ジュンコチャン

第23話 ドラゴンアドベンチャー 終章

勇の家で「ドラゴンアドベンチャー」の続きである。
順子ちゃんの弟の保志を入れて5人でプレイとなる。
そして良樹のデータでプレイと言うことで、保志はレベル28のナイト「あいうえ」を選んだ。
本当は「じゅんこ」と言うユニットが使いたかったらしい。
良樹が持っている勇者以外のユニットで一番強いのはこの「じゅんこ」というユニットだからである。
「あいうえ」は二番目に強いユニットだから選んだだけである。
保志「なんで姉ちゃんの名前なの?前からやってたの姉ちゃん?」
順子ちゃん「今日やり始めたばかりよ。」
良樹「はは、あまり気にすんなよ~みんなと楽しく遊ぼうぜ~」
姉の順子ちゃんの名前が使われていることに疑問に思う保志だが
良樹は棚に上げて、彼に遊ぶことを促す。
真木「良樹は順子ちゃんのこと好きなんだろうな~」勇「ふふかもね」
良樹「おいやめろ!!さっさと始めるぞ!」
なぜ良樹は自分のユニットに順子ちゃんの名前をそのまま使ったのだろうか。
その真相は彼しか知らない。
茶番はここまでにして、憤炎のオーブ(赤色)を求め第一関門であるロクバール軍の要塞に挑む。
このイベントをクリアしなければ憤炎のオーブ(赤色)のダンジョンがある灼熱大陸マスカレードに行くことができない。
良樹たち5人のパーティについてだが
良樹の勇者33レベル、順子ちゃんナイト30レベル、真木のナイト24レべル、
勇のウィザード29レべル、そして保志のナイト28レベルである。
攻撃と防御に優れるナイトを中心に前衛して敵陣を攻め、
そして敵の長距離などの飛び道具や魔法攻撃には勇のウィザードでカバーしていく。
勇者、ナイト3、ウィザードと接近戦に特化したパーティになっているが勝ちは狙えるだろう。
午前中いっぱいユニットの強化に費やし装備も十分にした。
この頑張りが報われるのかご武運を祈りたい。


順子ちゃん「いくわよ!保志!」保志「うん姉ちゃん!!」
姉と弟が共闘し敵陣に攻めていく、順子ちゃんに負けず劣らず保志も
初心者とは思えないほど、敵を次々と倒し強い動きを見せていく。
初心者が既存プレイヤーと混ざってプレイするとき陥りやすいのが
初心者のプレイヤーは失敗するのを怖がり慎重にプレイをしてしまい
かえって場面に適さない動きをやってしまうことがよくある。
順子ちゃんと同様保志も臆さずボタンを押して直感でプレイしている。
迷わず敵の方へ十字ボタンを押して、コマンド操作で敵を倒していく。
良樹「保志もうまいな!」
保志「一度このゲームやってみたかったんだ。これ面白いね。」
保志はこのゲームにすぐにはまった。
保志もアクションゲームが得意の様だ。
簡単操作で爽快なプレイができるこのゲームが万人に受けいれられているのは納得である。
順子ちゃんや保志のようにアクションゲームが得意で好きな人は楽しく遊ぶことができるだろう。
協力プレイ人数に応じて敵の数が増え激しさも増しているが予めプログラムされたCPUでは
一定の行動しかしない。
実際の人がプレイするように臨機応変な動きはできない。
アクションゲームが得意な保志が加わってパーティ全体の勢いも増している。
良樹と真木も続いて攻める。
ロクバール軍の兵士が次々と倒され、良樹パーティーと同盟を組むレジスタンスはどんどん
ロクバールの要塞へ近づいていく。
だが
保志「あ!なんか飛んできた」
岩投げや鉄球が良樹パーティーに襲ってくる。
保志はそれをひらりと避けるが
保志「うわ!何あれ速くない!?」
魔導師の岩魔法ロックアローが命中してしまう。
良樹「くそ!俺たちはあれに何度も苦しめられたんだ!」
この攻撃は威力とスピードが高く良樹たちの手に負えず今日までクリアできない原因になっている。
保志「だったらあれ出してくる敵を倒すしかないじゃん!」
良樹「そうしたいんだけど前にいる敵が邪魔なんだ」
