ジュンコチャン

第17話 辛抱のとき

夏休みに突入し8月になる。
とうとうこの日がやってきた。
友ちゃんと薫の怪我は完治され予定通り退院となるのだ。
友ちゃんと薫はそれぞれ家族が病院に到着するまでの間に帰りの支度をしている。
二人は夏休みが始まる前からやっていたので半分以上進めることできた。
この調子で残りの宿題はお家で片づけよう。
薫は早いうちに、休みの宿題を終わらせるという牛久先生との約束を果たせそうだ。
今の薫なら家でも怠けずちゃんとやってくれるだろう。
桂里奈は二人が帰りの支度をしている姿を見ていた。
二人もこれから楽しい夏休みが始まろうとしている。
三人一緒にいて、家族や友達がお見舞いに来てくれたり、やるべき夏休みの宿題があったりと病室での生活は
退屈ではなかったがようやくこの閉鎖された空間から友ちゃんと薫は解放されるのだ。
しかし桂里奈は退院できない。
二人よりも怪我が酷かった。
尾てい骨を骨折しているため激痛で歩行が困難で、下顎も骨折していて咀嚼できず食事は流動食になっている。
味もよくはないはずだろう。
病院食は栄養やアレルギーなどを考慮して患者に提供している。
日々患者のため改良を重ね、味は改善されていると思われるがあまりおいしくないという印象は拭えない。
しかし入院してまで病院食は食べたくはないだろう。
桂里奈が一番つらいのは二人が退院し一人病室に取り残されてしまうことだ。
骨折による痛みでとても辛いが友ちゃんと薫の会話を聞いているだけで幸せでいられた。
診察のために移動する時は車椅子を二人が押してくれた。
そんな二人が退院していなくなってしまうのだ。
怪我が完治されて健康体になってくれたのはとても喜ばしいことだがもっと二人と一緒にいたい。
彼女はそう思っていた。
薫「友ちゃん、忘れ物はないか?」友ちゃん「うん!薫も大丈夫?」
薫「ああ宿題やり忘れるなよ。」友ちゃん「ふふ、それはこっちのセリフかも」
友ちゃんと薫「はははははは」桂里奈(二人仲良くなったね‥)
二人の笑顔に桂里奈の心が和むが同時に胸を締め付ける。
これで二人の会話が聞けるのが最後であると寂しくなってしまうのだ。
この病室に三人でいられるのは友ちゃんと薫の家族が病院に迎えに来るまでの時間しかない。
二人に声をかけたいが顎が痛くて喋れない。
自分が情けなく感じ悔しくなり涙を流してしまった。
薫「桂里奈‥」友ちゃん「桂里奈お姉ちゃん‥」
桂里奈が泣いているの見て二人は心配になった。
彼女は何か言いたそうだった。
友ちゃんと薫は桂里奈の手を優しく握った。
桂里奈(もっと二人と一緒にいたいわ‥)
薫「友ちゃん、俺たちも桂里奈のお見舞いしよう。」友ちゃん「そうだね。何かおみやげ持ってこようよ。」
薫「おおいいじゃん!」
桂里奈(二人ともありがとう)彼女の目からぼたぼたと涙が溢れてきた。
友ちゃん「泣かないで桂里奈お姉ちゃん」
友ちゃんは柔らかいハンカチで桂里奈の涙を拭いてあげた。
薫「また会えるから‥それか明日にでもいこうか?」
桂里奈(フフ薫‥ありがとう‥)桂里奈は笑みを浮かべた。


