第51話 運命のビンゴカード
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ビンゴカードを用いた「ファイティングガルー」の抽選会に参加した順子ちゃんたちだが
退院祝いのプレゼントへの思いと期待とは裏腹に順子ちゃんたちの持っているビンゴカードの数字はことごとくすり抜けられていく。
苛立ちを募らせる順子ちゃんたちとは違い他の参加者たちはよりビンゴカードに穴を開けられており
女の子の母は斜め列があと2つでビンゴになる。
女の子の母のビンゴカードには警戒しなければいけないが他の参加者のビンゴカードもビンゴになる可能性が秘められている。
桂里奈への思いを背負って挑もうとしている順子ちゃんたちだが運だけが全てのビンゴカードのイベントで
当たればいいやという楽観的な参加者たち無情にも翻弄され運を吸い取られているかのようだ。
まだまだ勝てる可能性はあるがまずは順子ちゃんのビンゴカードに1つでも数字を当てて一筋の光へと導いてやりたいところだ。


6回目の数字を引くのは薫である。
薫は手探りで抽選箱の中の包み紙をあさりその中から一枚包み紙を掴み取る。
薫「これだ!」
包み紙を広げそれに記された数字は「45」である。
順子ちゃんたちはそれぞれ持っているビンゴカードの数字を確認し1マスづつ隈なく確認した。
順子ちゃん「なんでよー!」
彼女のその反応を見るに薫の引いた「45」の数字はビンゴカードになかったことを意味する。
幸助「俺もないぞ薫」
友ちゃん「私もなかった」
友ちゃんも幸助もそれぞれビンゴカードの数字にも「45」の数字はなかったようだ。
薫「マジかよ!いや俺のだけでも…」
自分のだけでもと思い手元のビンゴカードを確認したがどこにも「45」と書いたマスは存在しなかった。
薫「はあ…なかったか…」
順子ちゃん「もう〜何やってんのよ〜」
順子ちゃん「44か46を引きなさいよ!」
順子ちゃん「なんで間を取っちゃうのよ!」
薫「悪かったよ〜でも何がでるのかわからないんだぜ!」
ドッチボール大会のボーナスチャンスで引きに運がないというレッテルを貼られてしまった薫。
今回もその引きの悪さが本領を発揮してしまいレッテルを剥がすことはできなかった。
順子ちゃんが自分の持っているビンゴカードの数字を求めるその発言は他の参加者に自分の持つビンゴカードの数字を教えているようなものである。
そんな順子ちゃんの話を聞きながらスーツ姿の年配の男性はシメシメと自身の持つビンゴカードの「45」のマスに穴を開けたのであった。
不敵な笑みを浮かべる年配の男性だがなんと彼も2マスでビンゴになってしまうようであり
FREEマスのある真ん中の縦列で「36」と「43」が当たればビンゴになる。
薫「まあ次は任せろって!」
幸助「薫の番が回ってくればの話だけどな」
薫「うっ…」
幸助の言葉に苦笑いする薫。
残念な引きだったが前向きに次の引きに期待を込める薫だが彼が次引けるのは17回目である。
現在2マスでビンゴになる人が既に二人いるため薫の番が再び来る前に終わってしまう確率は高そうだ。
この抽選会でさらに薫の引きの悪さが悪化しそうにもなるが
順子ちゃんの持っているビンゴカードの「44」と「46」の数字の間を取ったのは逆に奇跡のようにも見え、
また幸助と薫にも「44」の数字を持っているためこの引きには納得が行かず四人の間に波紋が広がりそうだ。
どの数字を引くのかわからない不確定要素が凝縮された抽選箱は彼らの運命をどのような形で導くのだろうか。
7回目の数字を引くのは女子高生三人組の一人である。
ここでは女子高生Aとするが彼女のビンゴカードは「72」と先程薫が引いた「45」の数字で2マス開いている状態だ。
同列で開いてはいないのでビンゴまでのまだ遠い道のりである。
6回目の数字を引いた後の参加者たちの反応を伺うとリーチの人はいないみたいでこの7回目で全て決まるというわけではない。
女子高生Aの引いた数字は「24」である。
順子ちゃん「24!24!24!24……あ〜〜」
「24」の数字を連呼する順子ちゃんだが彼女の手元にあるビンゴカードにはなかった。
女子高生A「やったわ!24あった!」
女子高生Aは自らの引きで自分のビンゴカードのマスに穴を開けたようだ。
幸助「俺はあったぜ!」
今回もダメかと思われたが幸助のビンゴカードに「24」の数字があったようで自軍に1マス開いただけでも救いである。
続いて女子高生Bが抽選箱から数字を引く。
8回目で引いた数字は「8」である。
