ジュンコチャン

第35話 ついに2学期

8月を過ぎ9月順子ちゃんの学校いやほとんどの小学校は2学期を迎えるはずである。
順子ちゃんはランドセルに夏休みの宿題を入れるが夏休みの工作があるため入りきれない。
宿題に奮闘する共に戦ってくれた猫のトートバックに夏休みの工作と入りきれなかった宿題を入れた。
猫のトートバックは順子ちゃんの戦友であり、
その戦友に宿題を収め学校に辿り着くまでの間宿題を守り抜くという最後の任務が与えられた。
まだ夏休み気分が抜けない順子ちゃん。
夏休みが終わってしまったことが信じられなかったのだ。
友達と一緒に遊びいつまでも満喫したいが時間は無常に過ぎて行ってしまう。これが現実なのだ。
ランドセルを背負い、猫のトートバックを握りしめ家の玄関から扉を開けて学校へ出発した。
家に帰るまでが遠足と呼ぶなら、学校に着くまでが夏休みと呼ぶべきなのか。
学校に向かって道を歩く順子ちゃんは夏休みの思い出にふけっていた。
道の途中で友ちゃんに出会う。
友ちゃん「おはよう順子ちゃん!」
順子ちゃん「おはよう友ちゃん!」
友ちゃん「宿題は全部終わった?」
順子ちゃん「バッチリよ!もし終わってなかったら学校は休んでいたわ」
友ちゃん「それはダメでしょ!」
とりあえずお互い宿題はちゃんと終わらせているようだ。


学校に到着した二人が真っ先に行ったのはうさぎ小屋である。
メスうさぎのマリーとオスうさぎのロージの2羽の様子を見た。
友ちゃん「マリーちゃんたちは元気だね!」
2羽の脱走と暴行事件があったことで2羽が接触してトラブルにならない様に
柵を作って小窓も鍵付きになったようだ。
ちなみにその暴行事件の被害者は友ちゃんだったのだ。
薫と桂里奈も被害者で薫は友ちゃんと同じく夏休み中に退院できだが桂里奈は重傷である。
桂里奈は今月からリハビリである。
放課後お見舞いにしに行く予定だ。
マリー「あら?もしかして!」
小窓の方から気配を感じてマリーは注意をそちらに向けた。
小窓から友ちゃんが覗いてきた。
マリーは友ちゃんの顔を覚えていた。
マリー「元気になってよかったわ!」
マリーは友ちゃんが元気になってそれを知ってとても嬉しいようだ。
マリーは人にだいぶ懐くようになった。
ロージ「あ~愛しのマリーにいつになったら近づけられるのだ~」
マリー「あんたはそこで静かにしていて!」
マリーとロージの中は相変わらずだった。
今月は2年生が飼育担当なのでしばらくはこうして様子を見に覗いてみるだけである。


順子ちゃん「さて教室に行きますか!」
友ちゃん「うん!」
二人は1年3組の教室に入った。
クラスの面々はどのような夏休みを送ったのかいろいろ話したいことがたくさんありそうだ。
ちなみは良樹は宿題を終わらせることができたのか聞いてみた。
順子ちゃん「おはよう良樹!!宿題は終わったのかしら?」
良樹「おうよなんとかな」
良樹はあの2週間で宿題をすべて完遂させたようなのだ。
良樹の母がスパルタで宿題をやらせたのが功を奏した。
そこには順子ちゃんの存在も大きい。
良樹「工作の時は順子がアイデアを出してくれたおかげでなんとかなったんだぜ」
順子ちゃんがアイデアを出してくれたらしく
良樹は友達と遊んでいるゲームのドラゴンアドベンチャーにちなんだ工作を制作した。
良樹の工作は金の宝箱の貯金箱である。
段ボールで宝箱の形を再現してそこに黄色のペンキを塗って完成させた。
良樹の父が手伝ってくれたが初めは木材で作るか悩んでいた。
木材を使って宝箱を作ることは可能でより精巧なものが出来上がるが
その分材料やいろんな道具が必要になり限りられた日数で完成するのは難しいと判断し
ある程度変形やテープでも固定できる段ボールで作ることにしたそうだ。
こうしてみんなそれぞれ夏休みの工作を見せ合うことになる。


