第37話 1組チーム対2組チーム
順子ちゃんが通う水戸東小学校の2学期始まりの恒例の行事
それは新学期記念全校生徒ドッチボール大会である。
各クラス五人メンバーを決める話し合いの結果、良樹、大気、苗、友ちゃん、そして順子ちゃんである。
1年3組は頼もしい彼女を味方につけ各学年で選ばれた3組チームが結集される。
体育館でドッチボール大会に選ばれた90人の生徒が集まり6年2組の板倉先生と井村校長が進行を務めるそうだ。
最初乗り気ではなかった順子ちゃんを奮い立たせたのが真木のラーメンである。
今彼女はドッチボールではなくラーメンに燃えている。
体育館の壇上に置いてあるダンボールの中には鉛筆が入っているが順子ちゃんには眼中にない。
井村校長のあいさつで館内が盛り上がってきたところでいよいよドッジボール大会が始まる。
井村校長の説明通り1組対2組、1組対3組、2組対3組の全3試合で行われる。
最初の対戦は1組対2組である。
ということで3組チームは控えである。
1組と2組の実力をこの対戦で把握し対策と作戦を練っていきたいところだ。
以下が1組チームのメンバーである。
1年、山口結人(男)、峰島健(男)、松田愛美(女)、矢野龍太(男)、風間佐武郎(男)
2年、石川花夏(女)、藤井智恵(女)、菊池直樹(男)、鈴木実(男)、田村和也(男)
3年、近藤海斗(男)、岡本翔太(男)、瀬川陽一(男)、佐藤真平(男)、中田三波(女)
4年、奥平大地(男)、佐々木由紀子(女)、堀内萌(女)、池田涼(男)、守村明音(女)
5年、大島雪菜(女)、小川拓馬(男)、山崎直樹(男)、上田亮介(男)、野久保陸(男)
6年、佐々木晴香(女)、伊藤葵(女)、佐藤圭人(男)、桑原哲也(男)、岡崎大吾(男)
それに対し2組チームメンバーは
1年、賀山香穂(女)、西田透(男)、野口賢季(男)、小林永未(女)、伊吹若葉(女)
2年、上野達木(男)、山本拓海(男)、物井利花(女)、種島桜子(女)、椎名朋世(女)
3年、飯島伸(男)、高崎愛華(女)、千田奈菜(女)、折原須春(女)、安倍浩史(男)
4年、井上郷子(女)、三六修(男)、小沼祐介(男)、藤田美和(女)、井口尚人(男)
5年、内田光(男)、黒崎明日香(女)、福田年明(男)、高橋誠(男)、佐伯歩夢(女)
6年、厚木豪(男)、小野寺賢人(男)、森田遊地(男)、小島佳奈(女)、関根沙織(女)
そして控えの3組チームメンバーは以下の通りだ。
1年、宮沢順子(女)、萱場友子(女)、高橋良樹(男)、田中大気(男)、川本苗(女)
2年、隅木総太郎(男)、柏原聖次(男)、富田和馬(男)、奥屋晶弘(男)、金丸進(男)
3年、村田正矢(男)、佐藤渚(女)、成田舞(女)、東山卓(男)、朝比奈伊織(女)
4年、夕映霞(女)、中村由美(女)、伊藤優司(男)、高木冬馬(男)、小林遼平(男)
5年、江戸川凛(女)、長島富雄(男)、大平学(男)、明星美奈子(女)、村山茜(女)
6年、兼岩幸助(男)、杉原薫(男)、斎藤尊(男)、藤崎悠太(男)、新田景子(女)
以上である。
3組チームの6年に幸助と薫がいる。
友ちゃんがドッチボールに参加しているのを知って薫は彼女に声をかけた。
薫「よう、友ちゃんもドッチボールに参加したのか。」
友ちゃん「薫も参加すると思ってたよ。」
友ちゃんのドッチボールの参加の動機が薫自身かもしれないと思い顔が赤くなったが内心嬉しかったかもしれない。
薫の6年3組は彼含め4人しかおらず後の6人は全て女子である。
今回でドッチボールをするのが最後のということもあり6年生側はどのクラスも妥協を許さず運動が得意な人を選出した。
だから薫たち男子4人が全員参加したのはそういった理由ではあるが
薫自身は友ちゃんもドッチボールに参加するのだろうと一部期待はしていたかもしれない。
景子「何一年生の前で顔を赤くしているのよ!どうしたの薫?」
薫の表情を見て気になり話しかけたのは同じクラスの女子の景子だ。