前衛にいる敵兵が魔導士たちを守っていてなかなか攻め入ることができないのだ。
保志「よし‥いくぞ!」
僅かな隙を狙い、保志は敵陣をかいくぐり魔導士たちに攻撃を仕掛けた。
保志の攻撃によって魔導士たちの魔法攻撃が制止しする。
魔法には詠唱時間があるため隙ができる。
その隙を狙うことで魔法攻撃を阻止することができる。
順子ちゃん「やるじゃん!保志!」
真木「隙を見て攻めるのもありかもしれない。目の前の敵ばかりにとらわれちゃ勝てないよな。」
勇「なるほど!真木は前の敵をお願い!僕も保志君みたいに魔導士たちの攻撃を阻止するよ!」
真木「おうわかった!」
勇と真木はお互い協力し合い、前衛の敵兵を真木が引き受け後衛の敵の魔導士に勇が攻める。
順子ちゃん「保志のおかげで何とかなりそうよ!」
良樹「ありがとう!これなら突破できるぞ!」
保志のアグレッシブな攻めでパーティーの士気が高まりついにロクバール要塞の中核に入ることができた。
要塞の中核にはロクバールが。
ロクバールは巌窟のオーブ(黄色)を持って高らかに笑っている。
ロクバールは我を失っているようだ。
ドラゴンの秘宝には神アドベントの力が宿りその力は強大である。
使い方を間違い、己の欲望のために使ってしまうと邪悪な心がドラゴンの秘宝に反応し
暴走をはじめその力に溺れ自我を失ってしまう。
ロクバールは今、ドラゴンの秘宝の力に飲み込まれようとしている。
岩窟のオーブ(黄色)は周囲に邪悪なオーラが放つ。
そのオーラがロクバールに取り込み、その男の方に無数の岩が集まりそして大きな岩の魔人と化した。
大きな岩の魔人が良樹パーティーを襲う。
良樹「やっとボスお出ましか!来るぞ!」
順子ちゃん「ちょ!なによ!こいつ鬱陶しいじゃない!」
大きな岩の魔人は見た目に反し激しく動き回る。
岩で固められた両腕でユニットに攻撃してきてさらに大きく飛びつき
衝撃で地鳴りを起こし、上から岩が降ってくる。
良樹パーティーは避けるだけで精いっぱいである。
ユニットのライフが削られていく。
温存していた回復アイテムを使って回復し逃げながら立ち回っているがそれでは埒が明かない。
回復アイテムを消耗すればいずれなくなり、パーティーは全滅する。
守ってばかりいると勝てない。
だが敵の動きが速くさらに攻撃も激しいため近づけば攻撃を受けてダメージを負ってしまうため迂闊に近づくことができない。
真木「強い!こんなのどうやって勝てばいいんだよ!」
真木も良樹と勇と同じこのゲームを持っていて、クリアするにはこのボスと戦っていかなければならないので
倒すことができるのか不安になる。
ここで勝てなければ不安が募ることになるだろう。
良樹「絶対に勝つ!諦めてたまるか!」
今日の午前中はユニットの強化にすべて注いだのだから何としてでも勝ちたい。
勇「連携で体勢を崩すんだよ。みんな隙を見て足を狙って!」
良樹「でもどうやって?」
勇「力をためる攻撃があって、そこに隙が生まれる!そこ狙うんだ!」
良樹「おう!わかった!」
大きな岩の魔人の力をためる攻撃は強力だが隙がある。
力をためている間に足を攻撃し、動き出しそうになったらボス本体から離れる。
ヒットアンドアウェイ的な戦法をとって行けばボスの体力を削ることができる。
勇は一度このボスと戦い勝った経験があり、彼なりの攻略法を持っている。
攻略側もこのような戦法を推奨している。
足を攻撃し続ければ、体勢が崩れ倒れ攻撃のチャンスが生まれる。
良樹たちはボスの攻撃を避け続け、ボスが力をためている間に攻撃するのを繰り返した。
足を攻撃し続けた結果、ボスの足は攻撃に耐えきれず体制が崩れ倒れた。
勇「よし今だ!」良樹「一気に攻めるぞ!みんな!」
全員一斉にボスに攻撃を開始し順子ちゃんと保志は連携攻撃でボスのライフポイントを多く削り
そしてボスを倒すことができ岩窟のオーブ(黄色)を取り返した。