友ちゃん「8あったよ」
薫「やったな友ちゃん。俺もあったぜ」
女の子「ママあったよ」
女の子の母「やったわね!これでまた1つ…」
女子高生C「ナイス!」
8回目で「8」の数字を引いたのは偶然の一致だが、「8」の数字を持っている参加者はかなりいたようで
女の子の母と女子高生Cの一番左下の数字が「8」であり同じ位置にあるのもこれまた偶然の一致である。
女子高生C「私の番ね!見てなさい!」
女子高生Cが引く9回目の数字は「19」である。
友ちゃんと薫のビンゴカードにも「19」の数字があり出た数字に対して一喜一憂する姿が見られる。
女子高生C「よし!」
女子高生Cも自身の引きでビンゴカードに穴を開けたようである。
これで友ちゃんと薫はビンゴカードに開いたマスは3つになる。
女の子の母「かなり順調よ!」
しかし喜んではいられない、女の子の母はこの9回目で5つの穴を開けている。
リーチにはなっていないものの参加者の中ではトップで的中している。
満面の笑みを浮かべながら次の数字を待つ女の子の母に対し、順子ちゃんは地蔵のように目を閉じて沈黙していた。
自分の持っているビンゴカードの数字を把握しているのだろうか、
自分が持っている数字が来るまでただじっと静かに待ち続ける姿勢を取ったのだろうかわからない。
それとも諦めてしまったのだろうか。
友ちゃんたちも他の参加者も着実にビンゴカードの数字が的中していく中で順子ちゃんのだけが未だに0という絶望的な状況だ。
引きには自信がない薫ですらもビンゴカードに同じ数字があり四人の中で友ちゃんと並ぶ的中率であり
苦戦を強いられているが抽選会に楽しんで参加している様子が見受けられる。
順子ちゃんは自分のビンゴカードの数字だけを抜き取って抽選箱に入れたのではないかと
勘ぐってしまいこれはあまりにも出来過ぎていると思わせられるばかりだ。
これは何かの間違いだと言えるくらいに順子ちゃんはこの「ファイティングガルー」抽選会を楽しめていない。
自分はイベントに参加しているのか自分はここに存在しているのか哲学的な思考が頭の中へとめぐり
目を瞑った先の暗闇へと完全に孤立していく。
しかし目を瞑ってしまっていてはビンゴカードの数字と向き合うこともできないし答えのない虚空のう闇にさまよい続けることになってしまうだろう。
10回目の数字を引くのは私服を着た若い男性である。
抽選箱から引かれた数字は「36」である。
「36」の数字に反応し順子ちゃんの目は開き手元のビンゴカードの数字を確認した。
順子ちゃん「う〜やったー!」
友ちゃん「やったね!順子ちゃん!」
10回目の数字でやっと順子ちゃんのビンゴカードに1つ穴を開けることができた。
友ちゃんも一緒になって喜んでいた。
「36」の数字は順子ちゃんのビンゴカードのFREEマスのちょうど下の真ん中の列にあったのだ。
大きく喜んでいる順子ちゃんだが間髪を入れず絶望が彼女を襲う。
年配の男性「リーチです!」
順子ちゃん「なぬぅ!?」
笑顔で開いたその口は年配の男性のリーチという言葉で開いた口が塞がらない驚愕の表情へと化した。
年配の男性のビンゴカードに「36」の数字があり真ん中のFREEマスのある縦列にそれがあるのだ。
ちなみに今回の参加者の中で「36」の数字を持っているのは順子ちゃんと年配の男性だけである。
10回目になるまで順子ちゃんのビンゴカードに穴を開けられなかったことから
他の参加者よりも独特な数字を持っているからである。
だからまだ順子ちゃんにも逆転できる可能性があり、ここから逆転するといったシナリオを描くのならば
真ん中のFREEマスの縦列を狙うのが理想であり「39」、「42」、「44」の3つの数字が出れば爽快ものである。
店員「あとなんの数字が出ればビンゴですか?」
店員がそう尋ね、年配の男性は「43」ですと答えた。
女の子の母はそれを聞いて笑顔から表情は焦りへと一変した。
一番リードしていると思っていたが誰かが一歩前にリードしていたのだ。
女の子の母と年配の男性のビンゴカードで開けられたマスは年配の男性の方が1マス多い。
お互いビンゴカードの数字も開けられたマスは何個あるのか把握していない。
「43」が出たときどの列でビンゴになるかはわからず、10回目に到達していることから
それを考慮し改めて女の子の母の立場になって考えた時
年配の男性の方が女の子の母よりも多くの数字を的中していることも考えられるため、女の子の母の焦りは複合的な要因が絡んている。
他の参加者にもプレッシャーを与えているため1つ1つの抽選箱の引きには注意を払わなければいけない。