3組チームの紅一点だが景子はテニスクラブをやっていて運動もできるため選ばれた。
薫「ふっ友ちゃんが参加してくれたし、嬉しっちゃ嬉しいんだよ!」
景子「へえ~あの子好きなんだ~」
薫「おいおいちょっと待てって!からかうなよ~」
こんな感じで女子何かと絡みがある薫であの一件から友ちゃんと仲良くなり他の女子とも関係が良好になってきている。
もちろん意見の食い違いで対立することはある。
景子「じゃあ一緒に頑張りましょうね。」
景子「友子ちゃん、薫のこと頼んだわよ!」
友ちゃん「はい!」
薫「はいはい、頼りにしてるよ友ちゃん。」
順子ちゃん「ねえ、ドッチボールって何?」
良樹と幸助はズッコケた。
良樹「順子ドッチボール知らねえのかよ。」
順子ちゃん「うん、知んない。」
幸助「じゃあルールも知らねえってことだろ!」
幸助「なんで参加したんだよ?」
順子ちゃん「勝ったらラーメン奢ってくれるから」
幸助「はあ?どういうことだ?」
良樹「あの~俺の友達なんだけどドッチボール怖くて出たくなくて」
良樹「んでそいつの家ラーメン屋やってて」
良樹「それでラーメン奢るから代わりに出てほしいってことになったんっス」
幸助「そんなバカな話があんのかよ。」
幸助「出たくねえ理由が怖いとか男として情けねえとは思わないのか?」
総太郎「怖くて出たくない気持ちすごくわかるよ~」
寄り添ってきたのは2年生の総太郎である。
幸助「あっお前!思い出したぞ去年鼻血出してなかったか?」
良樹「え!?」
総太郎「ボールが顔面に当たっちゃって‥」
去年のドッジボールで総太郎は、上の学年が投げた速いボールが顔面に命中して鼻血を出したという痛くて苦い思い出があるのだ。
きっと下の学年で暗い雰囲気が漂っていたのは彼からなのかもしれない。
総太郎「なんで今年もドッチボールなの~」
幸助「毎年決まりでやっているみたいだからな。俺に言われてもしょうがないな」
幸助「けどわかってるならなんで参加したんだよ?」
総太郎「僕のクラスちょうど僕含めて男子五人ちょうどだから女子が全員出ろってって言われたんだ。」
良樹「うわ!それうちのクラスと一緒じゃん!」
総太郎の2年3組も男女ちょうど半々だったため苗と同じような意見を持つ女子がいたようで
彼は何も言い返すことができず渋々参加せざるを得なくなってしまったそうだ。
泣き崩れる総太郎に幸助は肩をポンっと軽く手を置いた。
幸助「頑張ろうぜ‥」
そしてその話を聞いていた6年の尊も反対側の肩に手を置いた。
尊「勝って鉛筆でも持って帰ろうぜ‥」
総太郎「は‥はい‥」
6年生の男子二人から両肩に手を置かれ総太郎に大きなプレッシャーがのしかかる。
幸助と尊の胸の内では何かあった時総太郎を盾にしようと考えているかもしれない。
順子ちゃん「ねえねえ!ドッチボールって何するの?」
良樹「そろそろ始まるから観戦して覚えとけよ!」
1組と2組の対戦が始まる前に進行役の6年2組の板倉先生が軽くドッチボールについて説明した。
良樹を初めドッチボールに参加する人全員ルールを知っているが
順子ちゃんはルールもドッチボールの名前すら知らないみたいだ。
何も知らない順子ちゃんのためにドッチボールとは何か改めて説明する。
ドッチボールは2チームに分かれてお互いボールを投げて制限時間内にぶつけ合う競技である。
ドッチボールの発祥はイギリスで、1900~1940年代までされていたデットボールが原型となったそうだ。
ドッチボールの原型とされるデットボールのルールは
円形のコートで攻撃組と防御組に分かれてプレイし、
コートの外側で攻撃組はボールを投げてコートの内側の防御組はそのボールから身をかわす。
防御側はボールをキャッチすることはできずただひたすら避けるだけである。
攻撃側の投げたボールが防御側に当たることをデットと呼ぶ。
勝敗は独自の判断でされることもあるが
基本、制限時間内に防御側全員をデットすれば攻撃側の勝利し
逆に制限時間を過ぎ一人でも残れば防御側が勝利ということになるだろう。