看護師「お友達が来ました。」
順子ちゃん「友ちゃん、薫、退院おめでとう!」幸助「おめでとう二人とも!」
順子ちゃんと幸助が先に退院祝いにやってきた。
看護師が来たときはもう二人の家族が来たのだと思っていたが順子ちゃんと幸助だったので少しほっとした。
もう少しだけ、この病室で友達といられるのだ。
順子ちゃん「あ!薫!桂里奈姉ちゃんを泣かせたな~」幸助「あ~!薫お前~」
桂里奈が泣いている姿を見て、薫が泣かせたと冗談を言った。
薫「いや!違うって!」友ちゃん「私たちが退院するから桂里奈姉ちゃん寂しくなってるんだよ!」
幸助「うん。だからお前らも桂里奈のお見舞いしないとな」薫「ああ友ちゃんとそのことについて話していたんだよ。」
順子ちゃん「じゃあこれからは友ちゃんと薫と四人でお見舞いだね!」
桂里奈(順子ちゃんと幸助もありがとう‥)
お見舞いに来てくれる人が一人でも多いほうが賑やかになる。
薫「お前らちゃんと夏休みの宿題はやっているのか?」順子ちゃん「あっえっと‥」幸助「やっやってるよ‥先生に約束してあるし」
薫「友ちゃんこりゃ怪しいな‥」友ちゃん「やってないかも‥」
順子ちゃんと幸助(ギク!)
順子ちゃんと幸助は夏休みの進み具合について聞いてみたがどうも怪しい。
だがやっているかどうかは本人しかわからない。
薫「幸助!やってるかどうかチェックしてやる!後で俺の家にこいよ!」
友ちゃん「私も!順子ちゃんが宿題やってるか見る!」
順子ちゃんと幸助「えーーーー!」
順子ちゃんと幸助は友ちゃんと薫の指導が入り夏休みの宿題を見るそうだ。
心強くなった友ちゃんと薫である。
幸助「うう‥わかった後で薫の家に行くよ」順子ちゃん「しょうがないわね‥」
これで安心だ。順子ちゃんと幸助は夏休みの宿題を終わらせることできるだろう。
この後順子ちゃんと幸助は去り、そして入れ替わる形で友ちゃんと薫の家族が病院に到着した。
少し遅れて桂里奈の家族も病院に到着した。
友ちゃんと薫が退院するということを聞き退院祝いにきたが、自分の娘がまだ退院できず心配でお見舞いも兼ね
今後のことについて医師に相談するためにきたのだ。
桂里奈の母「退院おめでとうございます。うちの娘がいろいろとお世話になりました。」
友ちゃん母「いいえこちらこそ友子を守っていただきありがとうございます。」
薫の母「浅見さんもお大事に。重ねてお見舞いに行きますのでこれからも薫のことよろしくお願いいたします。」
薫「あの、萱場さんのお母さん、桂里奈のお見舞いに一緒に行きたいので連絡先を交換してもよろしいですか?」
薫の母「はい!私からも娘のことよろしくお願いします。」
友ちゃんと薫の二人が一緒に桂里奈のお見舞いに行ける予定を調整できるようにするため連絡先を交換した。
桂里奈は友ちゃんと薫そしてその家族に「ありがとう」と書いた文字の紙を見せた。
友ちゃんと薫「ありがとう」と二人も返事をし感謝をした。
この後友ちゃんと薫は退院した。
桂里奈の母「これからお医者さんに相談に行きましょう。」
桂里奈は母親と一緒に今後のことについて医師と相談した。
来月までには尾てい骨がくっつきその月からリハビリを開始し10月には完治を目指すことになった。
一秒でも早く完治したい。
学校に行けるようになれば友ちゃんと薫に会える。
怪我を治して二人に会うことを心に誓う桂里奈であった。
治療に関して注意しなければいけないことがある。
尾てい骨の骨折を完治しても正常な形で骨がくっつかず変形したままくっついてしまうと
変形障害になってしまう恐れがある。
もし変形障害になったとしても日常生活に悪影響を及ばすことはないが
彼女は受け身を取ることが重要な柔道をしているため後遺症を残せば選手生命に関わる。
後遺症を残さないように医師の指示を聞き、リハビリに励んでほしい。
もう一つ注意するべきは彼女の精神状態だ。
尾てい骨を骨折していると自律神経が乱れやすいことと治療に対する不安と孤独のストレスがより一層彼女にのしかかる。
これからも家族と友達のお見舞いが彼女の支えとなりそしてセルフケアも必要になってくるだろう。
今は辛抱のときだ。
母は自宅へ戻っていった。後で夕方、父が仕事の帰りにこちらに寄るそうだ。
病室で一人の時間がやってきてしまった。
他の患者がこの病室に来るかもしれないが、その人と問題なく過ごせるのか不安だが
喋られる状態じゃないので気にする必要はないと感じた。
誰が来ても受け入れるしかない。


