんは必要ありませんし警察との取引も元からありませんでした。」
滝川「あれは単に東京タワーで爆撃を行うことだけでしたからね。」
滝川「眠れぬ地に血をささげ今こそ眠れ!、で刃物襲撃と併せて」
滝川「幽界に彷徨うものよ!神域へと還らん!を実行して誰か捕まえて人質にするつもりでした。」
滝川「しかし人質の確保は花さんに任せることにしました。」
滝川「山本さんも土屋さんに協力していましたもんね。」
山本「もっと効率的に多く人質を捕まえられると聞いたからな。」
山本「俺はそれに賛同したのさ。そしたら警察も一人おまけについてきた。」
滝川「警察の一人が林という男なのです。実は前に彼と茶飲み話していました。」
山本「家入のアパートに住み込んでいた時のことか」
滝川「そうです。そこで川代さんとも知り合いました。」
滝川「林さんと話しているうちに彼のことを気に入りました。」
滝川「土屋さんはうまく彼を操れているようでしたので彼女に託すことにしたのですよ。」
当時滝川も警察をうまく利用できないか考えていたはずである。
計画の変更が行われたのは神泉町のアミュレット内で、そこでのやり取りでなったのだろう。
花が林を捕まえる計画に変え、さらに川代を初め神泉町の消防隊員をまとめて渋谷で捕まえることに。
そして警察である林を組織に取り込めたことにより滝川は計画を新たに再構築させたのだ。
計画の変更は首謀者の赤城に報告がなされた。
山本「警察だけじゃなく大勢の人々に大きなインパクトを与えたと思うが」
山本「電波ジャックによる犯行声明は少々やり過ぎだ。」
山本「敏腕なところは俺も認めているが、どうも辣腕なところも悪目立つ。」
山本「計画を急ぎ過ぎていないか?」
滝川「鉄は熱いうちに打てと言うでしょう。」
滝川「多少強引にやらないとタイミングを逃すかもしれないのですよ。」
山本「土屋と林の味方をしているつもりじゃないが」
山本「一旦、東京での取引と爆撃については一度白紙に戻した方がいい。」
滝川「なぜですか?」
山本「東京タワーで行なわれることは知られているだろ。」
山本「あっちも何かしら対策を講じてくるはずだ。」
山本も滝川が考えた案には賛同できないようだ。
犯行声明によって人々に影響をもたらしたが、東京タワーで行うことが警察に知られている。
警察が対策を講じないはずもなくただ受け身のままではいない。
東京タワーの周辺やその付近、そして港区で警察が包囲するかもしれない。
滝川「だから林さんに爆弾を持たせることにしたのですよ。」
山本「やっぱりお前が作っていたのは爆弾だったか」
滝川「警察に情報を渡さないためでもありますが一方的に痛手を負わせることができます。」
山本「ということはその作った爆弾はうまくいかなかった時のためのものか」
山本「警察に対して行う自爆テロなら百歩譲るが」
山本「元々の計画は東京タワーを爆破させるのが目的だ。」
山本「この計画だけは譲れない。絶対に成功しなければいけないんだ!」
山本「失敗を想定しているなら既にその計画は失敗しているのも同然だ!」
当初の目的とかけ離れていると指摘する山本だが
彼は東京タワーの爆破テロ計画にどこか強い信念を持っているようだ。
意見は違えど花も山本も滝川の案に反対なのだ。
滝川「はあ~残念です。山本さんも土屋さんもそうおっしゃるのなら私の案はなしにしましょう。」
滝川「後でアミュ様に計画変更の報告しておきます。」
滝川「考えてみればどの計画も林さんが必要というわけではありませんし」
滝川「あれが成功したとてお互いトカゲのしっぽ切りのようなもの」
滝川「警察に損害を与えてもすぐリカバリーするでしょうし、逆に火に油を注ぐことになるかもです。」
滝川は意見を聞き入れ一度自分が考えた案を白紙に戻すそうだ。
また林ありきで計画を考えていたことも認めた。
今後はつまり元々の計画で進める運びとなるのだろうか。
滝川「では山本さんあらかじめ立てていた計画で進めましょうか?」
滝川「それとも別の案を考えましょうか?」
切り替えが早いようで滝川は次の計画をどうするか話し合いを始めた。
まずは元から考えていた計画で進めるかそれとも別の案を考えて進めるのか
山本に聞き今後の方針について決めていくようだ。
山本「別の案を考える。東京タワーの爆破テロは保留にしてもらう。理由はさっき述べたとおりだ。」
山本「それにしてもお前が素直に話を聞いてくれるなんてなんか気味が悪いな。」
山本「なんか企んでるだろ?」
滝川「あなたも人聞きが悪いですね。」
