第26話 順子ちゃん対子熊のクー
母熊「クー!!クー!!どこにいるの!?暗くなってきたわ‥早く見つけないと!!」
母熊は子熊のクーを探している。
母熊「川にいた彼らは何だったのかしら‥」
母熊「もしかしたらクーをさらったんじゃ?」
母熊「怖いけど!!行くしかないわ!!待っててクー!」
母熊は明かりのあるほうへ走って行った。
そこは住民が住んでいる町である。
クー「ママー!ママー!お腹空いたよ!」
子熊のクーもまた母熊を探して住民が住んでいる町の方に行った。
クーと母熊こそ宮沢家を襲った熊である。
宮沢家の父の広武と娘の順子ちゃんとその弟の保志は川で体長2メートルを超える大きな熊に遭遇する。
そして母の幸は家に小さな熊が侵入し彼女を襲う。
宮沢家は思いがけない不幸に遭遇してしまうが全員熊から逃げることができた。
しかし幸は小さな熊に足を引っ掛けられ傷を負ってしまう。
佐藤おばあちゃんの家に避難し、幸の足の怪我の手当てしてもらったが傷が深いため医者に診てもらう必要がある。
お金と保険証やその他貴重品は家に置いたままで、その近くに熊がいるかもしれないので
戻るのは危険と判断し、熊が住民に襲ってくる可能性があるため広武は警察に連絡した。
大子町警察署に電話がかかり、対応したのは警察官の石津である。
石津「はい、こちら大子町警察署です。どうしましたか?」
広武「野生の熊が出たんです!家族全員知人の家に避難していますが妻が熊に襲われて足に深い傷を負っているんです!」
石津「なんですって!奥さんは大丈夫ですか!?」
石津の驚きの声が署内にいる警察官や職員に彼の方に注意を向ける。
広武「知人の家で手当てしてもらいましたがあまりにも傷がひどいので病院で診てもらいたいのですが」
広武「お金や保険証やいろいろ貴重品など家に置いてきてしまいまして」
広武「まだ熊が家の近くにいると思うので迂闊に戻ることができないのです。」
石津「わかりました。あのお名前と住所をご提示お願いいたします。」
広武「はいわかりました。」
広武は名前と住所を伝えたあと
広武「え~実はですね。」
今の家庭の事情を話した。
石津に伝えた家の住所は旧家の方で、現住所は水戸にある。
お盆休みの期間に残った荷物を整理しに旧家に戻ったがその夕方に熊に襲われてしまったのだ。
石津「そうですが。今避難されている場所はお知り合いの方の家に居るとのことですがそちらのご住所もご提示できますでしょうか?」
広武「はい。佐藤さんいいですか?」おばあちゃん「いいぞい。電話をこっちへ」
おばあちゃん「もしもし…」
おばあちゃんが今住んでいる家の住所を石津警察官に教えた。
石津「ご教示感謝いたします。今から救急車をそちらの住所に手配してもよろしいでしょうか?」
おばあちゃん「はいお願いします。」
石津「ご協力ありがとうございます。あの宮沢さんに代わっていただけないでしょうか?」
おばあちゃん「はいよ…宮沢さんやい、警察が代わってくれとな」
電話はおばあちゃんから広武に代わる。
広武「はい代わりました。」
石津「宮沢さん、救急車をお知り合いの佐藤さんの住所に手配するように依頼しますが私たちも今からそちらに向かいます。」
広武「はいありがとうございます。」
一旦広武と石津警察官の電話は終了した。
広武「幸、警察が救急車を呼んでくれる。足の傷はどうだ?」
幸「涙が出るほど痛いわ。これじゃまともに歩けないわ…」
広武「もう少しの辛抱だ…警察も来てくれる。」
おばあちゃん「ここも安全とは言えないのう…」
広武「いつ熊が襲ってくるかわからない…」
警察が来てくれるが熊に襲われる恐怖心が消えない。