リハビリは9月からでありこの8月は引き続き安静だ。
桂里奈は友ちゃんと薫が使用したベットを見ていた。
看護師によって次の人が使用できるように綺麗にベットメイキングされた。
においや温もり、しわすら残っていない。
だがこの病室に三人一緒に過ごしたという思い出が残っている。
それを思い浮かんでいると寂しくなる。やっぱり二人がいないと辛いのだ。
今まで友ちゃんと薫と会話するために書いたメッセージ用の紙を眺めていた。
反対の手で書いていたので字が汚く読みづらい。
しかしその字に愛着が湧くのだ。
一枚一枚一文字一文字、二人の会話を思い出しながらじっくり眺めていた。
彼女にとってこの紙束はとても大事な宝物だ。
退院した後でもこれを大事にするだろう。
すべて読み終わりベットテーブルに積まれた紙束を見てどこか心に穴が空いたような感覚を覚えた。
どうにかして心に空いた穴を埋めたい。
桂里奈は気を紛らわすため、教科書を取り出した。
新学期に向けて今まで学習したことの復習と予習をすることにした。
病室の中は彼女一人、この静寂が彼女を孤独にさせるが、この静けさこそが勉強の集中力を高めてくれるだろう。
看護師「浅見さん、先生がお見えになりました。」桂里奈(先生‥)
牛久先生「勉強しているとは偉いな」桂里奈がベットテーブルの上に教科書を開いて勉強している姿に感心する。
牛久先生「桂里奈大丈夫か?」
友ちゃんと薫が退院することは元から知っているが病室に残された桂里奈が心配なのだ。
家族と先生が桂里奈の今後についていろいろ話していた。
家族や友達、そして先生がお見舞いに来てくれるが圧倒的に一人の時間の方が長い。
また誰もお見舞いに来れない日もある。
退院の予定は10月であるが新学期が始まる9月の1か月間は授業の遅れが出てしまう。
桂里奈であれば遅れを取り戻せるが先生としては遅れは出したくないと考えている。
牛久先生は手提げカバンからファイルを取り出しホチキス止めされた5つの紙束が出された。
牛久先生「夏休みの宿題は免除とすることにしたがやっぱりそれはなしだ。」
牛久先生「お前にも宿題を出すことにした。俺が特別作った宿題だ。」
やはりこれは夏休みの宿題である。
国語、算数、理科、社会、英語のすべて5教科揃っている。
内容を確認すると夏休みの宿題の問題集から選択式の問題を抜粋したものと先生が特別に作成した選択式の問題を用意した。
どれも数字や丸で囲んで答える問題なので、反対の手で書けるように牛久先生が考慮したのだ。
本来の夏休みの宿題の大半は記述式であるため、書きにくい反対の手では難しく負担になると考え免除にするという判断であったが
選択式にすれば負担は少ないと考えたのだ。
また新学期に入り9月からのカリキュラムも桂里奈のために用意しているようだ。
心の支えにはなれないが先生としてできることは桂里奈に勉強の遅れを取らせないことだ。
一人の時間こそ勉強に専念してほしいのだ。
桂里奈(先生、ありがとう)「ありがとう」と書いた紙を牛久先生に見せた。
牛久先生「桂里奈、お前は一人じゃない。俺もみんながついている。頑張ろうな」
牛久先生は病室から去って行った。
先生の言葉が彼女に大きな励みとなった。
早速夏休みの宿題に取り組む彼女であった。


