第44話 熱い勧誘
6年生の意地とプライドをかけ豪[6、2]は順子ちゃんに一対一を申し出る。
豪[6、2]の申し出を受けた順子ちゃんだったが彼の圧倒的な実力差に苦戦し奮闘するも
1組チームの試合の疲れが抜けておらず体力が尽き4度目の速球により彼女は敗北してしまう。
試合開始早々で順子ちゃんがアウトになったのは3組チームにとって大きな痛手となる。
2組チームとのドッチボールの試合が始まったばかりだ。
ここで3組チームは巻き返すことができるのか。
豪[6、2]に敗れた順子ちゃんだが床に倒れこんでいる。
友ちゃんと良樹と順子ちゃんを心配し彼女に駆け寄った。
良樹「順子が負けるなんて!おいしっかりしろ!」
友ちゃん「そんな順子ちゃんが…」
そして同じ1年生メンバーである大気と苗も順子ちゃんに寄り添い声をかける。
苗「もしかしたらと思っていたけどやっぱり6年生相手は無理だったみたいね。」
順子ちゃんならやってくれると信じあわよくば全勝して鉛筆2本
そして真木と勇の約束のラーメンが2杯分食べられると思っていたが現実は甘くはなかった。
現に1組チームには負けてしまっている。
しかし順子ちゃんと活躍と頑張りは十分伝わっているし6年生をも驚かせることはできた。
大気「てか大丈夫なのか順子?」
順子ちゃん「う…う…みんなごめん…」
友ちゃん「ううんもういいの順子ちゃんは頑張ったよ!」
良樹「後は6年生や他のメンバーがなんとかしてくれるから任せようぜ」
順子ちゃん「うん…わかったわ…」
順子ちゃん「後は頼んだわ……ガク…」
順子ちゃんは横になったままぐったりして目を閉じて死んだふりをした。
友ちゃん「順子ちゃーーーーん!」
良樹「順子ーーーーーーーー!」
板倉先生「おーーい!そういうのはいいから早くいけ!」
感動的な演劇ではあるが今はドッチボール試合である。
順子ちゃん「は~い」
友ちゃんと良樹「はい…すみませ~ん」
板倉先生に注意された順子ちゃんはすぐに立って足早に外野へと向かっていった。
ちょっと目立ってしまったため友ちゃんと良樹も謝罪した。
井村校長「ははは!宮沢さんやあの子たち本当に面白いですね。」
井村校長「見ていて元気を貰えます!」
井村校長「どうですか?板倉先生?」
板倉先生「え?ああ~とても賑やかで元気な子たちですね。」
板倉先生「確かに1年3組の宮沢さんの運動神経がいいですね。」
板倉先生「負けてしまいましたが6年生相手によくやれたと思います。」
板倉先生(う!まさかこのパターンは!)
井村校長「そうですよね~どうです?来年はあの子たちの担任になってみては?」
板倉先生「検討しておきますが職員会議で決めましょう。」
思った通り順子ちゃんたちの担任なるかどうかの話である。
来年は誰がどの生徒の担任になるか職員会議を行って決めるのだが校長先生の一存で決まるなんてこともあるのかもしれない。
実は井村校長の一存で幸助と薫の担任を板倉先生が務めることに当初はなっていたが
牛久先生が今年この学校の職員になり中学校で保健体育を教えていて問題児もいくつか抱えては更生させていたので
牛久先生が幸助と薫の担任を任されたという経緯がある。
幸助「お疲れ、順子」
順子ちゃん「うん…」
彼女の落ち込んでいる様子がうかがえる。
豪[6、2]に負けたのが相当ショックだったようだ。
それと真木と勇の勝ったらラーメンという約束を果たせるのかも心配になってきている。
前回の試合の1組チームには負けているためラーメン一杯取り逃している。
また負けてしまえばラーメンどころか鉛筆1本も貰えなくなってしまう。
豪[6、2]の速球が脅威に感じる生徒がほとんどのため
勝ち負けはともかく今回無事にドッチボールが終わればそれでいいというのが大多数である。
良い経験は得られたと思うが順子ちゃんにとってはラーメンを1杯でもゲットできなければ
このドッチボールで頑張ってきたことが報われないのだ。
幸助「まだ俺たちは負けたわけじゃねえ。」
幸助「後のことは他の仲間に任せろ。」
幸助「お前は一旦外野で休んでいろ。」
順子ちゃん「うい~す」
幸助「ある程度回復したらガンガン攻めていこうぜ」
順子ちゃん「え?ここからでも攻撃できるの?」