広武と幸には子供がいて順子ちゃんと保志がいる。
親として子供を危険な目にはこれ以上遭わせてたくはない。
順子ちゃんには夏休みの宿題があり今家に置いてきてしまっている。
順子ちゃん「宿題…宿題…あ~あの熊が暴れて私の宿題を破っていないかしら~」
広武「はあ~お前はそっちが心配か。警察が来たら事情を話してついでに宿題を持ってきてやるからよ」
順子ちゃん「うん…」
彼女は熊が怖いのではなく今までやった夏休みの宿題が熊のせいで台無しになることを恐れているのだ。
警察が来たら広武が事情を話して夏休みの宿題を取りに行くことを約束した。
大子町警察署では石津警察官が熊による被害が起きたと報告した。
それを聞いた巡査部長は石津警察官含め、部下たちに指示を出した。
巡査部長「被害が拡大する前に阻止するぞ。直ちに巡回警備だ!」
巡査部長「俺が救急車を手配する。石津は久保と同行して参考人のところへ行って調査して来い!!頼むぞ!」
石津と久保「承知いたしました!」
石津と久保は巡査部長の指示を受けパトカーに乗り広武たちがいる佐藤おばあちゃんの家に向かった。
久保「まさかこの町にも熊が出てくるなんてな」石津「珍しいよな」
全国で熊による被害は起きているがこの町では滅多にないそうだ。
被害がでており、今後住民の命に危険が及ぶと判断し銃の使用は許可されている。
しかし銃の使用は人の命の危険が伴うため慎重な判断が求められるだろう。
まずは住民の安全が第一である。
そして10分後くらいに参考人である広武がいる佐藤のおばあちゃんの家に到着した。
石津「お邪魔します。宮沢さん、佐藤さん。警察です。」
広武「来てくれて助かります。あのお医者さんは?」
石津「15分後くらいには到着するそうです。」
巡査部長から連絡があったようで救急車はあと15分後ぐらいに到着するそうだ。
久保「奥様の足の怪我は?」おばあちゃん「こちらへどうぞ」
1階の洋室に入り、石津と久保は幸の足の怪我を見た。
幸の足にはガーゼとそれを補強する包帯で巻かれていた。
血がにじんでおりとても痛々しい。
久保「2頭でてきたと話ではありましたが、詳しくお話を聞かせてもらえませんでしょうか?」
久保は捜査のため熊に襲われた広武と幸に聞き取りした。
久保「熊の体の大きさは?」
広武「娘と息子と私が川で遭遇した熊は2メートルぐらいありました。」
幸「私は家にいたのですが、出てきた熊は息子の保志ぐらいの大きさでした。」
久保「色は何色ですか?」広武「確か黒っぽっかったような気がします。」
おばあちゃん「ツキノワグマかもしれんな」石津「生息域的に有り得ますね。」
ツキノワグマは日本本州に生息していて黒の体毛と胸のV字の白い毛があるのが特徴である。
久保「ツキノワグマが人を襲うなんてことがあるなんて」
久保はツキノワグマの性格上人を襲うことに疑問を持っていた。
ツキノワグマは臆病で性格が大人しい動物であまり人前に顔を出さないそうだ。
そのツキノワグマに襲われたというのだ。
石津「いや、もしもその熊が親子だったら襲ってくる可能性もある。あとお腹を空かせているかのどっちかだろう」
ツキノワグマは子供を守るため、敵を襲う習性があり攻撃的になる。
広武たちが見た熊が親熊で幸が見た熊がその子供と仮定すれば有り得る話である。
またお腹が空いていれば獲物を探しに、そして人を襲うことだって可能性はある。
幸の足の怪我が十分証拠になる。
広武も車にできた熊の爪痕を二人に見せた。
久保「なるほど‥わかりました。」
石津「宮沢さん。熊が出てきたという場所に案内をお願いします。」
広武「ではまず旧家でありますがそちらに案内します。」