さて改めて順子ちゃんと友ちゃんの工作を紹介する。
友ちゃんが先に工作を終わらせたのでまず友ちゃんの工作を紹介すると
工作は自分の眼鏡をモデルにした段ボール製の眼鏡であり眼鏡のレンズは透明のビニールで再現したようだ。
そして順子ちゃんは熊のぬいぐるみの貯金箱である。
お盆休み期間に作ったのだが熊騒動があったのがきっかけである。
熊親子は警察の銃撃をくらい死亡してしまったが
順子ちゃんは命の尊さを学びその証としてこの熊のぬいぐるみの貯金箱に込めたのだ。
そのお盆休みの期間は旧家がある大子町で過ごしていていらないものを材料にして制作した。
友ちゃん「順子ちゃんの熊のぬいぐるみの貯金箱とってもかわいいね!」
クラスメイトの女子たち「ほんと可愛い!!」
見た目は好評でしっかり女子たちのハートを掴んでいる。
友ちゃん「私の工作の眼鏡、この熊ちゃんにかけさせてもいいかしら?」
友ちゃんは普通の市販で売っている可愛いらしい熊のぬいぐるみを自分の部屋に飾っていて
自分の工作の眼鏡にそのぬいぐるみをかけさせていたため順子ちゃんの工作にも眼鏡をかけさせたいそうだ。
順子ちゃん「もちろんいいわよ!」
友ちゃんの工作の眼鏡をかけたことでさらに
順子ちゃんの熊のぬいぐるみの貯金箱はキュートさを増した。
その一方で良樹や真木や勇などを初めクラスメイト男子たちは順子ちゃんの工作に対して疑問を持っていた。
勇「ぬいぐるみで貯金箱ってあまり聞かないイメージだね。」
真木「どうやって貯金するんだ?」
良樹「あ~うんうん、そこ気になるな~」
一見するとぬいぐるみでは貯金としての機能を備え付けるのは難しいと思われる。
順子ちゃん「フフフ!このぬいぐるみの中には紙コップが入っているのよ!」
勇「ああ!なるほど!!」
ぬいぐるみの中に紙コップが入っていてその紙コップが貯金としての機能を備え付けることに成功させたのだ。
良樹「けど紙コップじゃそんなに貯金できないんじゃないか?」
紙コップではお金を入れて貯金することはできてもすぐにいっぱいになり沢山のお金を入れることはできない。
もっぱら硬貨しか入れ口はないので500円玉だけを入れれば
ギリギリゲームソフトを買えるかどうかの額は貯まるかもしれない。
良樹「俺の貯金箱のほうがいっぱい入るぜ!」
見た目は順子ちゃんの工作の方は可愛らしいが良樹の工作の方が形状的に貯金機能が優れている。
良樹は自慢げに自分の工作に小太鼓のように軽くポンと叩き注目を集めようとしていた。
順子ちゃん「でもそれ私が考案したやつよね~」
良樹「う~それは~」
周りから冷たい視線を感じた良樹はそっと自分の工作を引っ込めた。


夏休みの宿題はクラスみんな同じであるが工作はこのような感じで人それぞれ個性が出ている。
真木の家庭はラーメン屋を営んでいるので彼はラーメンどんぶりを紙粘土で制作した。
よく見かけるラーメンどんぶりの赤い渦巻模様のことを雷紋(らいもん)と呼ばれている。
雷紋は古代の中国では魔除けとして使われていたそうだ。
真木のラーメンどんぶりにはその雷紋が再現されいて本物みたいで丁寧に作られている。
順子ちゃん「もう本物のどんぶりじゃない!」
順子ちゃん「これにラーメンとかご飯とか乗せて食べたいぐらいだわ」
食べるのが大好きの順子ちゃんに真木の工作は好評である。
真木「紙粘土で作ってるからベトベトになっちまうな。」
順子ちゃんの感想はとても良いものだが
ラーメンやその他のご飯を食べるなら耐熱性のある陶器やプラスチック性の容器、
まさしく本物のラーメンどんぶりで食べた方がいいだろう。
そして勇の工作は手作りの地球儀である。
こちらも本物のような地球で市販で買ったと思うくらい作り込まれている。
クラスメイトの男子たち「すげえーー!」
これには男子たちも絶賛である。
友ちゃん「よくできてるね!」
友ちゃん「あまり詳しくないけど私たちが住んでいる日本はどこかな?」
友ちゃんは地球儀を回して自分たちが住んでいる日本列島を探した。
勇「日本はここだね。」
勇は地球儀で日本列島を指差した。
良樹「これ勇が作ったのか!」
真木「いや~勇はすごいな!」
勇「これを完成するのに1か月以上かかったよ。」
勇は鉛筆や色鉛筆などを使って世界地図を1から書いたそうだ。これが一番時間がかかったようだ。
木材と固定するための釘で作られているが地球を再現する材料は
穴あきのウッドボールでその穴に棒を通して回せるようにして土台で固定すれば再現は可能である。
その書いた世界地図の紙はそのウッドボールの大きさのサイズに合わせるように計算してその上に貼り付けたのだ。
この工作は夏休みが始まる前から構想を練っていたらしく
国語や算数の練習プリントなど他の宿題をハイペースで終わらせて地球儀を作成するのに専念したそうだ。
勇は良樹と真木とゲームをして遊ぶ日々を送ったが
その裏で地球儀の完成に向けて制作していたということなのだ。
つまり勇の夏休みはこの地球儀の工作そのものであり地球儀を作るための夏休みだったのかもしれない。
読書感想文についてだが順子ちゃんと友ちゃんは図書館で課題図書を借りて感想文を書いたそうで
真木はラーメンを題材にした物語の本と勇は硬派な歴史ものの小説を
そして良樹はなんと好きな漫画で感想文を書いたそうだ。
みんな夏休みの宿題をやり残さず全部終わらせているようで安心だ。
これから順子ちゃんたちは2学期を迎えることになる。