幸助「当たり前だろ。ドッチボールなんだからよ」
順子ちゃん「あ!そっかそうだね!よーし!あの男に一矢報いてやるわ!」
外野からでも相手チームにボールを投げて攻撃することができる。
防御されることもあるが一方的に攻撃を仕掛けることができるため
順子ちゃんのポテンシャルは外野でも活かせるはずだ。
ドッチボールのルールをまだ知らない順子ちゃんである。
ちょっと間は外野は幸助に任せて体を休めておき
回復したら攻撃に加わって連携を取ってきたい。
一対一では負けてしまったが今度は仲間と力を合わせて豪[6、2]を倒したいところだ。
まだ3組チームは2組チームに負けたわけではないここから3組チームの反撃だ。
順子ちゃんとの一対一にした勝利した豪[6、2]。
彼の表情からすでに勝ち誇った様子がうかがえられる。
後ろに引いていた2組内野陣は前に出て本来のポジションについた。
ここから2組チーム対3組チームの本格的なドッチボールの試合が始まろうとしている。
ボールの所有権は3組チームにありリーダーの薫がボールを持っている。
薫「順子が先に落ちちまったが俺ら6年を舐めちゃいけないぜ!」
3組チームは期待の新星である順子ちゃんがアウトになり内野陣営は弱体化してしまったが
それでも1年生が一人落ちてしまっただけのことである。
ここからは6年生メンバーの底力を見せる時だ。
素早くボールを投げる薫。
豪[6、2]から離れた位置に目掛けて投げて攻撃するが一人も当たらず避けられてしまうが
外野の幸助にボールが方に来て、幸助の速球が炸裂すると思いきや順子ちゃんが割り込んできてボールを取った。
幸助「コラ!順子邪魔するな!」
順子ちゃん「もう一度勝負よ!」
休んでいた方がいいのに外野からでも攻撃ができると言うことで豪[6、2]に攻撃を仕掛ける順子ちゃん。
負けっぱなしではいられないのだ。
豪[6、2]「チッ!年明[5、2]の頼んだ。」
年明[5、2]「オッス!キャプテン!」
だが豪[6、2]は順子ちゃんにそっぽを向き代わりの相手を野球の後輩の年明[5、2]に任せた。
もう順子ちゃんは用済みと言うことなのか。
順子ちゃん「こっち見なさいよ!くそ~」
豪[6、2]に相手にされず順子ちゃんは憤ってしまう。
順子ちゃん「でもいいのかしら?よそ見してたら危ないわよ!」
順子ちゃんは無視している豪[6、2]に目掛けてボールを投げた。
しかし豪[6、2]の横から年明[5、2]が入ってきて彼にボールをキャッチされ防がれてしまった。
年明[5、2]「全然大したことないじゃん。」
順子ちゃん「え~今の全力のボールだったのに~もうダメかも」
内股になりながら気落ちした。
全力のボールだったのに豪[6、2]ではなく他の人にボールを取られてしまい
彼どころか他も通用しないと自ら悟り彼女は戦意喪失する。
前回の試合で活躍という大輪の咲かせ輝いていた花は豪[6、2]に踏みつけられてとうとう萎れて枯れていってしまった。
幸助「順子お前はじっとしていろ!」
順子ちゃん「は~い…」
何やっても無駄なので順子ちゃんは今しばらくじっとしていたほうがいいだろう。
年明[5、2]「厚木先輩、もうあんな奴相手しなくてもいいっすね。俺が相手しますから」
豪[6、2]「おう、わかったぜ。頼りしてるぜ。」
豪[6、2]「来年のドッチボールは年明[5、2]たちが主役だ。」
豪[6、2]「そして野球はお前がキャプテンだ。チームをまとめてやってくれ」
少年野球チームのキャプテンを豪[6、2]は年明[5、2]に継がせるそうである。
豪[6、2]「年明[5、2]!お前の実力を見せてやれ!」
年明[5、2]「オッス!キャプテン。」
豪[6、2]の指示のもと年明[5、2]は手首にスナップをきかせて3組チームの内野にシュートした。
ボールは右斜め上に飛んだ。
薫「どこ投げているんだ?」
あのボールなら避けるまでもないと思っていたがボールの軌道は徐々に内側に入っていきさらに加速していく。
苗「うわ!あぅ!なにあのボール!?」
あっけにとられ苗の横っ腹に命中してしまう。
これにより早くも1年生二人がアウトになる。
オーーーーーーーーー!
