第42話 良きライバル 良き相方
3組チーム6年生メンバーの尊が1組チームの佐々木姉妹の防御レシーブを破り由紀子[4、1]を落とし
順子ちゃんはボーナスチャンスを活用して大吾[6、1]を落とすことに成功する。
3組チームが逆転し光明が見え始めたがすぐに分厚いがそびえ立ち光が遮られてしまう。
1組チームの晴香[6、1]が引いたボーナスチャンス「外野一人復活!」によって大吾[6、1]が内野に復帰してしまった。
やっとの思いで大吾[6、1]を外野へ追い込ませた順子ちゃんは
彼が内野に戻ってくる姿を見て開いた口が塞がらず絶望する。
1組チームと3組チームとのドッチボールの試合はいよいよ終盤である。
勝つのは1組チームか3組チームか。
晴香[6、1]「おかえり大吾[6、1]」
大吾[6、1]「ありがとう晴香[6、1]。いい引きしているな。」
晴香[6、1]「きっと勝ちたいって思いが伝わったかもしれないわ」
晴香[6、1]「これで私たちは最後のドッチボールになるんだからね。」
大吾[6、1]「ああ!勝って有終の美を飾ろう!」
大吾[6、1]は3組チーム陣の前に堂々と腕を組んで立つ。
1組チームメンバーは彼の復帰により勝ち誇った表情を浮かべている。
彼がいるのといないのではまったく安心感が違う。
圭人[6、1]「俺たちの勝ちは決まりだな。」
大吾[6、1]「まだ油断は禁物だ。」
大吾[6、1]が戻ってきたがそれでも油断できない。
それほど3組チームは侮れないということだ。
また奇跡的な逆転劇を起こすかもしれない。
慎重になる大吾[6、1]だがそれに対して3組チームには大きなプレッシャーがのしかかる。
順子ちゃん「えなんでこうなるの~」
薫「晴香[6、1]が引いたボーナスチャンスで大吾[6、1]が復活したんだよ。」
順子ちゃん「ねえ~私たちまたボーナスチャンス使えるの?」
薫「いやもう使い切っちまった。」
薫「いいとこ2回が限度だ。」
井村校長のジャッチと合わせて使用できるボーナスチャンスの回数は1チーム2回までである。
ボーナスチャンスは逆転の可能性を秘めている。
公平性を期すためにもボーナスチャンスは2回までとし
本来のドッチボールとして正々堂々試合するべきである。
ボーナスチャンスがあれば勝てたかもしれないしそれがあったせいで負けてしまうこともあり不公平感がでることもある。
運も勝敗を分けるがやはり競技においては実力が物を言う。
より冷静になった大吾[6、1]に隙はない。
ボーナスチャンスなしで彼を落とすのは骨が折れる。
大吾[6、1]が戻ってきてしまったが結局は振出しに戻り
ボーナスチャンスがなければ外野と内野を行ったり来たりすることはなかったかもしれない。
ボーナスチャンスを2回使用した3組チームは万策尽きようとしていた。
大吾[6、1]「勝つのは俺たちだ!勝負だ3組チーム!」
大吾[6、1]のやる気は十分だ。
不死鳥に蘇った彼の闘志は3組チームメンバーにひりつかせる。
晴香[6、1]がボールを持っており1組チームの攻撃から試合は再開される。
晴香[6、1]の投げたボールは2年生の進に命中する。
総太郎「うわあ~んそんな~」
進がアウトになってしまったことで3組チームの2年生メンバーは総太郎だけになった。
総太郎が落ちれば2年生メンバーは全滅だ。
また3年生メンバーは卓しか残っていない。
そして1年生メンバーも順子ちゃんしかいない。
順子ちゃん「くそ!まだ負けてたまるもんか!」
順子ちゃんがボールを拾い力任せにボールを投げるが大吾[6、1]に塞がれてしまう。
大吾[6、1]「今度こそ終わりだ!」
順子ちゃん「はあはあ…終わりだ終わりだとか何度も言ってうるさいわよ!」
大吾[6、1]「そのしぶとさが何度も言われる原因だ。」
大吾[6、1]「言われたくなければさっさと外野へ行ってしまうがいい。」
ここまで6年生と激しい攻防をやりつつ1年生にとってこの順子ちゃんのしぶとさは言葉にできない驚きある。
それが大吾[6、1]に何度も終わりだと言わされることになってしまっているのだ。
大吾[6、1]は順子ちゃんにボールを投げる。
順子ちゃん「うぐぐ!」