滝川「振り返って考えたら林さんを手放すのは惜しいと思っただけですよ。」
滝川「同志として私も計画を成功したいのですから。」
山本「そうか…」
滝川「では土屋さんたちを呼んできてください。」
山本「わかった。」
花が長沼にアミュ真仙教の内部資料を持たせ脱出させた後、持ち場に戻って家入と人質たちの見張りをしている時のこと。
家入りの表情はいつになく明るかった。
今は花に従うしかないが彼女が味方になってくれたこともあり一段と不安が解消された。
さらには内部資料が警察の方に届けば組織のアジト突き止めることができる。
警察の捜査によってアミュ様真仙教の全貌が明らかになってこのまま崩壊していくはずだ。
家入は無理矢理犯罪者の仮面を被られたが無実を証言してくれる林がいるため心強い。
酌量の余地はある。
まずは長沼が警察に資料を提供できたのか祈りたい。
だが家入の内に秘めていた希望はすぐに取り除かれてしまう。
山本がやってきた。猿江と竹原と一緒である。
山本「土屋話がある。2階にこい。家入もだ。」
家入「え…」(もしかしてバレたんじゃ?)
花「話って何よ?」
二人とも背筋が凍った。
人質を一人の逃がし情報を漏らしたことがバレてしまったのだろうか。
二人は仕方なく山本の後ろについて行った。
花と家入に代わって他のメンバーが着て人質の見張りをした。
何を言われるのかわからないが花は気づかれないように素早く銃を出せるように忍ばせた。
猿江と竹原の後ろに続いて歩いているのは林である。
林は足早に花のそばについてきた。
花(秀人…)林(花…)
無言でお互い見つめ合うがすぐに前を向いて山本について行った。
2階へと上がり待合室のような場所で滝川がいた。
花「何よこんな時間に?」
猿江「そうだぞ!こっちは眠いぞ!」竹原「ふわ~」
猿江は怒り気味であり竹原は眠たくてあくびしていた。
猿江たちは就寝中だった。
時間は深夜の1時ぐらいである。
滝川「すみませんね。こんな時間に、大事な話があるので集まらせていただきました。」
花「大事な話」彼女は身構えた。
滝川「明日の取引のことなんですが分が悪いと判断したので計画を変更します。」
猿江「なに!?」竹原「え~なんで今更」
突然の計画変更に驚く猿江と今更なので不快に思う竹原。
花「まあそうね。」花は納得している。
だがそれに対し林は否定的であった。
林「人質はどうするんだ?」
林「約束はどうした?計画を変更するなんて許さないぞ!」
身代金50兆円と引き換えに人質を返すことを約束として林は計画に賛同した。
それが白紙に戻されるが林にとって納得のいかないことなのだ。
滝川「本当に私たちが人質を返すとお思いですか?」
滝川「警察だったらわかることでしょう。50兆円を用意してくれるなんてありえないですよね?」
滝川「取引をする前にあなたは拘束されてしまいます。」
花「だから秀人に爆弾をこっそり仕掛けていざという時に自爆させる気だったということね!」
林「え!?なに…」
滝川「フっそういうことにしておきましょう。」
花「もう、とぼけないで!!」
花の前では爆弾を作っていること滝川は認めないようだ。
だが明日の取引はなしとなった。
林にとっても分が悪かったと思うのでなしになってよかったのかもしれない。
猿江「んで代替案はもう考えたのか?」
滝川「いえ、明日の取引の件を白紙に戻すことだけを伝えたかっただけです。」
滝川「後でアミュ様に報告しないといけません。」
滝川「土屋さんは私のことを敵視しているし、山本さんは私の案に賛成していないみたいですし」
滝川「お互い仲間同士でいがみ合っては本来の目的も見失い計画は失敗に終わってしまいます。」
滝川「一度この班は解散しましょう。」
内輪揉めがあったため滝川たちの班を解散するそうだ。
今後のことを考えて今の状態では計画がうまく進まないと判断したのだろう。
滝川「林さん、あなたをアジトへ連れて行きアミュ様に合わせてあげます。」
林「そのアミュ様っていうのがお前たちの親玉ということか?」
猿江「親玉なんかじゃねえ!あの人は神様だ!」
滝川「フフ…まあまあ。」
滝川は猿江を落ち着かせる。
滝川「では私と山本さん、そして土屋さんと家入さんも一緒にアジトへ戻りましょう。」
家入「え?なんで僕も?」
滝川「猿江さんと竹原さんはここに残ってください。」
滝川「あの計画は問題なく実行できますので。」
あの計画とは[天に結びし命の花、衆目に晒し屠らん。]のことだ。
つまり人質の殺害は計画通りやるそうなのだ。
しかしそうはいかず林が止めようとする。