幸助と薫のには「43」の数字がFREEマスのある真ん中にありこれまた同じ位置にある。
面白いことに「44」の数字の位置が順子ちゃんも幸助も薫と三人揃っていた。
運命共同体何なのか知らないが現時点で幸助と薫は「43」の数字がある列でビンゴを狙うのは避けるべきである。
「43」でビンゴを狙うならその列でリーチになっておいて延長戦などに持ち込ませた方がいい。
11回目を引くのは年配の男性である。
やっとの思いで1マス開けて喜んでいた順子ちゃんを前にリーチ宣言し絶望のドン底へ突き落としたしわのある顔が憎たらしく見える。
穏やかな表情をしていてニッコリしているがそれは余裕の意味での表情なのか
何か裏で企んでいるのではないかという邪な考えが浮かびそうなくらいに怪しくも見える。
抽選箱の中に手を入れる年配の男性。
そのまま手が抜けてなくなってしまえと言いたいところだが、「43」の数字を引かないことをただひたすら願うばかりである。
11回目、年配の男性が引いた数字は「51」である。
幸助「あっぶね~」
求めていた数字ではなかったため年配の男性はちょっとだけ悔しそうな顔をする。
ようやく1つ目のマスを開けられた順子ちゃんに幸運が全て傾くかはわからないが
不確定要素のあるこのゲームにおいては五分五分だ。
順子ちゃんが求める逆転且つ最短で勝負を決める数字は「39」、「42」、「44」と開きはあるが
連続した数字群となっておりその間の「43」を求めているのが年配の男性なのである。
何度か求めている数字の間を取られてしまう経験をしたので先に「43」の数字が出てしまうことのほうが現実的である。
飽くまで推論だが1から75の数字を抽選箱に順番に入れてもランダムに入れても
75までなら並外れてしまうほどの数では決してないので
中身を入念にシャッフルしても意図せず連続した数字群の固まりができてしまうことが大いに考えられる。
引けば引くほどそれが顕著になっていき引かれる過程で混ざっていき
連続した数字群の固まり増えていくため回を追うごとに早期に決着がつくということだ。
年配の男性が引いた「51」の数字に対して的中したのは幸助と薫と女の子の母である。
これで女の子の母は年配の男性の的中した数と並んだがリーチにはなっていない。
ようやくこれで参加者十一人全員引き終わり現在リーチなのは年配の男性一人だけである。
大波乱だった1週目が終わり2週目へと突入し再び女の子が引く番になる。
女の子の小さな手が抽選箱の中の数字を取り出す。
その無邪気な小さな手にこの「ファイティングガルー」抽選会の明暗を分けていると言っても過言ではない。
12回目、女の子が引いた数字は「20」である。
順子ちゃん「やったー!20あったー!」
幸助「俺もあったぜ20!」
また1つ順子ちゃんのビンゴカードの数字があたり幸助にも20の数字があったようだ。
二人のビンゴカードの20の数字は同じマスにありやっぱり彼らは運命共同体なのかもしれない。
だがまたしても順子ちゃんの喜びは遮られてしまう。
若い男性「リーチです。」
順子ちゃん「え~!」
目玉が飛び出しそうに順子ちゃん。
今度は私服の男性が12回目の「20」の数字でリーチになった。
若い男性「26でビンゴになります。」
店員に尋ねられる前にどの数字が出たらリーチになるのか公言した。
その数字が「26」である。
薫「26か~」
友ちゃん「私のもあるよ」
友ちゃんと薫のビンゴカードにも「26」の数字があり、同じマスにあるため二人もまた運命共同体かもしれないが
それはさておき薫のには年配の男性が求める「43」の数字があるため地雷マスが2つになってしまった。
これにより持っている数字が的中しビンゴカードのマスに穴を開ける楽しみはだんだんできなくなり
抽選箱から次々と数字が公開される度に緊張が走る。
左から2番目の縦列に「26」の数字がありそれが出ればビンゴとなるが
具体的にどの位置に「26」という数字があるのかはそのビンゴカードを持っている私服の男性自身と主催者の店員だけであるが
他の参加者は「26」と「43」を引いてはいけないのが共通認識である。
もう待ってはくれないので次、13回目の数字を引くのが女の子の母である。
13回目に引いた数字は「67」である。
幸助「よし…67」
友ちゃん「私のも…あった!」
「67」の数字を持っている人が何人かいたが参加者たちの本能を察するに勝負を決する数字ではなかったようだ。
順子ちゃん「いってくるよ!」