広武「救急車が来たらママと一緒に順子も保志も一緒に乗って病院へ行け」
順子ちゃん「うん分かった!」 幸「あなた気を付けて…」
広武と警察は旧家へ向かった。
クー「お腹空いた…なんか食べ物ないかな…」
クー「ここになにかないかな?」
クーは佐藤おばあちゃんの家に忍び込んだ。
広武と警察が佐藤おばあちゃんの家を出た後に入れ違う形でクーが侵入してきてしまった。
外が暗くなってきたため気付くことができなかった。
順子ちゃんは侵入してきた子熊に気付くことができるのだろうか。
おばあちゃん「ご飯がちょうど炊けたわい。おにぎり作っておくからあっちで夕飯にせい」
幸「ありがとうございます。」
救急車が来るまでの間におばあちゃんは夕飯のためのおにぎりを作るそうだ。
順子ちゃん「私もおにぎり作るの手伝う!」保志「僕も!」おばあちゃん「あいよ」
順子ちゃんと保志もおばあちゃんのおにぎり作りを手伝う。
三人は台所に行った。
おにぎりの具の梅干しと昆布を用意した。
順子ちゃんと保志は丁寧に手を洗い塩をまぶしおにぎりを握る。
順子ちゃんはきれいな三角の形のおにぎりをむすぶが保志はきれいな三角ができず丸みを帯びたおにぎりができた。
保志「お姉ちゃんみたいにうまくできない…」
順子ちゃん「ご飯減らせば?そのご飯の量じゃきれいな三角はできないわ」
保志「お姉ちゃんだっておにぎり大きいじゃん」
順子ちゃん「おにぎりは大きいのがおいしいもんね」
弟のご飯の量がいっぱいのためきれいな三角おにぎりができないと指摘するが姉のおにぎりも大きかった。
保志「お母さんにおにぎりいっぱい食べて元気になってほしいもん!」
順子ちゃん「私もそのつもりよ!」
おばあちゃん(いい子に育っておるわい…)
母のためにおにぎりを握る二人を見て、成長していると実感するおばあちゃん。
おばあちゃん「料理は見た目も大事じゃが本当に大事なのは味、そして愛情じゃよ…」
おばあちゃん「そうじゃ!!まだ冷蔵庫に卵が残っていたはずじゃ!卵焼き食べたいか?」
保志「やったー!卵焼き!」順子ちゃん「おにぎりと卵焼きは最強タッグ!!もう最高よ!」
まだ冷蔵庫に卵が残っていたので二人がおにぎりを作るならおばあちゃんは卵焼きを作ることにした。
順子ちゃんたちはお昼卵焼きを食べたばかりだが何度も食べたいくらいおばあちゃんの卵焼きはおいしいのだ。
おばあちゃん「外の倉庫に蜂蜜が置いてあるから持ってくる。」
おばあちゃん「わしの卵焼きは蜂蜜は入っているのじゃよ」
保志「はちみつ!!」
順子ちゃん「なるほど!おばあちゃんの卵焼きが甘くておいしいのは蜂蜜が入っているからなんだね!」
おばあちゃんの卵焼きが甘くておいしいのは蜂蜜を入れていたからだ。
蜂蜜を使うことで卵がふっくらと焼き上がり甘みが加わる。
順子ちゃん「それいいね!採用!!卵焼きを作る時に蜂蜜使ってみるね。」
おばあちゃん「うむ。やってみるといいわい」
順子ちゃんはおばあちゃんの卵焼きを参考に今後の卵焼きを作る際に蜂蜜を使ってみるそうだ。
懐中電灯を持っておばあちゃんは蜂蜜を取りに外の倉庫に行った。
しかし外の倉庫の扉は開いたままであった。
おばあちゃん「あらやだ。開けっ放し、閉め忘れちゃったわ」
倉庫の鍵を閉め忘れ自分が倉庫の扉を開けっ放しにしたのだと思い込んでいたが
ゴトコトと倉庫の中から物音がした。
物音に気付いたおばちゃん、倉庫の中に入るが中は暗くて見えない。
懐中電灯を使い倉庫の中に光を入れて、物音の真実を照らし出す。
おばあちゃん「ん?なにか動いおるぞ」
動いている物体に光を当てた。
クー「う!まぶしい~」おばあちゃん「あ!まさか!」
黒い毛並みに小さい耳の獣、おばあちゃんが倉庫で見た動物は熊だった。