林「やっぱり人質を!!」
林は銃を構え銃口を滝川に向けた。
だが花が
花「やめて!秀人!」
花は林の前に立ち塞がった。
猿江「姉貴!」竹原「これゃやべえ!!」家入「うわあ!」
花「秀人…銃を下ろして…」
林「花、なんで!!なんで…」
滝川「はは!じゃあダメ押しです!!人質も一人連れて行きましょう!」
滝川「そうだ!川代さんも連れて行きましょう。それなら林さんも文句はないですね!」
林「滝川!!貴様あああああああああああ!」
花「お願い!秀人!!…もうあきらめて…」
花は両腕を広げて滝川の盾となる。
林「くそ!!!」
林は銃を床に落として跪いた。
林「俺は誰一人も守れないのか!」
そして己の無力さに打ちひしがれた。
そんな林を見て花と家入は申し訳ない気持ちになった。
だがこれでいい長沼に内部資料を渡しここの住所を渡している。
川代は気の毒ではあるが警察が他の人質を救出してくれはずだ。
長沼が成功していればの話になるが彼は川代と同じ消防隊員のためきっとやり遂げてくれる。
今はじっと堪えるしかない。
滝川「家入さんはどうしますか?組織の一員として継続しますか?それとも人質に戻りますか?」
これまた家入に重要な選択を迫られた。
家入「えっえっと…」
人質に戻る選択肢があるということはそれすなわち用済みであると言うこと。
林を味方につけた以上家入の役目はすでに終わっているのだ。
家入「なら人質に戻る!」
迷わず人質に戻ることを選択した。
滝川「ほうそれでいいんですか?」
林「それはおススメしない!家さん!」
家入「いいんだ…。だったら僕はここに残してほしい…。」
林「なんでだ!」家入「もうろくなことがない…。もう希望も何もかも見えない…」
花「そうね。あんたは役立たずだし。川代さんも連れていく必要はないんじゃない?」
花「あの人うるさいだけだし…」
林「花さんまで…どうして…」
家入がここに残ると言うのも、花が家入と川代の二人を連れて行かせる必要がないというのも
警察が救出しに来てくれることに賭けているからだ。
それを知らない林は家入は自ら死を選択してしまっていると捉えられてしまいお勧めしないと指摘する。
滝川たちから見れば役目を失った家入を人質として本拠地に置かせるより次の計画の礎となったほうが合理的である。
前回は組織側についた理由は生き残るための時間と猶予が与えられるかということでこちらに身を置いた。
客観的にみると家入の今回の選択には疑問が出る。
滝川「家入さん1つ聞きますが、私が人質に戻る選択肢を作ったのは私ですがなぜそちらを選択したのですか?」
家入「そっそれは」
家入の胸中を探ろうとする竹原。
家入の手から汗が。
返事によっては花と二人で組織の情報を漏らしたことがバレてしまう。
家入「僕はまだ人を殺していない。平気で人を傷つけるそんな連中の仲間になりたくないんだ!」
猿江「てめえ!それはアミュ様は侮辱することになるぞ!」
家入「僕は自由になりたいだけだ。できれば家に帰らせてほしい。」
ひるまず家入は強く主張する。
山本「虫が良すぎる。そんなことさせる訳ないだろ。」
滝川「残念ですがあなたの要望を聞くことはできません。」
滝川「人質に戻してあげますが、ここに残すことはできません。」
滝川「アミュ様のご判断によってはあなたの立場は危ぶまれると思いますよ。」
人質には戻れたが我孫子市の監禁所には残れないそうだ。
滝川「あなたには林さんの足枷になってもらいます。ある意味予想通りでした。」
林の行動を制限するために家入と川代を人質にするのが滝川の狙いである。
花だけでも十分彼をコントロールすることができるが今のように計画を妨害してくる可能性もありメンバーであるため思うように扱うことができない。
林が隙をついて何か仕掛けることもある。
そのため人質がいれば林を間接的に拘束でき、警察の捜査を牽制することだってできる。
話し合いは終わり結果は変更となり明日の取引は中止となった。
1階に下りて人質たちのいる場所へ行き花は川代を起き上がらせた。
川代「おい…なんだよ…」
花「あんたは別の場所に移動させる。もちろん人質としてね」
川代「おい!話が違うだろ!」
花「シ!」花は川代の耳元で小さな声で喋った。
花「まだバレていないわ。いいから黙って。秀人も一緒だからなんとかするわ」
川代「お前を信じていいんだな?」
花「正直期待は薄いけど。諦めないことね。」
他のメンバー「おい!何やってる?こい!」
川代「くそ!はいよ!!」丸山「川代!!」(くそ!こんな時に!)