見事ロクバール政権に打ち勝ち革命を成功させた。
ガイアール国王は先代国王サラザルの息子カルセドが王位に就いた。
独裁者ロクバールによって奴隷のような暮らしを強いられた民たちは解放された。
ロクバール政権からの解放こそが民たちの悲願である。その悲願は叶ったのだ。
カルセドが王として迎えられ民たちは歓喜した。
カルセドはガイアール国王としてその責務を全うし、民たちの暮らしのための政治をするだろう。
カルセドがレジスタンスの中にはマスカレードの戦士がおり
ロクバール政権を打倒した暁には、ロクバールによって拉致されたマスカレードの人々を解放し
ガイアールとマスカレードが再び友好国として築くことを誓ったのだ。
その約束を果たし、今ガイアールとマスカレードは友好国となった。
カルセドは勇者「よしき」に報酬のゴールドと浮遊石を渡した。
浮遊石は飛行艇を作るために必要な素材である。
飛行艇ができれば、浮遊大陸クラウドンに行くことができる。その大陸は浮島である。
浮遊大陸クラウドンには天使のオーブ(白色)のダンジョンがある。
つまり良樹は天使のオーブ(白色)のダンジョンへの挑戦権を獲得したことになる。
封鎖されていた橋は開放されこれで通れるようになった。
良樹「よっしゃーーーー!」
良樹も大いに喜んだ。なかなかクリアできなかったイベントなのだ。
足踏みしていた彼はようやく前に進めることができるのだ。
だが喜ぶのはまだ早い。ここからが本番である。


ドラゴンの秘宝である憤炎のオーブ(赤色)を求めその秘宝が眠るダンジョンを良樹たちは目指した。
良樹「やっとここまできたな…長かったぜ…」
勇「うん…でもここからだね…僕は3つ目でクリアしたけど5つ目はどうなんだろう…」
保志「どうしたの?」
勇「僕らが次に挑むダンジョンは難しいんだ。」
勇は3つ目で憤炎のオーブ(赤色)を入手することができたがかなり苦戦した。
5つ目となればその分敵のステータスも上昇している。
先ほどクリアしたイベントも危うかった。
良樹「勝てるかな~ここまで来ただけでもいいのかな~」
憤炎のオーブ(赤色)が難しいことは勇の話を聞いて難しいということは本人も理解している。
最悪勝てないということも十分にあり得る。
挑戦権だけ得ただけでも進歩かもしれない。
良樹の心の中にはあきらめという絶望と勝てるかもしれないという希望の両方がある。
真木「リーダーがあきらめてどうすんだ?俺たちがいるだろ」
順子ちゃん「私たちがいるのよ負けるわけがないじゃない!」
保志「僕も頑張るよ!」
勇「なんのための協力プレイだったかな?僕は一度クリアしているから対策もしてるよ。みんなで勝とうよ良樹」
良樹「みんな…ああ俺がへこたれちゃいけないよな!」
友達に励まされる良樹。
良樹は一人で戦っているのではなく友達とみんなで戦っているのだ。
順子ちゃんとその弟の保志、真木に勇がついている。
パーティーがまた一丸となり団結力が深まった。
現在パーティーのそれぞれユニットの
レベルは良樹35レベル、順子ちゃん32レベル、保志30レベル、真木27レベル、勇31レベルである。
そして五人は、憤炎のオーブ(赤色)のダンジョンに挑むのであった。
ダンジョンに入ると火口となっており灼熱の炎が辺り一面に燃え上がらせている。
テレビの画面から火がこちらに飛んでくるかのような迫力とリアリティがあり
色彩は燃える赤を主張している。
火山岩集まりそれが道となって通れるようなっているが下はマグマである。
そのマグマは湧きあがり火の玉となり行く手を阻む。
まさに挑戦者の勇気が試される。
良樹「先に進むぞ!」勇「火の玉には気を付けてね!」
火の玉に当たるとダメージになる。
ライフ管理も怠らず、火の玉はなるべく当たらないようにしたい。
ダンジョンに潜むモンスターは、火炎弾を放つ。
それも速くて強力である。