年明[5、2]のカーブボールが炸裂し体育館内はまた歓声に沸く。
井村校長「ほわ~今のすごいカーブですね。」
板倉先生「綺麗に曲がりましたね。いや~牛久先生にも見せたかな。」
綺麗な曲線を描いた年明[5、2]のカーブボールに先生二人は釘付けである。
2組チームの攻撃の要は豪[6、2]の速球だけでなく年明[5、2]のカーブボールもあったのだ。
野球に培った経験と技術を生かした年明[5、2]のカーブボールは3組チームの新たな脅威となる。
来年は豪[6、2]に代わり年明[5、2]のカーブボールが話題に上がり活躍していくのだろう。
薫「くそ!こっちも反撃だ!」
薫がボールを持って豪[6、2]と年明[5、2]にいる方にはなるべく避け防御は手薄になっている方にボールを投げた。
避けられてしまったが外野の幸助にボールが渡った。
今度こそ幸助のシュートを2組チームにお見舞いする番だ。
幸助「いくぜ!」
幸助のスピードシュートが炸裂した。
香穂[1、2]がアウトになった。
これで1点取り返した3組チームである。
豪[6、2]「やるな幸助!」
豪[6、2]の速球よりもパワーやスピードは劣っているが豪[6、2]自身、幸助の速球は威力があって速いと認めている。
さらに1組チームの試合よりも精度が上がってきている。
槍のように鋭くまっすぐ速く迂闊でボールを取るのは難しい。
幸助の速球は相手チームに通用するだろう。
豪[6、2]「そうだこれだぜ!こうでなくちゃな!」
豪[6、2]が思っている通り6年生が中心になって活躍する展開になってきたことに彼は喜んでいる。
ボールを拾った豪[6、2]は外野にいる幸助に顔を向けて声をかける。
豪[6、2]「幸助!野球やらねえか?」
幸助「野球?」
遊地「え!?今それ言う?」
作戦会議の時に話していたがドッチボールの試合中に幸助を野球に誘う豪[6、2]。
豪[6、2]「お前の腕なら野球でも活躍できるはずだ!」
豪[6、2]「今のシュート最高だったぜ!」
幸助「へへ~それほどでもあるかな~」
豪[6、2]に褒められて嬉しくなる幸助。
佳奈[6、2]「ちょっと豪[6、2]それ終わった後にしなさいよ。」
豪[6、2]「思い立ったら即吉日だろ?」
豪[6、2]「興奮冷めやらぬうちにな!」
豪[6、2]「あとほら鉄は熱いうちに打てとも言うじゃん!」
佳奈[6、2]「もうあんたすぐに習ったのを使うんだから」
板倉先生「まったくあいつ、結構あいつも目立ってるな」
井村校長「ふふ活発で豪快な子と見受けられますが案外博識もありますね。」
板倉先生「いえいえ、彼は長期記憶が苦手で成績はクラスの平均よりちょっと下ぐらいです。」
板倉先生「来年の中学はもちろん野球をするそうでその点は問題ないかもしれませんが学力の面では少し心配です。」
板倉先生「さっきのことわざだいたい使い方はあってますが、即はいりません。」
板倉先生「思い立ったら吉日か思い立ったが吉日です。」
豪[6、2]が喋っていたことわざを訂正する板倉先生であった。
板倉先生「あいつのことだしやっぱ幸助を野球に誘いたいってのがわかってしまいます。」
板倉先生「牛久先生は以前中学校で野球部の顧問をしていることがあり教え方はうまかったですが」
板倉先生「幸助の呑み込みが早い。短時間であれをものにして速いボールを投げることができたのですから」
薫の活躍ぶりや注目を見て羨んでいた幸助に説教を交えながらボールの投げ方を牛久先生と二人で体育館で一緒に教えていた。
牛久先生が中学校で野球部の顧問していたこともありより専門的で技術的なボールの投げ方を幸助は教えてもらうことができたのだ。
