ジュンコチャン

第62話 6年生会議

※この小説にはプロモーションが含まれています。

運動会の練習期間であるが前回二日間の個人競技と団体競技の練習を通して
1年生たちは全体の流れを把握できるようになった。
後は本番の日までに練習を重ね上達し最高のパフォーマンスを発揮し運動会全体を盛り上がらせいきたい。
練習があったからこそだが順子ちゃんはルールを守ることと
チームで協力することの大切さを学ぶことができた。
1年生は初めての運動会であるのに対し6年生は最後の運動会になる。
練習を経て体は温まってきているがそれぞれの思いは交差する運動会はさらに過熱していくと予想される。
練習はまだ続き練習風景だったり内容だったり気になるが
運動会に対してそれぞれどんな心境や思いがあるのか運動会の主役となる6年生たちの様子を見ていこう。


まずは6年1組教室からだ。
6年1組の生徒十人について紹介すると
岡崎大吾、桑原哲也、佐藤圭人、中尾敬次、望月律、石橋周平の男子六人、
佐々木晴香、伊藤葵、落合咲奈、原口美琴の女子四人であり
6年3組とは対照的な男女比になっている。
そしてこのクラスで根に持っているのは前回の綱引きの練習で6年3組に負けたことである。
女子よりも比較的に筋力がある男子が人数的に多いこのクラスが負けてしまったのでそれが腑に落ちないのだ。
1組には大吾がいてさらに男子が彼を合わせて六人もいるため
単純に考えれば6年生のクラスだけで綱引きをした場合は男子が多い1組の方が軍配が上がりそうだ。
実際の結果は2組チームに勝てているためより納得がいかない。
6年生だけの力だけでなく5年生からより下の学年の子の力やポテンシャルがあったはずで
総合的なところで1組チームよりも3組チームが勝っていたところは否定できない。
1組チームとしては全勝して綱引きでは勝ち点をいただいて他の2チームと差をつけたい。
ちなみに点数の振り分けだが1位が3点、2位が2点、3位が1点である。
哲也「3組チームに負けたのは悔しいな~」
大吾「ああ…油断してしまったな…」
悔しいながらも大吾は負けを認めている。
大吾「油断した相手の隙をついてそこを全力で攻める作戦だったが思ったより3組チームが粘り強かったな」
晴香「やっぱり桂里奈の強さも健全ね…」
3組チームが1組チームに苦戦する場面があったが、それが大吾が言っていた作戦だったのだ。
チームの油断を誘ってそこから反撃し大吾を初めとした男子陣営で一気に畳みかける作戦だった。
しかし思っていたよりも3組チームは粘り強かったようで
あちらのチームが得たアドバンテージを奪い返すことができず作戦が裏目に出てしまったのだ。
大吾「作戦を見直し序盤から全力を出していこう」
圭人「そっちのほうがいいかもな」
次の1組チームの作戦は相手チームの出方を伺うのではなくまた油断した隙きを突くのではなく
アドバンテージを与えることなく速攻で勝負を決めることにするそうだ。
作戦を新たに練り直すというよりかは陣営に男子が多い1組チームの持ち前の力をそのまま活かして
シンプルに攻めるだけのことである。
綱引きは各チーム2試合しかないので力を温存する必要はなく
下手に策を講じて前回のみたいに裏目に出てしまうと元も子もない。
本番は出し惜しみなく全力でやったほうがいい。
綱引きにも駆け引きもはあるだろうが、お互いのチームが力一杯綱を引き合って
勝負を繰り広げたほうが運動会はより盛り上がるはずだ。
律「大吾はあの1年の男子気に入っているみたいじゃないか?」
大吾「ああ、佐武郎のことか」
律「へえ〜佐武郎って言うのか」
律「そいつがあの問題児になりそうなあの1年の女子にライバル心を抱いてるみたいだな」
大吾「律、お前もあの子のこと見ていたのか」
律「並んでいる時にお前とその佐武郎って男と会話しているの耳に入っているからよ」
大吾のクラスメイトの男子である律は佐武郎のことも順子ちゃんにライバル心を抱いていることも知っているそうだ。
台風の目の出走順で律はペアは大吾のペアの真後ろなので会話は嫌でも入ってくるのである。
順子ちゃんが問題児になりそうだと律は言っているが順子ちゃんは既にいろんな意味で問題児になっている。
ある意味で順子ちゃんは台風の目になりそうな存在で
ドッチボール大会で見せた活躍からも彼女も小学1年生ながらも要注意人物としてマークしている。
順子ちゃんの暴走は3組チームの足枷となっていてこちら側(1組チーム)の視点から見ると