足場は広く、操作ユニットがマグマに落ちないように設計されていて見えない壁があるということになっているが
空間の認識を把握していない初見の状態だとわかりずらい。
このダンジョンをクリアした勇からマグマには落ちないと教えてもらったので気にせず進むことができる。
しかし火の玉はランダムに飛んでくるため、ウィザードやヒーラの魔法の詠唱中に被弾したり
ナイトやファイターの攻撃を妨害されたりなど厄介である。
コンボ数の少ないスキルや詠唱時間が短い魔法で戦うしかないがどれも威力が低いものばかりだ。
出現する敵も火炎弾だけでなく、範囲が広い攻撃や素早い動きをしてきて手強いものばかりである。
良樹「あ~もう勘弁してくれよ~」真木「強い敵が多かったな~」
順子ちゃん「それにあの飛んでくる火が邪魔よね」
勇「ダメージ量も多かったし、回復アイテムも結構使っちゃったね」
勇はこのダンジョンの対策としてウィザードに水魔法のアクアスプラッシュを習得している。
勇のおかげである程度戦闘は楽になったものの
ダンジョンの仕掛けや、敵の強さに苦戦した。
回復アイテムもいっぱいになるまで買い揃えたが序盤でかなり使ってしまった。
体力や回復アイテムを温存し、ボスまでたどり着くことができるのだろうか。
中盤は難解な仕掛けやトラップが良樹たちを襲うが
クリア経験のある勇が攻略法を知っているため難なく突破することができた。
真木も今後ダンジョン攻略の参考になり、対策を講じることができるであろう。


現在時刻18時になろうとしていた。
休憩もあったが長時間のプレイで良樹たちの体力も集中力も低下してきている状態だ。
途中勇の家のお菓子が提供されたが順子ちゃんがすべて食いつくしてしまう。
とても高級なお菓子で本人は満足したそうだ。
今夜は夕食もご馳走してもらえるそうなので、ゲームの画面より食べ物が頭に浮かんでいる順子ちゃんである。
彼女は空腹の状態である。
良樹と真木と勇の三人は疲れが来ていて少し頭痛もしている。
一方で保志は楽しみながらプレイしている。
なんとかゲームオーバーせずにダンジョンの終盤までたどり着くことができた。
しかし回復アイテムは残りわずかである。
回復アイテムがかなり消耗してしまった原因は良樹パーティーに、ヒーラーがいなかったことにある。
ヒーラーには回復魔法や攻撃を防ぐ防御魔法などユニットをサポートするスキルに長けている。
ヒーラーもゲーム攻略において重要な存在でありこの憤炎のオーブ(赤色)のダンジョンにおいて
より活躍が見込める存在であった。
防御魔法のバリアは一定時間敵の攻撃を防ぐ障壁を生み出し
敵の攻撃からユニットを守ってくれるが接近戦などの物理攻撃は簡単に剥がされてしまう。
しかし飛び道具などの遠距離の攻撃には強く、敵が放つ火炎弾や今回のギミックである火の玉も防ぐことが可能なのだ。
またマジックリフレクションと呼ばれる防御魔法は敵の攻撃魔法を跳ね返すことができ
どちらもヒーラーが20レベル前後で習得できる。
ヒーラーさえいれば良樹たちはここまで苦労せずに進めることができた。
既にクリアしたがガイアールのイベントの岩魔法ロックアローに頭を悩ましていたが
マジックリフレクションで肩透かしを食らうようなレベルまで難易度は下がっていたのだ。
せめてパーティの中にヒーラーが一人でも欲しかった。
攻略本やネットなどの攻略情報にはヒーラーも攻略に必須と明記されている。
勇の生活環境なら攻略情報をすぐに見れることが可能なのだが
彼はあえてそれはせず、経験をもとに攻略してプレイすることにした。良樹もしかりである。
サポートするよりも敵と戦ってアクションプレイする方が楽しいのである。
彼らはまだ小学生で保志は保育園児なので好きにプレイしてもいいかもしれない。
縛りプレイで難しくして楽しむプレイヤーもいるが
良樹たちは図らずも難易度が難しくなる方向に進んでしまったのだ。
もうすぐ、ドラゴンの秘宝を守護するドラゴンがいる最深部にたどり着く。