しばらくして病室に看護師が一人患者を連れてきた。その患者の家族も入ってきた。
看護師「恵ちゃんここがあなたのベットですよ。ゆっくりしていってね。」
恵という女の子が患者でこの病室で療養することになった。
ちょうど桂里奈の正面だ。
恵「パパ、ママ、お金いっぱいかかるよね。ごめんね」
恵の父「いいんだよ。こっちもごめんな」恵の母「気づいてやれなくてごめんね。恵」
恵の父「仕事のせいにするのはよくないが…そのことばかり考えていて恵の異変に気付けなかった…本当に悪かったな…」
恵の両親は共働きである。
父の年収はあまり高くない。夫の低所得を補うため妻がアルバイトしているのだ。
両親が大変な思いをしているので恵は気遣っていた。
腹痛を訴えていたがただの腹痛である思っていた。
恵は相当痛みを我慢してしまったのだ。
話から恵は虫垂炎になってしまい入院することになってしまった。
盲腸の下部に突起している部分を虫垂と呼ばれるがその虫垂が内部に細菌が感染して炎症を起こしてしまう。
悪化すると虫垂の壁が破れてしまい腹膜炎を引き起こす可能性があるのだ。
虫垂切除をした後、縫合手術を行いなんとか命を繋ぎ止めることができた。
だが縫合不全の懸念が残る。
縫合不全は、縫合手術後に起こる可能性がある。
縫合部に圧がかかれば血流が悪くなってしまう。
また腸管に繋いだ部分に何か不具合があると便やガスがお腹に漏れだす恐れがあるのだ。
要観察となり、腹部観察やドレナージを行い排液検査などを行い場合によっては再手術の可能性がある。
恵の年齢は5歳であり手術による体の負担はとても重い。
3~4週間の入院となり経過観察と併せ抗がん剤を投与し虫垂の炎症を防ぐそうだ。
恵「パパ」恵の父「ごめん。仕事に戻るよ。恵を頼む。しばらく仕事は休んでいてくれ。」
恵の父は仕事に戻るようだ。
社会保障や保険で費用負担は軽減されているが、それでも生活のためそして恵の治療費が必要だ。
夫は妻にアルバイトを休ませしばらく恵の面倒を見て欲しいとお願いした。
恵の母「わかったわ」
恵の母は、時間が許す限り娘である恵のそばにいた。
病室に恵という女の子が入り、桂里奈は一人ではなくなったが恵の家族の表情は深刻そうだった。
親子の会話を聞きながら桂里奈は牛久先生が出した夏休みの宿題をやっていた。