好機と捉えておりこれを味方に差をつけ、つまりは作戦の一部として視野に入れている。
しかし綱引きではおそらく順子ちゃんの底力を再認識し、
彼女が正しい方向で自分の武器を磨けばかなりの強敵になる。
まず順子ちゃんは先生の指導でチームプレイの重要性を理解しつつある。
そんな順子ちゃんの対抗するのが佐武郎であり大吾は彼を陰ながら応援しているのだ。
台風の目ではまさかのペアとして出場することになっている。
美琴「そういえば知ってる?幸助とあの子のペアが大トリをやるってこと」
美琴「お互い全力で出すそうよ」
大吾「あのペアがか…」
クラスメイトの女子の美琴は牛久先生たちの話を聞いていて幸助と順子ちゃんのペアが
台風の目の最後の出走ペアになることを知っている。
なぜ敢えて大吾にそれを伝えるかというと佐武郎に影響され、あのペアにライバル心を抱いているからである。
大吾「服部先生に後で頼んでみようかな」
哲也「もしかしてあのペアとやる気か?」
大吾「佐武郎もきっと望んでいるはずだ。」
大吾「俺たちは今年で最後だけど、佐武郎とあの子はこれから長い付き合いになるからな」
大吾「あいつに未来の運動会の舞台のバトンを渡したいというか」
哲也「まあお前もあの順子って子と幸助と全力で戦いってことだろ」
大吾「ああ!そうかあの子の名前、また順子っていうのか忘れてたな…」
哲也「また名前忘れてたのか」
大吾「よし…メモしておくか!」
大吾はまた順子ちゃんの名前を忘れていたようでメモ用紙に順子と名前を書いておいた。
実は佐武郎の名前も忘れないように同じようにメモしてある。
ちなみに6年1組の担任は服部先生で女性である。
晴香「私ですら下の子の名前を覚えてるのに」
大吾「名前を間違えるのは失礼だと思ってな」
晴香「名前を忘れるのも失礼よ」
文武両道で生真面目な男だが名前を覚えるのには時間が掛かる大吾なのでありこれが彼の唯一の欠点だ。
名前忘れを指摘され、名前間違いを嫌って言い返す大吾だが弁明の余地なしだ。
中学校に進学する際、友達作りで少し彼は苦戦しそうである。
綱引きだけじゃなくて他の競技でも2組チームと3組チームに勝ちを目指したい1組チーム。
台風の目で、大トリとして抜擢され幸助と順子ちゃんペアに対抗するため
きっと大吾の意向が服部先生に届き、大吾と佐武郎のペアも大トリとなって彼らを迎え撃つのだろう。
そして6年2組の教室。
このクラスにはドッチボール大会で暴君として名を馳せた豪がいるが
改めて彼らのクラス紹介すると
厚木豪、小野寺賢人、森田遊地、長谷川陸斗、菅野昂大の男子五人
小島佳奈、関根沙織、神谷杏奈、真鍋彩乃、古川結衣の女子五人の
男女比が均等のバランスが取れた構成、そして担任は板倉先生である。
板倉先生は教室の先生用の机、教師用事務机と呼ばれるがそれを整理しているため
教室にいて豪たちの運動会の会話を聞いていてもちろん会話に参加している。
豪「綱引きで負けたのは悔しいな~」
遊地「1組チームはともかく3組チームに負けちまうのがな~」
やはり彼らも綱引きで負けたのを根に持っているらしく3組チームに負けたのが悔しいのである。
こちらのクラスも男子が多い上に筋力も体力も並みの男子生徒よりある豪もいながら
綱引きの結果がこれでは目も当てられないのだ。
杏奈「男なんだからもっと頑張りなさい、女子たちに負けるのは情けないわよ」
豪「おっおう…」
杏奈が胸に針を刺すようなきつい言葉が飛んだ。
陸斗「俺たちドッチボール大会には出てなかったけど」
陸斗「豪自慢のボールを1年の女子に止められたってな」
杏奈「え!?嘘!?マジ!?」
さらに陸斗の言葉でボールが顔面に当たる衝撃を受ける。
板倉先生「うん…それマジ…」
板倉先生「1組チームにも苦戦したよな~」
板倉先生はドッチボール大会の進行を務めていたため豪の速球が1年の女子に止められたのを見ている。
鼻で笑いながら板倉先生はその事実を述べた。
案外豪は見かけ倒しなのかもしれない。
豪はこの恥ずかしさを紛らわすように教科書をペラペラ捲ったり筆箱の中のペン漁ったりしていた。
賢人「けど豪ばかり頼るわけにはいかないな俺たちも全力で取り組もうぜ」
沙織「うん!絶対に優勝を目指すわよ!」
豪「みんな…!」
ドッチボール大会での反省を踏まえ運動会ではクラス一丸となって優勝を目指す2組チーム。
豪ばかり頼りになるわけにはいかないが豪にもやるべきことはやらなければならない。
板倉先生「豪は野球やっているからボールコントロールは誰よりも長けている」
板倉先生「玉を扱う競技だけは落としたくないな」