三人は緊張していた。勝てるかどうか。
保志はワクワクしていた。どんなボスが出てくるのか。
順子ちゃんはお腹が減っていて夕食が待ち遠しかった。


憤炎のオーブ(赤色)が置かれた台座の前にドラゴンが守っている。
このドラゴンがダンジョンのボスである。
咆哮とともに戦闘が始まり神秘的で壮大で力が沸き立つような音楽が流れる。
その音楽がプレイヤーの勇気を与えると同時に緊張感も高まった。
順子ちゃんと保志も鳥肌がたち、彼女は再びゲームの世界に引き込まれた。
一斉に五人がドラゴンに立ち向かっていく。
ドラゴンは翼を広げ飛び、火炎弾を吐いて攻撃してきた。
良樹「うわあぶね!」
ドラゴンの攻撃は止まず火炎弾を吐き攻撃を続けプレイヤーが操作するユニットを焼き付くそうとしている。
良樹「負けるか!」順子ちゃん「絶対に勝つわよ!」
二人は炎をかわしながらドラゴンに接近を試みたが、飛行している状態で近づくことができない。
真木「こいつの攻撃が終わるまでは避け続けるしかねえな」
だがドラゴンの攻撃は激しさを増し、勢いをつけて突進してくる。
良樹「くそ!!」順子ちゃん「うわああ~やれた~」
ドラゴンの火炎弾と突進攻撃を何回か食らい回復が追い付かず順子ちゃんのユニットのライフはゼロになってしまう。
順子ちゃんはコントローラーを静かに置いた。
保志「姉ちゃんの仇を取る!」
良樹「でもどうやって」真木「近寄れねえんじゃ無理だろ」
良樹「おいこれ無理ゲーじゃね?」
憤炎のオーブ(赤色)を守護するドラゴンには翼があり飛行能力がある。
ドラゴンは飛行をしながら火炎弾と突進攻撃をしてくるのだ。
接近戦を得意とするナイトではまともに戦うことができない。
勇「飛び道具を使って戦うんだ!」
飛び道具や魔法攻撃を中心で戦うしかないだろう。
しかし持っているのアイテムは回復系の物ばかりで飛び道具は少ない。
飛び道具には爆弾や鉄球など威力の高いものなどがあるがそれはすべて消耗品で一度使えばなくなってしまう。
ドラゴンの動きは素早いので確実に命中するのは難しいだろう。
ドラゴンに一定のダメージを与えられれば、ダウンする。
ダウンすればナイトで得意のコンボ攻撃を与えることが可能だ。
まずはドラゴンをどうやってダウンするのかだ。
勇のウィザードの魔法攻撃に頼るしかないのだろうか。
良樹の操作するユニットの勇者は魔法を習得している。
良樹も魔法で戦うしかない。
良樹「今更魔法使うなんてできるわけないだろ。だって一度も使ったことないし」
しかし彼は今まで魔法を使ってプレイしたことがないのだ。
真木「なんでだよ!良樹、このままじゃ勝てないぞ!やってみる価値はあると思うぞ!」
真木「俺と保志が注意を惹きつける。いくぞ保志」保志「うん!わかった!」
良樹と勇の魔法攻撃が当たりやすいように真木と保志がドラゴンの注意を惹きつける。
ユニットのライフも減っていて赤い点滅が表示されている。
回復アイテムも2個しかなく、パーティーに全振りして回復することができない。
良樹「やるしかないな!」良樹は意を決して魔法で戦う。
勇者「よしき」のスキルには、水魔法のアクアスプラッシュを習得していた。
良樹「これで勝負だ!」
水魔法のアクアスプラッシュを放つため、詠唱開始する。
足元には魔法陣と周りに魔力のオーラが包まれる。
しかし詠唱が間に合わずドラゴンの火炎弾で妨害されてしまう。
真木と勇のユニットもライフポイントが0になってしまった。
残りが良樹と保志だけになってしまった。
そしてドラゴンの突進攻撃してきた。
保志のユニットの方に向かってきたこれが命中してしまえば保志もライフポイントが0になる。
保志「いくぞ!」
保志はドラゴンの突進攻撃を避け、避けたと同時に攻撃を当てた。
保志「やった!」
ドラゴンにやっとダメージを与えることができた。
順子ちゃん(なるほどそれでいけるのね!)