そしてそのデットボールを発展させたのがドッチボールということだ。
円形または四角形で囲んで中央に線を引いてその線から2チームに分かれる。
デットボールと違い投げたボールをキャッチすることができる。
投げられたボールが命中した場合そのプレイヤーは相手チームのコートの外側に行き外野となる。
ルールによっては外野は内側のコートの味方にパスを回したり相手チームに投げて攻撃したりすることもでき
外野が相手チームのプレイヤーに当てることができればコートの内側に入って復活することが可能である。
水戸東小学校の新学期記念全校生徒ドッチボール大会のドッチボールは独自のルールが設けられている。
その独自ルールについて1年生に向けさらに他の学年にも改めて板倉先生が説明することになる。
板倉先生は人差し指にボールを乗せて回す。
板倉先生「通常のドッチボールと大体ルールは同じだ。」
板倉先生「制限時間は40分とするがどちらかのチームが全滅したらその時点で試合終了になり残ったチームが勝利となる。」
板倉先生「内側のコート内で味方同士のパス回しは禁止としそれに反した場合はパスを回した人とキャッチした人は外野に行き相手チームにボールを渡すこととする。」
板倉先生「だがキャッチに失敗または投げたボールが命中して浮いたボールをキャッチした場合はセーフとし他の味方がキャッチすることもセーフになる。」
板倉先生「顔面や頭部に命中した場合はノーカンでこちらもセーフとする。」
顔面に命中した場合はセーフということで幸助と尊は総太郎に視線を向けた。
視線を向けられていることに気づき総太郎は固唾を呑んだ。
総太郎「ゴクリ…」
井村校長が入ってきて壇上の置いてある段ボール箱とは別の小さな箱を持ち出した。
ここから井村校長も説明する。
井村校長「ワンサイドゲームみたいな展開もあり得るかもしれないし」
井村校長「ただのドッチボールじゃ面白くないでしょう。」
井村校長「条件を満たせばボーナスチャンスができます。この箱にその内容が入っています。」
井村校長は箱に手を突っ込んで中から包み紙を出した。
その包み紙を開けると文字が書いてあってその内容は「外野一人復活!」と書かれている。
読んで字のごとく外野から一人復活し相手チームにボールを当てなくても
無条件に内側のコートに入って復活することができる。
もちろんドッチボールが開始されてもとからいた外野が内側のコートに入ってくることは許可されている。
外野の復活は人数調整ができる上に相手チームに大きなプレッシャーをかけることができる。
また逆転チャンスも生まれることもあり得る。
良樹「へえ~面白いな~」
これがこのドッチボールの大会の独自ルールということだ。
井村校長「今出したのが「外野一人復活!」だけどこれが必ず出るとは限りません。」
あの井村校長の持っている箱をボーナス箱と名付け、中に包み紙が複数枚入っている。
ボーナスチャンスの導入の目的はこのドッチボールの大会の独自性や促進性そしてゲーム性を高めるためのものだ。
「外野一人復活!」が必ず引き当てるとは限らずボーナス箱の包み紙の内容は様々である。
ボーナスチャンスは引く側のチームにはメリットとなり相手側はデメリットになることしか書かれていない。
どのチームも1試合に1回ボーナスチャンスを使うことができ
使用条件は試合開始の最初の外野を除き十人以上、内側コートの人数が二十人以下の場合と
6年生五人全員の合意によって行うことができる。
また井村校長自身がゲームの流れを見て劣勢側のチームに無条件に
ボーナスチャンスを引かせることもルールとして定められている。
例えば人数差に大きな開きがあったり主要メンバーである6年生のほとんど外野に行ってしまったりなどで使われるはずだ。
このボーナスチャンスを利用しない理由は全くなく最低でも3回ボーナスチャンスが使用されるはずだ。
条件を満たしているのにも関わらずボーナスチャンスを使わないまたそれを忘れている場合は
板倉先生がそのチームに声をかけて使用するか否かを聞くそうだ。