豪「はい先生、そうっすね!」
豪は野球をやっているため板倉先生の指摘通り玉を扱う競技は勝ち点を取りチームの強みを生かしたいところだ。


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時を同じくして6年3組教室では幸助たちのクラスが何気ない会話から
最近の流行の話から趣味までありふれた日常を過ごしている。
時折運動会の話もありその中で運動会に対するそれぞれの思いを抱えている。
チームで優勝を目指したいながら幸助と薫は無難にそして無事に終わらせたいのが本音だが
その一方で桂里奈は最高の思い出を作りたい気持ちでいる。
有終の美を飾りたい、それはどの生徒もどのチームも同じことだ。
思春期を迎える彼らにとって運動会に対して複雑な感情を抱く子も少なくない。
失敗したくなかったりカッコ悪いところを見せたくないし
保護者ないし彼らの家族や親族が見に来るため正直に言うと来てほしくないなど個人的な感情もある。
しかしみんなが共通して6年生全員が心の内に抱くのが
この運動会で最後になってしまうということなのである。
ドッチボール大会で6年2組の豪が言っていたが6年生が主役であると彼は言っていた。
そして彼らにとっても最高学年であるが故、
最高のパフォーマンスを引き出せる唯一の運動会なのである。
1年生から6年生になるまでの間で本番の運動会を5回ぐらいやっていたが
とりあえず学校行事だから普通にやってただ終わらせたという子もいただろうし
個人競技はともかく団体競技だと展開次第では一喜一憂することもあっただろう。
よほど身体能力に自信がなければほぼ上の学年に活躍の場を奪われるため退屈した子も少なくなかったはずだ。
その上に水戸東小学校は2学期の初めにドッチボール大会があって上の学年のボールに翻弄されていた。
そして6年生になった今、自分たちが主役だなんて実感が湧かない。
ドッチボール大会でリーダーシップを発揮して薫そして他の6年生生徒たちも活躍できたが
家族たちの前で行われる運動会で存分に力を発揮できるのか一抹の不安を抱えている。
6年生だからというプレッシャーと多方面からの期待が寄せられているため
純粋に運動会を楽しむ余裕が今のところない。
ここで改めて6年3組の生徒の名前について紹介しよう。
兼岩幸助、杉原薫、斎藤尊、藤崎悠太の男子四人と
浅見桂里奈、新田景子、川俣沙羅、三好夏帆、足立入花、笹本凛菜の女子六人。
優等生の桂里奈がいるこの6年3組は女子が人数的に多く
かつての問題児である幸助と薫がいても女子たちの意見に押されがちクラスになっている。
同じく6年3組教室でも運動会についての会議をしているが
話の中心は新生のダークホースである順子ちゃんのことばかりになっている。
沙羅「あの1年の順子って子悪目立ち過ぎじゃない?」
夏帆「桂里奈はあの子と仲が良いみたいだけど、幸助をあんな風にしていたし相当やばい子よね」
夏帆「問題児は幸助と薫だけで十分だわ」
前回の練習で順子ちゃんの暴走ぶりを見れば当然で順子ちゃんに対する評価はかなり低い。
ドッチボール大会は大番狂わせのような活躍を見せてくれた順子ちゃんだが
運動会ではそれがうまく活躍できていない。
やるからには優勝したい彼らにとっては順子ちゃんの存在が障壁になってしまう可能性がある。
練習だったからよかったがチームが負ける原因になることはだけはなってほしくない。
全学年が一人一人自分の持ち味を披露するということはいいのだが
今年の運動会は順子ちゃんがすごいと言われ、下の学年の一人勝ちされるような運動会にはしたくないのである。
順子ちゃんの悪口ばかりが飛び交うが致し方ない。
台風の目で散々な目にあった幸助も頷くことしかできないし擁護することもできない。
「順子の悪口言うな」と幸助が順子ちゃんのことを擁護すれば夏帆から逆張り男だと言われてしまうだろう。
消えない問題児の称号に逆張り男という名まで付けられてしまうと立つ瀬がない。
だからここは口を閉じているほうが無難なのだ。
薫「牛久先生と清水先生に叱られて反省しているみたいだし」
薫「後はあいつ次第だな」
桂里奈「でも綱引きは良かったんじゃない?」
尊「多少はあいつの力が加わっている」
尊「ドッチボールで豪に勝ったのはあいつのおかげなんだよな」
ドッチボール大会に参加した男子は順子ちゃんの実力を知っているため彼女に対する評価が違っている。
不本意だが順子ちゃんの力も必要であるということだ。