おばあちゃん「ギャーーー!!」
おばあちゃんは驚き、悲鳴を上げた。
その声が家の中にいる順子ちゃんと保志、そして幸に届いた。
幸「え!?なに?」順子ちゃん「おばあちゃんの声!!」保志「どうしたんだろう?」
順子ちゃん「行ってみよう!」保志「うん!」
二人はおにぎりを作るのを中止しておばあちゃんのいる倉庫へ走っていく。
幸「順子ーーーーー!保志ーーーーー!佐藤さーーーん!」
順子ちゃんと保志とおばあちゃんの三人に叫んだ。
保志「ママの声!」
母である幸の声が聞こえて足を止めた二人、足を怪我していて動けないため心配だ。
順子ちゃん「保志はお母さんのところに行って!私はおばあちゃんのほうに行くから!」
保志「うん!ママーー!!」
順子ちゃんはおばあちゃんのところへ、保志は母のところへ向かった。
倉庫ではおばあちゃんが熊に遭遇し怖さのあまり腰が引け尻もちをつき動けなくなってしまった。
倉庫の中にいたのは子熊のクーであり、空腹のため住宅街に食べ物を探して
佐藤おばあちゃんの家に入り込み倉庫で蜂蜜を見つけ食べていた。
蜂蜜が入っていた瓶は割れている。それだけでなく倉庫の中は散乱していた。
クー「僕が怖いのかな?よーし獲物発見!今度は捕まえるぞ!」
クーは蜂蜜を食べていたが物足らず今度は倉庫に入ってきたおばあちゃんを標的にした。
クーはおばあちゃんに近づく。
おばあちゃん「く!来るな!!」
クーは強気である。自分に恐れをなしているものを見て自分の強さと自信がついたかもしれない。
クーがおばあちゃんに襲い掛かろうとしたその時
順子ちゃん「コノヤローー!!」
順子ちゃんが飛び込んできてスコップで子熊を叩き付けた。
おばあちゃんはもう少しで熊に食われそうであった。間一髪だ。
クー「いたーー!」順子ちゃん「おばあちゃんから離れろ!!」おばあちゃん「順子ちゃん!!」
順子ちゃん「コノヤロー!コノヤロー!」
熊の体の大きさを見た順子は追い払えると思い
熊に恐れず果敢にスコップの金属部で何度も熊の頭部や顔を叩き付けていく。
クー「いたいいたい!!」
クーは順子ちゃんの攻撃をくらい一歩後ろに下がりのけぞった。
保志の方だが母がいる洋室にいた。母は無事であった。
おばあちゃんの方になにかあったようだが。
保志「ママ、おばあちゃんとお姉ちゃんのところにいく!」
幸「だめよ!!きっと熊がでできたのよ!危ないから行っちゃダメ!」
保志「おばあちゃんとお姉ちゃんが危ない!!助けなきゃ!!」
幸「あなたが行ってもどうにもならないわ!ここにいなさい!」
保志「嫌だ!!お姉ちゃんとおばあちゃんが殺されてもいいの?」
幸「違う!そんなつもりで言ったんじゃないわよ!!待って!!」
保志は母の言うこと聞かず、順子ちゃんとおばあちゃんを助けに走っていった。
倉庫では順子ちゃんが子熊と戦っている。
順子ちゃん「コノヤロー!コノヤロー!この熊だな!よくもお母さんに怪我を!おばあちゃんも狙いやがって!」
順子ちゃん「夏休みの宿題めちゃくちゃにしてたらただじゃおかないから!」
夏休みの宿題はさておき母を傷つけさらにはおばあちゃんまで襲おうとした熊に
腹を立てる彼女は怒りに身を任せスコップを振り下ろし何度も子熊のクーを殴る。
クー「いたいいたい!!」
スコップの先端は硬い金属のため、たとえ毛皮が守っていてもとてつもなく痛いだろう。
順子ちゃん「はあ…はあ…」
スコップは重く彼女の肩と腕に負荷がかり疲れが生じている。
クーも何度も攻撃をくらって弱ってきているが順子ちゃんもだんだん体力が落ちていき動きが鈍ってきている。
クー「痛い!何度も殴るな!!!」順子ちゃん「うわあ!」