井村校長の判断によるボーナスチャンスの条件は劣勢時のため
自然とボーナスチャンスを使用できる条件を満たしていることがほとんどだ。
なので連続で2回ボーナスチャンスを使用することができず10分経たなければ使うことができない。
井村校長もその点において使用するか否かを見極めないといけないだろう。
ボーナスチャンスを使用した挙句相手チーム側が劣勢になり
井村校長が劣勢となった相手チームに使用される恐れもあるかもしれない。
このボーナスチャンスの駆け引きもドッチボールの勝敗のカギとなるだろう。
順子ちゃんが属する3組メンバー以外の1組、2組チームメンバーの試合中の扱いだが
例として2年1組石川花夏のことを花夏[2、1]とする。
ボールは1組チームに渡されゲームスタートである。
晴香[6、1]が力強くボール投げた。
2組チームは全員ボールを回避してコートの済でワンバウンドし外野の哲也[6、1]にボールが渡る。
哲也[6、1]は集団で固まっている下の学年の女子にボールを投げた。
そのボールを避けることはできたが晴香[6、1]にボールが渡り追い打ちをかけ速いボールを投げて一人の女子の背中に当たってしまった。
当たってしまったのは朋世[2、2]である。
ボールは朋世[2、2]の背中に当たった後、床に落ちて弾み床に転がる。
転がったボールを年明[5、2]が拾い、朋世[2、2]は外野へ行った。
豪[6、2]「どんまい、どんまいさあ反撃開始と行こうぜ。」
外野に入る朋世[2、2]に語ったのは外野にいる豪[6、2]である。
ボールが2組の手に渡ったことで2組が攻撃側に転ずる。
年明[5、2]がボールを高く投げる。
飛んでくるボールが高いため1組チームの誰かに当たることはないがそのボールの着地点は外野の豪[6、2]の方である。
圭人[6、1]「やべえ!」
晴香[6、1]「くるわよ!」
1組チームは豪[6、2]のボールを警戒しているようだ。
豪[6、2]「いっくぜーー!」
掛け声とともに豪[6,2]がボールを投げた。
豪[6,2]の投げたボールはヒュン!っと音を出し風を纏い哲也[6、1]よりも速くて強い。
ボールは海斗[3、1]の腰の下にボコン!っと音を立てて命中してしまう。
海斗[3、1]は痛そうな顔をして腰を低くし当たった箇所に手を置いて外野へ行った。
総太郎「あわわわわわ」
それを見て総太郎は震えて頭を抱える。
そして過去のトラウマを思い出してしまう。
良樹「なんだよあのボール速すぎだろ〜」
豪[6,2]は少年野球をやっていてピッチャーをしている。
だから6年生の中でも豪[6,2]は肩が丈夫に発達しているため速いボールを投げることができるのだ。
このドッチボール大会の主導権は彼に委ねられてしまうのだろうか。
しかし豪[6,2]には劣るが2組メンバーの中にもそれなりに速いボールを投げる子もいるため
彼のボールに気を配りながらも他の2組のメンバーのボールも警戒しないといけない。
その一瞬の隙や油断が豪[6,2]の速球の餌食になってしまう。
ドッチボール大会の全勝候補として豪[6,2]率いる2組チームが挙げられることになるはずだ。
全勝を目指すなら1組チームはもちろん控えの3組チームも2組チームとの試合は過酷な戦いとなる。
海斗[3、1]した後のボールはなんと1組のチームの陣地の外側つまり2組チームの外野の方に転がってしまった。
またしてもボール2組の手元に。
朋世[2、2]がボールを拾った。
豪[6,2]はボールを拾った朋世[2、2]に対しこちらに渡せという手招きで合図を送った。
朋世[2、2]はそれに従い豪[6,2]はボールをパスした。
まるで兵士が将軍に武器を献上するかのようだった。
豪[6,2]「さあもう一発行くぜ!」
またしても豪[6,2]の速球が飛んでくる。
ボールの高さは低く腰か足の辺りを狙うつもりである。
1組チームは豪[6,2]に蹂躙されてしまうのだろうか。
由紀子[4,1](よし!今だ!)