順子ちゃんは大吾[6、1]のボールをキャッチすることができたが衝撃で1歩2歩後ろに後退した。
ボールの威力も上がってきており大吾[6、1]も1組チームの6年生の誇りと意地を見せる。
順子ちゃんに負けっぱなしのままでもいられない。
再び順子ちゃんと大吾[6、1]の一騎打ちになるのか。
今、順子ちゃんは疲れている状態である。
次の2組チームとの試合のためにも体力を温存してほしいところだ。
薫「もう大吾[6、1]の相手をするな順子!」
薫は順子ちゃんがまた大吾[6、1]と戦うの止めさせようとした。
順子ちゃん「わかったよ~ああもう…」
納得していないようだが薫の指示を聞いて他の1組メンバーを狙う。
順子ちゃん「うれゃくらえ!!」
大吾[6、1]のことを意識してしまっているのか彼がいる近くの方にボールが飛んでいく。
大吾[6、1]「それじゃボールを取られるだけだぞ。」
すぐにボールが飛んでくる方に大吾[6、1]は寄ってボールを取ろうとしたが
佐武郎[1、1]が大吾[6、1]の前に立ってボールをキャッチした。
順子ちゃん「え?なに!?」
尊「あの1年!」
佐武郎[1、1]「へへ!どうだ!」
龍太[1、1]「やったな!佐武郎[1、1]!」
大吾[6、1](フッ…俺にも1年生の味方がいたか。)
1年生メンバー以外の学年メンバーも拍手喝采である。
客観的に見て1年生の女子が投げたボールを1年生の男子がキャッチしただけのことで不思議ではないが
順子ちゃんのボールをキャッチしたからこそ盛り上がったのだ。
来年のドッチボール大会は順子ちゃんが参加すれば彼女の速球が猛威を振るうと予想されるが
それとはもちろん対抗勢力が生まれてくる。
疲れによって順子ちゃんのボールの投げるパワーやスピードは衰えてきてはいるもののそれを佐武郎[1、1]がすごく
大吾[6、1]のボールの取り方やフォームを見て学んでそれを実践したのだ。
将来佐武郎[1、1]は順子ちゃんの良きライバルになるのかもしれない。
まずはこのドッチボールの試合に勝ってリレーで負けた雪辱を果たすことができるかだ。
佐武郎[1、1]「いくぜ!おら!」
1年1組の風間佐武郎が1組チームの1年生メンバー代表としてボールを投げ敵陣である3組チームの内野に攻め込む。
このドッチボール大会で1年生がボールを投げて攻撃することは珍しく今回二人も投げたのは異例である。
順子ちゃんは例外として1年生が戦力になることはあまりない。
1年生は早々外野に行ってしまいボールを持てば6年生や他の上の学年にパスするのがほとんどである。
1年生同士のボールのやり取りでこのたったのワンシーンではあったものの
彼らが6年生になり成長したころには熾烈な攻防が期待されるだろう。
佐武郎[1、1]は順子ちゃんに向かってボールを投げたが
スピードとパワーはまだまだでボールが高さは低い位置に飛んだ。
ボールが低すぎたため順子ちゃんはボールを取らずに避けた。
順子ちゃんの背後にメンバー一人もいなかったたのでそのまま1組チームの外野の方にボールが転がった。
次の1組チームの攻撃に備えた。
ボールを持った哲也[6、1]が投げ3組チームの内野に投げる。
全員避けるが1組チームの内野にいる大吾[6、1]へ渡る。
ボールを持った大吾[6、1]は佐武郎[1、1]に声をかける。
大吾[6、1]「1年、名前は?」
佐武郎[1、1]「風間佐武郎っス!」
大吾[6、1]「佐武郎[1、1]、今のよかったぞ。」
佐武郎[1、1]「ありがとうございます!」
佐武郎[1、1]のプレーを褒める大吾[6、1]だがそれを見て順子ちゃんはご立腹である。
順子ちゃん「コラ!何話してんのよ!」
余裕そうなのが気に食わない様子の順子ちゃんである。
大吾[6、1]「おっこれは失礼、俺は今からこいつを全力で仕留めてやる。」
順子ちゃん「またそれ?いいもんあんたのボール何度でも取ってやるわ!」
何度も順子ちゃんを倒す宣言されて彼女自身聞いて飽き飽きだ。
大吾[6、1]が順子ちゃんに向けてボールを投げると思われたが
薫「うわあ!しまった!」
友ちゃん「薫!」
順子ちゃん「あ!ちょっとどこ投げてんのよ!」
薫「悪い!油断しちまった…」
大吾[6、1]「油断したな薫。」