だけどそれをすぐに上達させた幸助がすごく実際のドッチボールで披露した。
だから野球通じてボールの扱いに長けている豪[6、2]は幸助のシュートに感動したということなのだ。
板倉先生「学力は薫の方が若干上だけど幸助は地頭がよくてテストでは7、8割は取れている。」
板倉先生「運動神経は幸助の方が上かな。まあどっちもどっちだけど。」
板倉先生「結局やればできる子なんですけどね。」
幸助と薫を総評する板倉先生は二人の未来を見据えながらドッチボールしている彼らの様子を見ていた。
1歩リードしているが1点取り返されてしまった2組チーム。
ボールは豪[6、2]が持っている。
暴君の速球が今まさに差し迫ろうとしていてきている。
2年生の総太郎は体中震えていた。
順子ちゃんはアウトになり外野に行ってしまったため、彼らを守ってくれる守護神はもういない。
内野全員が暴君の標的である。
内野にいる限りいつ自分が狙われるのかという恐怖がずっと付き纏う。
豪[6、2]「いくぜ!」
豪[6、2]の速球が3組チームの内野陣目掛けで飛んでくる。
頭を抱えて縮こまってしまう総太郎だが内野の誰かがボールをキャッチした。
ボールをキャッチしたのは6年生の尊。
薫「ナイスキャッチだ尊。」
尊「なんとかキャッチできたが少し腹に響いた。」
尊「そう何度もキャッチするような球じゃねえよ。」
薫「でもなんでわざわざあいつのボールキャッチしたんだ?」
尊「まあちょっとあいつに言いたいことがあるんだよ。」
6年生男子で運動神経があれば豪[6、2]を速球をキャッチすることは不可能ではないが
威力があるため何度もキャッチすることは難しい。
避けることはできたはずだが敢えてキャッチしたのには理由がある。
尊はボールを持ったまま前に立って豪[6、2]に物申した。
尊「幸助を野球に誘うだと?それは聞き捨てならねえな。」
尊「生憎こっちが先着なんだよ。幸助はサッカーをやるんだ!」
前から尊は薫を含め幸助をサッカーに誘っている。
幸助の運動神経の良さに早くから気付いているのも尊であり、
校内のサッカーグラウンドで巧みなドリブルを見せて何度もゴールを決めるなど活躍している。
少年サッカーに入るのは見送られたが尊曰はく十分戦力として活躍できる見込みはあるそうだ。
中学で幸助の実力が通用するかはわからないが本格的にサッカーの練習を重ねて実践していけばいい線はいくかもしれない。
幸助自身尊との話し合いの中で中学校でサッカーをすることも視野に入れているそうであり
ほぼサッカーをやるのは確定かもしれない。
だから今更野球に誘おうなんてもう遅いということなのだ。
幸助のサッカープレーを見ていたからこそ尊の言い分もよくわかる。
尊「幸助はサッカーの方が向いているんだよ!」
豪[6、2]「いいや違う!幸助は野球の才能がある!」
豪[6、2]「俺の目に狂いはない!あいつの能力は野球でこそ生かされる!」
幸助の投球を見れば豪[6、2]も野球に誘いたいわけであり
幸助自身も知らない才能や能力を秘めていてそれを豪[6、2]は野球というスポーツによって見出されると主張する。
尊「お前だってサッカーであいつのドリブルを見てただろ!」
板倉先生「サッカーでもキレッキレだからな」
板倉先生も職員室の窓からサッカーをしている幸助の姿を見て彼のプレーを評価している。
サッカーでも幸助は活躍できるかもしれない。
尊と豪[6、2]もどちらも幸助を譲れない。
佳奈[6、2]「ああ~豪[6、2]いい加減にしなさいよ!」
景子「もう早く終わらないかしら」