学校のチャイムが鳴りいよいよ2学期の始まりの鐘が鳴らされた。
清水先生が教室に入ってきて生徒と挨拶をした。
清水先生は3組の生徒に向けてこれからのことや2学期のことについて話した。
ネタを練ってしっかり準備をしてきているが実はカンペを忍ばせている。
清水先生「皆さん久しぶりですね。みなさんに会えるのを楽しみにしていました。」
清水先生「いよいよ2学期が始まります。」
清水先生「2学期にはさまざまな行事あります。」
清水先生「行事といえばやっぱり10月に行われる運動会ですね。」
順子ちゃんの学校では2学期に運動会がありそれが10月に行われる。
清水先生「みんなで充実した2学期にしていきましょう。」
清水先生「ではこれから始業式が始まりますので体育館に集まりましょう。」
清水先生の指示で1年3組のクラス全員教室を出て体育館へ
他のクラスも先生の指示で教室を出て同じく体育館へ行った。
全校生徒が体育館に集まり生徒たちの前で井村校長先生が2学期を祝う。
そして清水先生と似通うところはあるが
2学期も勉強やさまざまな行事に取り組んで充実した学校生活にしようという内容だ。
また1学期の振り返りとして7月に学校の生徒が暴行に遭った事件を話した。
1学期の終業式にも話してはいるがまた改め今一度
みんなが安全に健やかな学校生活が送れるようにということで井村校長先生自ら公然と述べた。
そして被害に遭われた6年生の浅見桂里奈の容態について話す。
彼女は今月からリハビリを始めるそうで10月に完治を目指すということだ。
10月に桂里奈が復帰するということは運動会の参加が可能だ。
桂里奈の復活を待ちわび、彼女は活躍に期待し
小学生最後の運動会で咲き誇り有終の美を飾るはずだ。


井村校長「全校生徒のみなさん!」
井村校長「まだ夏休み気分が抜けていませんか?」
井村校長「もう2学期が始まりますよ!」
井村校長「勉強に運動にいろんな行事に取り組んで学校生活をそして青春を謳歌する時が来たのです!」
井村校長「ですのでこれからあれをやりましょう!」
2年生の誰か「まさか…あれやるの?…」
井村校長「フフ…そのまさかです!」
2年生の誰かが小言で呟いたが井村校長はその声が聞こえたかのようだ。
順子ちゃん(何が始まるの?)
順子ちゃんたち1年生はまだ何をやるかわからなかった。
1年生対抗障害物リレーのように何か新学期の記念に恒例の行事をやりそうな予感がする。
全校生徒で何かするのかもしれないがワクワクすると同時に不安もでてくる。
一体その恒例行事とは何だろうか。
井村校長はボールを手に取った。
井村校長「新学期記念全校生徒ドッジボール大会を開きます!」
順子ちゃん(どっドッチボール!?)
新学期の記念の恒例の行事はドッチボール大会らしい。
新学期早々ドッチボール大会を全校生徒でやるということだが
1つ学年が上の2年生の中に暗い表情を浮かべる生徒がいる。
一体どのような形式でドッチボール大会が開かれるのだろうか…

続く

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