大吾[6、1]の投げたボールの方向は順子ちゃんの方ではなく薫の方だった。
試合序盤で友ちゃんにやったのと同じやり方で今度は薫がアウトにされてしまった。
順子ちゃんに投げてくると思いこちらには投げてこないと思っていたのだろうか。
あれだけ順子ちゃんに大吾[6、1]とは相手をしないように注意して
薫自身も大吾[6、1]の攻撃を警戒していたのに、一瞬の隙をつかれてしまった。
制限時間残り10分となり終盤に差し迫っているところでリーダー薫のアウトは3組チームにとって大ダメージである。
薫「すまねえ…みんな」
悠太「後は俺に任せろ!」
景子「どんまい薫!」
内野の復帰権を残した悠太が薫と交代する形で内野に入った。
外野に来た薫に友ちゃんが近づいてきた。
友ちゃん「お疲れ様、薫」
薫「友ちゃん、いやーカッコ悪いとこ見せちゃったな」
友ちゃん「ううん、十分カッコよかったよ。後は順子ちゃんたちに任せよう。」
外野から内野にいる3組チームを見守る薫と友ちゃんだが厳しい状況に立たされてしまっている。
3組チームは4年生の優司と5年生の富雄がアウトになりそして3年生の卓までもがアウトになってしまった。
卓のアウトで3組チームの3年生メンバーは全滅してしまう。
そして4年生メンバーも遼平一人になってしまった。
大きく差を付けられてしまった3組チームは1組チームに負けてしまうのか
諦めかけたその時、幸助が戻ってきた。板倉先生も一緒である。
幸助「帰って来たぜー!みんな!!」
薫「幸助!!」
戻ってきた幸助に体育館内のみんなは彼に注目する。
幸助「みんな迷惑かけて悪かったなごめん!」
薫「いいよ!おかえり幸助!」
尊「待ってたぜ!幸助」
幸助の表情は明るく謝罪をする彼に素直さが感じられる。
彼の様子を見るに板倉先生に怒られたのではなくなにかアドバイスをもらったのだろう。
幸助の戻ってきたことで3組チームは逆転することができるのだろうか。
ボールは幸助の手に渡った。
薫「いけ!幸助!」
その他の3組チームのメンバー「いけー!頑張れ!」
幸助に仲間の声援が集まる。
晴香[6、1]「さあきなさい!止めてやるわよ!」
晴香[6、1]が幸助に挑発してきている。
何度も幸助の投げたボールを晴香[6、1]はバレーボールで培った技を活かして防御レシーブで止めている。
この晴香[6、1]の挑発に乗るのか。
負けず嫌いでもある幸助だが、彼にとっては分が悪いはずだ。
幸助「望むところだ!」
悠太「正気か!?幸助」
尊「何考えてんだ?あっちで何してきたんだ?」
晴香[6、1]の挑発に乗る幸助を見て、仲間はまた止められてしまうのではないかと否定的である。
薫「幸助を信じよう!」
リーダーとして親友として薫は幸助を信じる。
幸助(板倉先生、牛久先生、井村校長先生、薫、みんな…ありがとう!)
幸助「見せてやるぜ1組チーム!」
板倉先生と牛久先生に教えてもらったボールの投げ方とフォームで晴香[6、1]の防御レシーブに挑む。
晴香[6、1]「止めてみせる!」
晴香[6、1]「え!?あ!!」
晴香[6、1]は腰を低くして防御レシーブの体制を取ろうとしたがボールが速すぎて対応できず
彼女の膝にボールが当たりアウトになった。
薫「やったぜ!」
幸助「どうだ!晴香[6、1]」
晴香[6、1]「あ~くやしい!」
豪[6、2]「嘘だろ!?あの幸助があんなボールを…」
体育館ステージで観戦している豪[6、2]は幸助のシュートに驚いた。
豪[6、2]「厄介だが…へへ面白れぇじゃねえか」
ついに晴香[6、1]をアウトにしたことで1組チームの佐々木姉妹の防御レシーブを完全に崩した。
見事な投球に幸助に絶賛の声が。
悠太「正直不安だったけどやるじゃねえか!」
尊「いや~悪かったな幸助、俺も不安だったぜ。けど今のボールすげえな!」
尊は謝りつつ幸助の投球を褒めた。
晴香[6、1]「大吾[6、1]、葵[6、1]、圭人[6、1]、後はお願い!負けたくないわ!」
大吾[6、1]「ああ!俺たちがチームを守り勝利へ導く!」
1組チームの防御の要は大吾[6、1]のみとなった。
ボールは大吾[6、1]が持つ。
1組チームも追いつめられるが3組チームも内野を見るにあちらも余裕ではない。