沙織[6、2]「こうなっちゃったら止まらないわね。」
女子たちは尊と豪[6、2]の言い争いには飽き飽きである。
幸助「これゃまいったな~へへ」
尊と豪[6、2]の言い争いは他からすれば見るに堪えないが
二人が幸助の能力を評価されることに幸助自身それを聞いていてご満悦である。
幸助(けど俺はどっちに行くべきなんだろう…)
笑顔から突然考え込むような表情になりサッカーか野球かどちらを選ぶべきか考え始めた。
どちらとも高い評価を受け抜擢されている。
どちらを選ぶべきか悩むがそれにしてはかなり贅沢な悩みである。
薫「なんだよ!幸助ばっかり!」
友ちゃん「薫どうしたの?」
1組チームの試合の時とは反対に幸助ばかりが目を向けられることになり今度は薫が地団駄を踏んだ。
薫の様子に友ちゃんは驚いてしまう。
板倉先生「まったく薫も幸助も似た者同士だな。」
井村校長「次は杉原君を説教しますか?」
板倉先生「いえ結構です。」
板倉先生「説教するんだったら薫と豪[6、2]ですが今それをするのはやめたほうがいいですね。」
問題の中心は薫と豪[6、2]であり、説教するのであれば薫ではなくあの二人だ。
しかし説教するために二人を場外に出してしまうと3組チームはともかく
2組チームはリーダーでもあり攻撃の要である豪[6、2]が離れてしまうので彼らにとってはきつい展開になる。
だが二人の言い争いがエスカレートして悪い影響を及ぼし収拾がつかなくなったら
2組チームには大きな痛手となり申し訳ないが試合進行兼審判役を務める先生の判断で
二人の頭を冷やしておかなければいけなくなるだろう。
板倉先生「おい尊!豪[6、2]!今はドッチボールに集中しろ!」
一旦注意喚起をして二人の反応をうかがうことにした。
薫「そうだぞ!今はドッチボールに集中するべきだ!」
薫「だったら今ここでドッチボールの試合で白黒つければいいんじゃねえか?」
豪[6、2]「それはいい考えだ!俺たちのチームが勝ったら幸助に野球をやらせるぜ!」
尊「絶対に負けらねえ!いくぞみんな!幸助はサッカーをやるんだ!」
井村校長「とりあえずまとまりましたね。」
板倉先生「まさかの薫が仕切るとは」
こうしてドッチボール試合は再開された。
幸助にサッカーを勧めるか野球を勧めるかお互い譲れないのであれば
薫の言う通りドッチボールで勝って白黒つけた方がお互い納得するだろう。
そういう形で落としどころが付きドッチボールの試合進行に問題がなくなり
説教しなければいけない流れにまで陥らなくて済んだ。
3組チームがもし負ければ鉛筆が1本も貰えないだけで大したことではないが
尊は豪[6、2]に幸助を奪われてしまうので彼にとってはこれまで以上に負けられない戦いになった。
サッカーをやるべきか野球をやるべきか幸助をかけた
2組チームと3組チームのドッチボールの試合ということなのだろうか。
まさにこのドッチボール大会は6年生が中心である。
井村校長「兼岩君はあのお二方の強い勧誘に少々お困りでしょうね。」
井村校長「サッカーか野球どちらを選ぶんでしょうかね?」
板倉先生「3組チームにいるから気持ちはサッカーに寄っていると思いますが」
板倉先生「豪[6、2]の熱い勧誘に心が揺らぎ始めているかもしれません。」
板倉先生「ですがサッカーをするか野球をするかそれは幸助自身が決めることだと思います。」
確かにどちらを選ぶかは幸助自身が決めることである。
勝敗によって選択を委ねるかはわからないがこの試合の行く末を見守りたい。
続く
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