なんと由紀子[4,1]が豪[6,2]のボールをレシーブしボールを浮かして晴香[6,1]がキャッチした。
豪[6,2]「何!?」
晴香[6,1]「残念だったわね。」
豪[6,2]のボールを止めたのは佐々木姉妹である。
姉の晴香[6,1]と妹の由紀子[4,1]はバレーボールをやっている。
レシーブとはテニスや卓球やバレーボールで扱われる相手のサーブやアタックなどを受けて返球するプレーである
由紀子[4,1]がレシーブで豪[6,2]のボールの威力を弱めて浮かし晴香[6,1]がキャッチしたのは
日々のバレーボールの練習で磨いてきた技でありこの日のために対策を練っていたようだ。
豪[6,2]「それはありなんですか?」
豪[6,2]は抗議した。
井村校長「う〜ん困りましたね。板倉先生どうしますか?」
板倉先生「ルールによっては違反することもあり得るが‥」
晴香[6,1]「落ちていないからセーフのはずですよね?」
ボールが床に落ちていないためセーフとみなし妹の由紀子[4,1]のレシーブはキャッチに失敗して浮いたボールとしてみなすというのが彼女の言い分だ。
豪[6,2]「コート内の味方同士パスは違反だろ!」
豪[6,2]も言い返し味方同士のパスはルール違反だと訴えた。
板倉先生「そこんところは考慮していませんでしたね〜」
板倉先生「こっちも独自ルールを設けているわけだしな」
ここは井村校長と板倉先生の判断に委ねられる。
争点になるのは佐々木姉妹のプレイがルール違反かどうかである。
板倉先生「佐々木(晴香[6,1]と由紀子[4,1])はバレーボールをやっているとは聞いている。」
板倉先生「ドッチボールとバレーボールのルールは全く違うが似ているところもある。」
佐々木姉妹の一連のプレーはバレーボールのプレイに過ぎずそれをドッチボールに落とし込んだものだ。
レシーブはバレーボールで失点を防ぐための基本的なプレーである。
しかしレシーブしたが失敗してボールが落ちてしまった場合は失点して相手チームに得点を許すことになる。
それをこのドッチボールのルールに当てはめた場合、ボールが床に落ちずにキャッチすればセーフとみなし床に落ちればアウトということなので
その点が概ね似ていることもあり佐々木姉妹のプレイ自体は問題ないかもしれない。
だが問題は豪[6,2]が訴えているコート内での味方同士のパスである。
ルール上外野を除いてコート内でのパスは禁止されているため佐々木姉妹のプレイがコート内での味方同士のパスになるのかどうかだ。
板倉先生のジャッチは、
板倉先生「セーフだ!」
豪[6,2]「なんだと!?」
晴香[6,1]「やったわ!」
板倉先生「ボールが落ちていないわけでもないし誰かがキャッチして静止したわけでもない」
板倉先生「晴香[6,1]がキャッチするまでのボールは2組のものとみなしそのボールをキャッチした1組チームはセーフとする。」
セーフの決め手になったのはボールの所有権がどっちのチームにあるのかだ。
ボールが相手チームにキャッチされて静止するまでの間の所有権は投げた側のチームになるため
豪[6,2]の投げたボールを由紀子[4,1]がレシーブで返し浮かせたがまだその時点では所有権が2組チームであるということになる。
抗議は1組のセーフで決着がついた。
豪[6,2]「くそ!次は決めてやる!」
晴香[6,1]「今度はこっちの番よ!」
また1組にボールを持ち攻撃に転ずることになった。
1組チームは豪[6,2]の速球の対策をしているそうで一方的なドッチボールとはいかなくなり白熱した試合が繰り広げられるかもしれない。
さあ勝つのは1組チームか2組チームか‥
続く
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