ここから1組の攻撃である。
大吾[6、1]「負けるものか!勝つのは1組だ!一気に決めてやる!」
一気に攻めて勝負を決めると大吾[6、1]は意気込む。
順子ちゃん「それはどうかしら!」
大吾[6、1]の投げたボールをアグレッシブにキャッチした。
幸助が戻り彼の活躍を見て元気になったのだろうか、疲れているのが嘘みたいな動きをする順子ちゃん。
順子ちゃんの投げたボールは1組チームの内野に当たらなかったが外野の薫がボールをキャッチする。
外野の両サイドに薫と幸助が配置される。
薫は幸助の良き相方として息の合ったコンビネーションプレーで1組チームを翻弄させる。
1組チームで愛美[1、1]、翔太[3、1]、萌[4、1]、涼[4、1]がアウトになる。
どんどん追い詰められていく1組チーム。
それを止めるべく大吾[6、1]が幸助の投げたボールをキャッチした。
しかし幸助の投げたボールから単なる速いボールではなく勝ちたいという熱い思いが伝わってくる。
それを感じた大吾[6、1]は今まで硬かった表情が柔らかくなり笑顔になった。
大吾[6、1]「楽しいぜ!この勝負勝ちたい!」
大吾[6、1]の速球が順子ちゃんに投げ込まれる。
順子ちゃん「うあ!おっと!」
今まで大吾[6、1]が投げたボールよりも速く咄嗟に避けた。
そして外野から哲也[6、1]と晴香[6、1]の6年生の容赦ないシュートが飛び込む。
1組チームも負けていられない。最後の力をすべて出し切る。
そして大吾[6、1]の力強いボールが順子ちゃんに向かって真っすぐ飛んでいく。
順子ちゃん「うぐ!」
ボールをキャッチすることができたが衝撃で1歩2歩3歩下がって最後は床に尻もちをついた。
反撃しようとしたところここでホイッスルが鳴り試合終了である。
勝敗は内野の人数が多い方のチームが勝利となるが
結果は1組チーム内野十一人、3組チーム内野八人により
勝利したのは1組チームだった。
晴香[6、1]「やった!勝ったわ!」
薫「うあ~負けちまったか~」
順子ちゃん「え!?私たち負けたの?ああ~ラーメンが~」
3組チームが負けたことを知りラーメン1杯取り逃したこに順子ちゃんは落胆する。
佐武郎[1、1]「やった!勝ったぜ!」
チームでの勝利だが順子ちゃんに勝てたのが嬉しくなり両手を挙げて飛び跳ねながら佐武郎[1、1]は喜ぶ。
佐武郎[1、1]の肩に大吾[6、1]は手をポンっと置いた。
大吾[6、1]「佐武郎[1、1]、お前のおかげで勝てた。ありがとう」
佐武郎[1、1]「ああいえ、大吾[6、1]さんおかげっス!ありがとうございました!」
佐武郎[1、1]がアウトになりそうなところ大吾[6、1]がキャッチしてセーフになったのが大きく
彼が最後まで生き残っていたのがチームに勝利をもたらしていた。
6年生と1年生がお互い感謝を交え未来へとバトンが紡がれる。
大吾[6、1]から守られて助けられたが順子ちゃんのボールをキャットして攻撃するなど
佐武郎[1、1]も1組チームの勝利に貢献する働きをした。
来年も佐武郎[1、1]が順子ちゃんの相手チームになれば良きライバルとして
味方チームだったら良き相方として活躍してくれるに違いない。
1組チーム対3組チームのドッチボールの試合は全体を通してみると
1組チームの防御に翻弄され3組チームは支配されていた。
何度も3組チームは逆転劇を見せ盛り上がった。
試合終盤から幸助と薫のコンビネーションプレイを見せ1組を追い詰め
忘れていけないのが順子ちゃんの活躍で大吾[6、1]相手に接戦した。
3組も十分勝てるポテンシャルがある今回の試合もどちらが勝ってもおかしくなく先が読めない面白い試合であった。
しかし大吾[6、1]の防御力が強く1組チームの方が一枚上手だったと言える。
3組チームは負けてしまったがとても意味のある試合になった。
大吾[6、1]は順子ちゃんに声をかける。
大吾[6、1]「俺とやりあうなんて大したものだな。」
順子ちゃん「へへ、やっぱりあんたもそれなり強いじゃん」
大吾[6、1]「俺は柔道やってて6年生だからな負けられないのさ」
大吾[6、1]「それにしても君は強いな。」