爪で反撃を仕掛けてきた。
咄嗟に一歩下がって攻撃をかわしたが
さらにもう片方の腕で追撃し彼女の腹部を引き裂き血が飛び出た。
順子ちゃん「うわあああ!」おばあちゃん「順子ちゃん!!!」
クー「お前許さない!先にお前だ!」
突進し彼女を突き飛ばし持っていたスコップは地面に落ちた。
順子ちゃん「うあああああ!」
クーの体長は100cmあり、保志の身長105cmとほぼかわらない。
彼女にとっては強烈なタックルである。子熊でも突進攻撃は強力だ。
突き飛ばされた順子ちゃんは打撲と爪で引き裂かれた腹部は服がさけただけで軽い切り傷程度なのが幸いだが
クーがさらに順子ちゃんに追撃しようとしてきている。
順子ちゃんは動けない状態でこの攻撃を受けたら怪我だけでは済まない。
順子ちゃん大ピンチ。
クー「お前から喰ってやる!!」
クーが順子ちゃんを喰おうとしたその時
保志「お姉ちゃんから離れろ!!」
保志が順子ちゃんを助けようと子熊の顔目掛けて備中鍬をフルスイングで殴った。
クーの片目に備中鍬の刃が突き刺さった。
あまりの痛さにクーは地面に転がり暴れた。
クー「うわあ目が!!」片目は出血し失明した。
保志「よくもお姉ちゃんとママを!!」順子ちゃん「はあ…はあ…保志…助かったわ…」
備中鍬を思いっきり振りかざしおろしたと同時にジャンプし体重をかけ先端の刃で攻撃する。
刃を鋭く体毛は剥がれ、皮が抉られ血も出てきた。
おばあちゃん「悪いが…死んでもらう!熊汁も悪くない!!!ごめんよ!!」
おばあちゃんは地面に落ちたスコップを拾いそれで保志と共に加勢し、子熊を殴りつける。
動物を傷つけるのはよくないと良心が痛むおばあちゃんだが命を狙われている身であり、やむを得ない。
クー「いたいいたいごめん!ごめん!やめて!僕の負けだ…」
クーは悲鳴をあげ攻撃をやめて欲しいと懇願するが言葉は通じない。
保志は母だけでなく姉を傷つけたことで怒り、感情が高ぶっている。
二人の攻撃は恐らく止まないだろう。
順子ちゃん「く!はあはあ!こんちくしょうおう!!」
彼女は立ち上がり家の中に入り玄関で靴を脱ぎ2階のベランダまで上がり、
そこで靴を履き、屋根によじ登った。
順子ちゃん「保志!!おばあちゃん!!そこどいて!!」
声が聞こえそちらに目をやると順子ちゃんが屋根の上に立っていた。
保志とおばあちゃんは一旦どいた。
今子熊は弱っていて動かない。
彼女は2階の屋根から飛び降り子熊に全体重をかけ踏み潰した。
順子ちゃん「必殺!!熊殺し!!!」蛇殺しならぬ熊殺し。
クー「ぐはあ!!」
順子ちゃんの体重は25kg前後あり、佐藤おばあちゃんの家の高さは約8mあるためその威力はかなりのものだ。
この攻撃を受ければ流石の熊も仕留められただろう。
家族を守るために戦う彼女は命の尊さを感じ、今一度子熊の体の上で命という文字を体現させた。
順子ちゃん「はあ…はあ…これでどうだ……南無阿弥陀仏…」
しかしまだ生きていた。
クーは三人の猛攻で弱ってきている。
クー「う…痛い…ママ助けて!!」
自分の命が危険であると悟り母熊の助けを呼び叫ぶ。
母熊は息子のクーを見つけるため、町中を探し回っていた。
オオオオオオオオオオ!
「ママ助けて…」
母熊「クーーーーーー!!」
クーの声が聞こえた母熊は佐藤のおばあちゃん家の方へ猛ダッシュした。
佐藤おばあちゃんの家のブロック塀の壁を壊し強襲する。
順子ちゃん「何の音?」
三人はものが大きく損壊する音が聞こえた。
悪い予感がする…
何かがこちらに迫ってくる…
続く
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