良樹「保志すげえな」
次もドラゴンが突進攻撃を仕掛けてきた、保志はもう一度回避しながら攻撃を試みた。
だがそれがうまくいかずダメージ受けてしまいライフポイントは0になった。
良樹「うあああ!くそ~もうだめだ~」
残るは勇者「よしき」だけになった。
順子ちゃん「良樹!私に任せなさい。コントローラー貸しなさい!」
良樹「まさか順子…」順子ちゃん「勝てせてあげるわよ!」
なにか秘策があるのではと思い良樹は順子ちゃんに賭けコントローラーを渡した。


順子ちゃんは勇者「よしき」を操作してプレイを開始した。
回復アイテムをすべて使い全回復した。
勇「一体何をする気なんだ?」
順子ちゃん「保志のやったあれをやるのよ!」保志「なるほどね!姉ちゃん!」
ナイトやファイターが飛び道具以外でドラゴンにダメージを与える唯一の方法は
ドラゴンの突進攻撃の時にタイミングよく避けて攻撃することだ。
真木「おいできんのか!?」
ドラゴンの突進攻撃は速くタイミングもシビアである。
順子ちゃんにそれができるのだろうが。
順子ちゃん「来い!ドラゴン!」
順子ちゃんの操作する勇者はドラゴンの突進攻撃を避けただけでなく、攻撃を決めた。
次もそのまた次も決めた。
ドラゴンの攻撃は激しくなり速くなるがひらりと避け、突進攻撃したらチャンスを逃さず攻撃を命中した。
さらに攻撃パターンを読み、火炎弾の攻撃範囲を把握したのか火炎弾を当たらない安全地点で
水魔法の詠唱を唱え、ドラゴンに命中させた。
ダメージが蓄積していきついにダウンした。
順子ちゃん「飯ーーーー!」
ドラゴンにコンボを炸裂し、最後は必殺の奥義でフィニッシュした。
ドラゴン「ギャアアアアア!!」
ついにドラゴンを撃破した。
良樹「まじか…!やったーーーー!」
良樹「順子ーーーー!」彼は嬉しさのあまり彼女に抱きついた。
順子ちゃん「ちょっと離しなさい!飯よ飯!飯に行くわよ!」
順子ちゃんは良樹を突き飛ばした。
時間は19時の時間になり、ちょうど勇の家族がご飯の用意ができたと呼びに来たところである。
勇「みんなお疲れ!そろそろご飯の時間だね!ご飯ご馳走するよ!」
真木「ありがとう勇。順子ってゲームうまいんだな」
保志「僕のお姉ちゃんすごいでしょ~」
良樹「あ~痛たた~まったく突き飛ばさなくてもいいだろ。」
良樹「まあでも順子ありがとなこれでドラゴンの秘宝は5つになった。さあデータをセーブして夕食に」
良樹「んてあれ!」
テレビの画面が静止していてどのボタンを押しても操作を受けつけなかった。
どうやら衝撃でゲームが動かなくなってしまったのだ。
勇と真木のGVDはホストから通信が切断されましたとポップアップが表示された。
二人が協力プレイで使用したユニットのレベルは引き継ぐので問題はない。
だが良樹はもう一度再起動をかけて始めたら、
良樹「うっ嘘だろーー!!」
ガイアールのイベントが始まる直前であった。
良樹はセーブを忘れていたらしく今までのプレイが水の泡となってしまったのだ。
勇の家族が作った料理はとても豪華でとてもおいしかった。
順子ちゃんたちはお腹いっぱいご飯を食べたのだった。良樹を除いて…
橘家の執事が車を出してそれぞれお家に帰らせた。
実家に到着した順子ちゃんと保志。
玄関に迎え入れたのは父の広武である。
母より先に仕事が終わり先に帰っていたようだ。
広武「おかえり。飯はもう食べたんだろ?」
保志「うんとってもおいしかったよ」
広武「順子これ。高橋さんから。お前忘れ物してたみたいだぞ。」
順子ちゃんの忘れ物は猫の絵柄がついたトートバックであった。
そのバック中には夏休みの宿題が入っていた。
順子ちゃん「あ!忘れてた!良樹の家で宿題する予定だった!」
広武「なんで宿題やる予定で来たのに肝心の宿題を忘れんだよ!」
広武「今日は何してたんだ?」
順子ちゃん「ゲーム」保志「ドラゴンアドベンチャー!」
宿題は忘れてしまったが順子ちゃんはドラゴンアドベンチャーを保志と良樹たちと遊んで楽しい思い出ができた。
高橋家にて良樹だが自分の部屋で静かに泣いていた。
良樹「やりなおしなんて萎えるんだけど…」
それよりも良樹はそろそろ夏休みの宿題をしたほうがいいだろう。

戻る