順子ちゃん「私は天下の順子ちゃんよ。今回はあんたたちに勝たせてやったわ。」
大吾[6、1]「そうか。勝たせてくれてありがとな。」
順子ちゃんは立ち上がり大吾[6、1]と握手した。
薫「負けたぜ大吾[6、1]。完敗だ。」
大吾[6、1]「最初は楽勝だと思ったが1年の順子といい薫と幸助の成長ぶりには驚いた。」
薫「俺はリーダーとしての役割を果たそうとしたまでだ。」
幸助「薫、悪いな。俺お前カッコいいとこ見て焦っていた。迷惑かけたな。多分負けた原因は俺にあると思う」
幸助は薫に謝罪し3組チームの敗因は自分であると認めた。
薫「いいよ。それより最後はカッコよく決まったな。」
晴香[6、1]が近寄ってくる。
晴香[6、1]「まあそうね。あのボールは速くて真っすぐでとても良かったわ。」
大吾[6、1]「俺もあのボールから勝ちたいって思いが伝わった。」
大吾[6、1]「とてもいい試合だった。」
晴香[6、1]「あ~勝ったけどなんか悔しいわ。」
晴香[6、1]「試合には勝ったけど勝負には負けったていう複雑な気分。」
幸助に晴香[6、1]の防御レシーブを破られて相当悔しいのだ。
大吾[6、1]「だが晴香[6、1]の防御があった勝つことができたんだぞ。」
晴香[6、1]「まあね。これで最後だからね。私なりにいいプレイができたと思うわ。」
破れはしたが佐々木姉妹の防御レシーブは1組チームの守りとして十分機能し勝ちに準じたと思われる。
3組に勝利したことで1組は鉛筆1本手にすることができたのでクラスによい知らせを持ち帰ることができる。
幸助と薫のもとに井村校長と板倉先生が来てついていく形で後ろ友ちゃんがいる。
井村校長はあの当時の事件の幸助の行動について話した。
井村校長「あの事件、あの公園に矢崎会長さんと宮沢さんと一緒に兼岩君もいましたね。」
井村校長「兼岩君が助けに来なかったら杉原君も萱場さんそして浅見さんは助からなかったかもしれません。」
井村校長「兼岩君もすごいことしています。あなたが杉原君たちの命を救ったんです。」
板倉先生「そうだぞ。幸助。薫がこうしていられるのもお前のおかげなんだぞ!」
薫「幸助、お前が助けに来てくれたから頑張れた。本当にありがとう。」
薫「俺、お前とドッチボールやれて楽しくなってきて嬉しかった。」
薫は照れ臭そうに幸助に感謝する。
幸助「おいちょっと待てよ~グスン!」
井村校長の言葉と薫の感謝に幸助は涙が出て顔が赤くなりくしゃくしゃになる。
あの時、順子ちゃんに矢崎会長が一緒にいたため仕方なくうさぎの捜索を手伝ったまでで
公園に行ったら三人が男に暴行を受けている悲惨の光景を目の当たりにしたのだ。
それで幸助が三人を助けたということになっていて賞賛されてしまっている。
幸助が泣いている姿に体育館内のみんなは彼に注目する。
幸助「恥ずかしいよ~う~グスン!う~あれ順子はどこにいるんだ?」
恥ずかしくなった幸助は順子ちゃんを探すがいない。
友ちゃん「順子ちゃんなら水飲みに行ったよ。」
幸助「わかった!俺も飲みに行く~」
友ちゃんに言われた通り順子ちゃんは体育館を出て水飲み場で水を飲んでいた。
順子ちゃん「ゴクゴクゴク!ぷはぁーーーーー!復活!」
水分補給して体力復活した。
幸助「俺も水を飲むぜ!」
幸助も水飲み場に来て顔を洗って水分補給した。
順子ちゃんと幸助はすぐに体育館に戻った。
いよいよ2組チーム対3組チームのドッチボールの試合が始まる。
2チームがコート内に集まり、1組チームは体育館ステージで観戦である。
豪[6、2]「待ちくたびれたぜ3組チーム、幸助、薫」
豪[6、2]「これが俺たちの最後のドッチボールだ。」
豪[6、2]「全力で行かせてもらうぜ。お前ら3組には鉛筆1本もやらねえ」
薫「勝つのは俺たちだ!負けねえぜ!」
幸助「勝負だ!豪[6、2]!」
順子ちゃん「うおおおおおお!ラーメン!」
速球放つ暴君率いる2組チームとの激戦がついに始まる。
3組チームは2組チームに勝って鉛筆1本ゲットできるのか。
そして順子ちゃんは真木の優との約束のラーメンを1杯獲得できるのか。
続く
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