丸山はただ川代が連れていかれるのを見ていた。
花から他のメンバーに川代を誘導し移動用の貨物車両に乗せられた。
猿江「ほらよお前の服だ!」
猿江は家入が元着ていた私服を返した。
猿江「あんなに歯向かっておきながらまだ殺されずに生きているのがムカつくぜ!」
家入「運だけはいいのかもね」
猿江「チ!」家入「うああ!!」
猿江は家入りを思いっきり蹴り飛ばした。
家入は床に転げた。
家入「いたたた…う~」
痛さのあまり涙目になる。
猿江「あ~こんなんだったら死なねえ程度に甚振っておけばよかったぜ。」
猿江「明日の任務が終わって戻れた時は覚えていろよ!」
家入「ヒイイィィィイ!!!!」
猿江に脅されひどく怯える。
花「何やってんのよ!」猿江「あ!姉貴!」
花「人質だけど乱暴に扱わないの!」猿江「うい~す…」
家入「うわああ~花さん!」花「ほら早く着替えなさい。」
猿江の暴走を花が止めてくれた。今では花も心強い味方だ。
家入はフード付きの黒いコンバットシャツを脱いで元着ていた私服に着替えた。
もうこんな服着たくないと彼は思った。
移動用の貨物車両に乗るまでの間花と家入、廊下を歩いて彼女はこう言った。
花「人質に戻る選択したのはあんたにとっては賢明な判断とは思うね。」
花は人差し指に手を当てていた。
つまり何もしゃべるなと言うこと。余計に喋れば誰かに悟られる恐れがある。
花「ここに残りたかったと思うけど生き延びられたとして下手しても明日の10時までしかないわ。」
花「猿江はあんたを今すぐにでも殺したいそうだからあっちに一旦身を置いたほうがいいと思うわね。」
家入の態度が気に食わないため猿江は熱り立っている状態だ。
明日の計画よりも早く家入は猿江に殺されてしまっているかもしれなかった。
長沼が警察のところにまで行ったのかは不明で、もし長沼が内部資料を出して居場所がわかっても警察がすぐには救出しないかもしれない。
不確定が多いなかで我孫子市の監禁所に残るのは危険だ。
家入の両腕を後ろにおいやり縄で縛り拘束した。
山本が運転手で滝川、花、林、人質の家入と川代を乗せてアジトへ行った。
時刻は深夜の3時。
猿江と竹原とその他数名のメンバーは我孫子市の監禁所に残り明日の計画にむけて体を休めていた。
明日の計画は人質の殺害で電波ジャックを行い公表するといった残虐的な犯行である。
時間は予定通り10時から行われるのだが警察が身代金要求に応じなかったためとして行うことになっている。
真面目に身代金50兆円を持ってもこちらは計画を変更をされ取引はなしの方向だ。
こちらのやりたい放題であるが警察はここを知らない。
情報戦に有利だからこの状況を有効に活用しない手はないのだ。
人々が恐れおののく表情と警察が慌てふためく表情思い笑みを浮かべながら休んでいた。
だが状況が一変する。
警察が監禁所を突き止め救出作戦を決行したのだ。
一条率いる組織犯罪対策4課を初め警視庁本部の警察官と千葉県警が協力し猿江たちが人質を拘束している監禁所に突入した。
大勢の防護服を装備している警察が防弾盾を一斉に押し寄せる。
警察「動くな!」
見張りをしていたメンバー「なんで警察が!?」
見張りをしていたメンバーは二人しかいなかったためすぐにあっけなく捕まり丸山たちは保護された。
猿江「なんだ!」
大きな騒ぎが聞こえ猿江たちは起きた。
猿江「何が!あった!」猿江たちは銃持って休憩室を出て音が聞こえる方に行く。
続く
戻る