団体競技では直接関わる部分は綱引きと玉入れぐらいで台風の目では幸助のみが大きく関わっている。
悠太「順子については幸助に任せるとして最後の運動会なんだから俺たちも頑張らないとな!」
台風の目で順子ちゃんとペアになることを拒否した桂里奈だが
牛久先生の指導と綱引きの成果で加味して順子ちゃんをフォローした。
悠太も言っているように6年生としてチームを引っ張れるように頑張らなければいけない。
順子ちゃんのように下の学年が起こしてしまったアクシデントをカバーするのも上の学年の務めである。
桂里奈「今回の運動会は絶対にチームで優勝したい!」
幸助「桂里奈…」
たかが運動家で熱くなるなよと言いたい幸助だが桂里奈の気迫に圧倒されて口が開かった。
その桂里奈の言葉には他者を圧倒するほど特別な意味や重みがあった。
あの事件で桂里奈は大怪我を負い8月の柔道大会のジュニアクラスを控えていたのだが棄権することになってしまい
貴重な夏休みは病院で過ごすことになってしまった。
そしてドッチボール大会も出場することができなくなってしまった。
そういった未練がある中、奇跡的に怪我を完治して運動会の本番に臨めるほど回復したのである。
もし桂里奈が運動会に出場できなかった世界線があったとした場合、
3組チームの結果がよくなった時、桂里奈の不在は大きく影響するに違いない。
だから桂里奈の中には責任やプレッシャーもかなりありそうだ。
無理してほしくないが桂里奈がいるなら、あわよくばではなく彼女自身も活躍して優勝したいのだ。
薫「優勝したい気持ちはよくわかるぜ!」
薫「でも一人で抱え込まないことだな!」
薫「俺たちがついているんだからよ!」
入花「カッコいいこと言うようになったね薫」
ここでもリーダーシップを発揮する薫。
リーダー候補には桂里奈がいるが桂里奈不在のドッチボール大会では
代わりに薫が務めることになり、リーダーシップを発揮をしたため
彼のリーダーポジションは定着しつつあるようだ。
幸助「まったくカッコつけやがって薫は!」
未だに幸助はリーダーを気取っている薫を面白く思っていないようだ。
少なくとも女子たちの評価は幸助よりもいいはずだ。
幸助「いいのか薫にリーダーやらせて?」
桂里奈「別に私は薫にリーダーやらせていいと思うわよ。結構気に入っているし」
薫「桂里奈がそう言ってるからな」
景子「桂里奈にはあまり負担をかけさせたくないのよね」
景子「結構無理するタイプだからね」
桂里奈「それは私も思うわ」
桂里奈のクラスの女子は彼女のことを心配しており、桂里奈自身責任感が強いことは理解している。
家族や先生、クラスや友達からも無理はするなと言われているので
その言葉に甘えてリーダーを薫に譲っているということでもある。
桂里奈「もしかして私のほうがいいの幸助?」
幸助「まあなんというかすげえやる気みたいじゃん」
幸助「お前にとっては大事な運動会だろ?」
景子「それはあんたも大事な運動会でしょ?」
夏帆「幸助も頑張りなさいよ!」
幸助も桂里奈もいやみんなもこれが最後の運動会になるため、幸助も真剣にやってほしいところだ。
薫「だったら幸助がリーダーやったらどうだ?」
幸助「え!?なんでそうなるんだよ~」
リーダーを幸助に譲る薫、それに戸惑う幸助。
尊「幸助がリーダーやるのも悪くないな」
悪ノリなのかそれとも薫の意見に賛同しているのか幸助がチームリーダーになることに抵抗がない尊。
他の子も賛成している雰囲気だ。
なんとなく薫も幸助が自分に対して嫉妬心を抱いていることに気付いている。
薫なりの荒療治なのだろうが幸助の嫉妬心や彼が抱える独特な悩み解消できるならと思い
幸助にチームリーダーをやらせることを提案したのである。
悠太「このままじゃ薫に置いて行かれちまうもんな」
幸助「そんな…わけねえし…」
からかいも含めてだが幸助の抱えている悩みをや葛藤を言い当てる悠太。
幸助はそれを否定しているが反応からして図星である。
尊も悠太も毎年進級に応じたクラス替えで幸助の一緒のクラスにならなくなってしまうこともあるが
彼らも薫に並ぶほど幸助のことを理解しているのだ。
薫「幸助は俺がリーダーやるの気に食わねえみたいだしな」
幸助「悪かったって薫~」
景子「それでどうするの?幸助!リーダーやるの?やらないの?」
まさかのチームリーダ議論に発展した6年3組の会議。
幸助は運動会の3組チームのリーダーを務めることになるのだろうか。



続く
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