時計は5時を過ぎ季節的にまだ明るいが窓からの景色で空の色はオレンジ色を潜めていた。
日が沈み夕方になったのだ。
恵「ママ…行っちゃうの?」恵の母「うんまた来るから心配しないで」
恵の母も夕飯の支度など家事をしなくてはならない。
看護師「堤さん、宮沢さんが来られました。」
恵の母が病室を出ようとしたとき宮沢がお見舞いしに来たのだ。
桂里奈(え順子ちゃん?)順子ちゃん「桂里奈姉ちゃんの同じ病室みたいだね」
順子ちゃんの母親である幸と弟の保志が一緒だ。
幸「堤さん、いつも息子の保志がお世話になっております。」
恵の母「宮沢さん、わざわざお見舞いに来てくださりありがとうございます。」
恵の母「恵の異変にお気付きくださり、保志君には本当に感謝しています。」
順子ちゃん「弟の保志と同じ保育園なの」桂里奈(そうなんだ。なるほど)
保志「恵ちゃん大丈夫?」恵「うん。お見舞いありがとう。」
順子ちゃんの弟である保志は、水戸梅緑保育園に通っていて恵もその保育園に通っているらしい。
改めて、女の子の名前は堤恵(つつみ めぐみ)である。
保志と恵は保育園のお友達で保育園の庭で遊んでいたのだが、恵はお腹を抱え倒れてしまう。
そこで保志が保育士たちを呼んで、その後恵は救急車で運ばれ、そして彼女の両親にも連絡が入った。
これで恵が入院した経緯が明らかとなる。
まさか順子ちゃんがまたお見舞いに来るのは意外だが、これで恵に繋がりを持つきっかけになる。
順子ちゃん「あのね恵ちゃん。恵ちゃんと一緒にいるお姉ちゃんは私が通う小学校の6年生の浅見桂里奈お姉ちゃんだよ。」
順子ちゃん「顎を怪我して今喋れないけど仲良くてしてほしいの。」
桂里奈(順子ちゃんナイスよ!)桂里奈は「よろしく」と書いた紙を恵に見せた。
順子ちゃんが桂里奈と恵を繋ぐ架け橋となる。
恵「よろしく‥」女の子もよろしくと返事した。そして恵の母もよろしくお願いしますと深くお辞儀した。
恵の母「これで恵は一人じゃないわね。辛い思いをされていると思いますが」
恵の母「浅見桂里奈さん、一方的な押し付けで大変失礼ですが私の娘の支えになって頂けたらと思っております。」
恵の母につられて順子ちゃんの母である幸も桂里奈に対し何も言葉をかけなかったが深くお辞儀した。
これからもよろしくお願い致しますという意味を込めてのお辞儀だろう。
桂里奈(任せてください!)白い紙に「まかせてください」と書いてそれを見せた。
恵の母「ん?」反対の手で急いで書いたので読みづらかった。
順子ちゃん「えーと、任せてくださいとのことです!」
順子ちゃんが解読してくれた。
これが桂里奈の返事なのだ。
順子ちゃん「桂里奈お姉ちゃんにはいつも助けてもらってるから私も何かしないとね」
順子ちゃんは白い紙に「まかせてください!」と清書してもう一枚の紙には、「友だちの知り合いの子、めぐみちゃん」と書いた。
桂里奈(ありがとう順子ちゃん)
恵の母とお見舞いに来た順子ちゃん家族は去っていった。


一般の面会時間が残り20分のところで桂里奈の父が来た。仕事を終わらせてやっと来られたがギリギリである。
桂里奈の父「友達は退院したが一人になっちゃったな。寂しいよな‥」
桂里奈は首を軽く横に振り、父に一枚紙を見せた。
「友だちの知り合いの子、めぐみちゃん」と書いてある。
桂里奈の父「どういうこと?」桂里奈は正面を向いて父に伝えた。
桂里奈の正面のベットに女の子がいる。その女の子が恵である。
桂里奈の父と恵と目が合った。
恵「よろしくお願いします。」桂里奈の父「よろしく」笑顔でよろしくと言葉を交わした。
桂里奈の父「そういうことか。でも桂里奈がお姉ちゃんだからしっかりしないとな。フフ」
桂里奈は「まかせてください」と書いた紙を父に見せた。
桂里奈の父「おう任したぞ!」
順子ちゃんが書いてくれたメッセージが効果を発揮した。
桂里奈の父「もう時間だ。もう少し話をしたいが出ないといけない。頑張れよ。恵ちゃんもバイバイ」恵「バイバイ」
面会時間がもうすぐ過ぎてしまうので桂里奈の父は足早に病院から出て帰宅した。
しばらくは恵と一緒だ。もう桂里奈の中は、孤独や不安はもう感じなくなった。
窓はすっかり暗くなり夜になっていた。
食事を済ませ口腔のケアが終わり、就寝時間となった。
窓から光が差し込んでくるまで、暗い病室でゆっくり目を閉じた。
彼女の正面のベットにいる恵はもう寝たのだろうか。
桂里奈はこの病室で友ちゃんと薫が会話していた時のことを思い出しながら眠りについた。
しかし恵にうめき声が聞こえた。
恵「ううううう!痛い!痛い!」
恵は痛みを訴え苦しんでいる。
桂里奈(どうしたの!?)
暗くて姿が見えないが恵に何かあったのだ。
桂里奈(ああどうしようどうしよう!)彼女は恵の急変にパニックになってしまった。
恵の身に何かあったのか?
桂里奈よ‥どうする?‥‥

続く

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