14回目を引くのは再び我らが順子ちゃんである。
抽選箱に手を入れて迷わず包み紙を取り出す。
順子ちゃん「これだ!」
順子ちゃんが引いた数字は「70」である。
順子ちゃん「70…ハッ!あった!」
友ちゃん「私あるよ!70!!」
順子ちゃんの自らからの引きで自身のビンゴカードの数字を引き当てることができた。
しかし順子ちゃんの引きで勝負を決することなく参加者たちの反応はいまいちだ。
順子ちゃんのビンゴカードに穴をまた1つ開けられただけでも着実な一歩でありビンゴに向かっている。
まずはトップランナーの二人が求めている数字を回避するのが大事である。
勢いを止めず次の数字を引くのは友ちゃんである。
15回目にて友ちゃんが引いた数字は「13」だ。
この友ちゃんの引きがまだ新たな波乱を巻き起こす。
女の子の母「リーチです!」」
順子ちゃん「ゲ!!マジか!!」
ついに女の子の母が求める数字である「13」でてきてしまったのだ。
女の子の母「残りは56でーす!」
幸助「56か~これもあるんだよな~」
幸助のビンゴカードには「56」の数字があるがその数字を持っていようが持っていまいが求めている人以外は引いてはいけない数字となる。
これでリーチが三人となり年配の男性が「43」、若い男性は「26」、女の子の母「56」でビンゴである。
失礼ながら三人の年齢を表すかのような数字に思えるがそれより若いと思いたい。
だが順子ちゃんたちや女子高生たちよりも年上なのは事実である。
人生や経験そして運すらもリードしているということなのだろうか。
年齢でもトップスリーである三人が現在リーチなのだ。
女の子「いいな~ママ、いっぱい当たって」
女の子は母のビンゴカードを見て羨ましそうにしている。
現時点で女の子の母のビンゴカードの数字で7マス的中してその上でリーチ列が存在している。
綺奈の母「大丈夫よ。私がゲットしたらあのカンガルーのぬいぐるみは綺奈にあげるわよ!」
綺奈「うん!」
親子の会話から女の子の名前は綺奈である。
こんなにも綺奈の母が好調なのは娘のためを思っての表れなのかもしない。
親子なのでビンゴカードを交換するのもありかもしれないがあちらは実質2枠で当選を狙っている。
綺奈のビンゴカードは3マスしか開けられておらず遅れを取った順子ちゃんと並んでしまったが
母の方が高い的中率を示しているため心強い味方になっている。
順子ちゃん(ぐぬぬ~綺奈ちゃんにはあのぬいぐるみは渡さない!)
親子の会話を耳にした順子ちゃんは綺奈の笑顔の裏で闘志を燃やす。
あの親子も当たったらいいなという楽観的な域を超えていないと順子ちゃんはそう思い
桂里奈の退院祝いのプレゼントのために参加している彼女たちにとっては譲れないものなのだ。
だが順子ちゃんの思いは反比例していて苦戦を強いられている。
この状況を打開するべく幸助が地雷を踏んでしまうかもしれない戦場へ踏み込むかのように抽選箱へ一歩ずつ前へ進む。
幸助「引くぞ…」
16回目、幸助が引いた数字は「46」である。
幸助「え…46!?」
綺奈「あ!!あったよママ!」
幸助「あ…!しまったビンゴになっちまったか!?」
綺奈の反応を見て幸助の自身の引きで綺奈の母をビンゴにさせてしまったと思っていた。
薫「いや…大丈夫だ。まだ誰もビンゴになっていない」
幸助「はあ~よかった~焦った~」
「46」の数字は綺奈の母ではなく綺奈自身のビンゴカードにあって喜んでいただけである。
綺奈の母が求める数字はFREEマスがある斜め列の「56」である。
順子ちゃん「こっちも46あったわ!!」
順子ちゃんのビンゴカードにも「46」の数字がありまた1マス開いた。
そして順子ちゃんは3番目の横列でビンゴの兆しが見えてきており「12」と「62」が出れば順子ちゃんの大逆転勝利である。
順子ちゃん「まだ負けていないわよ!」
「12」と「62」は若い男性のビンゴカードにあるが現時点でビンゴに関わる数字ではない。
しかし「31」の数字を引いてしまうと話が変わってくるため油断はできない。
まだ勝てるチャンスと言いたいが次の17回目の薫の引きに全てかかっていると言える。
薫「まさか…俺の番が来るとは思っていなかったぜ…」
いつ終わってもおかしくない局面にまで来ていて薫の引きの運の悪さが引導を渡す結果に繋がりかねない。
薫は抽選箱の前に立った。
恐る恐る震える手は箱の中へ入っていく。
薫は一体なんの数字を引くのだろうか。


続く
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