ジュンコチャン

第50話 ファイティングガルー抽選会

※この小説にはプロモーションが含まれています。

桂里奈の退院祝いのプレゼントでいろいろ悩んでいる順子ちゃんたち四人。
「ドラゴンアドベンチャー」というゲームが候補になったが桂里奈の好みに合うかが問題になっており
さらにはゲーム機本体を持っているのかどうかもわからない。
値段は決して安くはないが四人でお金を出し合えば購入はできるのだが
購入に踏み切るのは早いと判断し一旦保留となった。
他に良いものを探すためおもちゃ屋のゲームコーナーからおもちゃとぬいぐるみのコーナーに移動した順子ちゃんたち。
そこで桂里奈にピッタリなものを見つけたのが「ファイティングガルー」である。
「ファイティングガルー」は2頭身でデフォルメした可愛らしいカンガルーのぬいぐるみで道着を着ていてボクシンググローブをはめている。
柔道をやっている桂里奈にとってこのぬいぐるみはそのイメージに合致しているということなのだ。
退院祝いのプレゼントの候補がまた1つ挙がり、早速購入しようと思ったが
どうやらこの「ファイティングガルー」というぬいぐるみはイベントの景品であるようだ。
景品ゲットのため店員からビンゴカードを渡された順子ちゃんたち。


「ファイティングガルー」が欲しい人が何人かいて順子ちゃんたちと同じようにビンゴカードを持っている。
縦と横、5×5で中央のFREEを除いて、24個の数字がランダムに配置されている。
それぞれみんなが持っているビンゴカードの数字は異なっている。
参加者たちはFREEのマスに穴を開けた。
順子ちゃんと友ちゃんはそれを見て、マネするようにFREEのマスに穴を開けた。
順子ちゃんと友ちゃんは自分が持っているビンゴカードをお互い見せた。
友ちゃん「順子ちゃんが持っている数字、私と違うね」
順子ちゃん「ねえこれどうやるの?」
順子ちゃんと友ちゃんの二人はこのビンゴカードをどう使えばいいのかわからないようだ。
幸助「え?これやったことねえのか」
薫「こいつらまだ1年だぞやっぱりわかんねえよな」
6年生の幸助と薫の様子を見るに何かしらのビンゴカードを使ったイベントに最低でも1度は参加していたと思われる。
いろんなものに目を向けて興味関心や挑戦、目の前のことに全力を出しつつ期待と不安を抱えながら成長する
過渡期のような小学1年生の順子ちゃんと友ちゃんはビンゴカートとは何か知ろうとしている。
年は5か6の1桁台でまだまだ長く生きているわけではないから
この二人がビンゴカードを通じたイベントに一度でも参加する機会があったのだろうか。
なんら恥じることはなく順子ちゃんと友ちゃんのような子は
無い物ねだりはするし与えられた物に対して純粋に好き嫌い言って、ある程度のわがままも許される小さな存在なのである。
当たるか当たらないか一か八かのビンゴカードを使った抽選会などに参加しなくたって生きていけるし
下手すれば生涯それすら一度もやっていなかった人だっているのである。
まずは自分から進んで挑戦することが大事なのである。
待っているだけでは何もしない何もしなかった退屈な日々を過ごしていってしまうのだ。
やはりこういったイベントは自分から参加しなければ知ることはできないが
順子ちゃんと友ちゃんは桂里奈の退院祝いのプレゼントをあげたい気持ちという自立心が生まれたから
このビンゴカードを通じたイベントに触れる機会に恵まれたのだ。
今の順子ちゃんと友ちゃんではこのビンゴカードの数字の配列は
与えられたミッションをクリアすることなのか、暗号や何かの法則を解くようなものなのかという次元まで考えてしまっている。
わからない人ために、店員は改めて今回の「ファイティングガルー」抽選会についてのビンゴカードの使い方について説明した。
飽くまでこれは例であるが司会者やその進行役が事前に考えた数字を順番に発表していく
またはある箱を用意して包み紙などに数字を書いて複数枚その箱に入れて、誰かが無造作に箱の中から包み紙を取り出して
読み上げでいくなどして、自分のビンゴカードに一致した数字に穴を開けるかマークしていくというのがビンゴカードの進行のセオリーだ。
今回は後者と似たような方法で進行するようだ。
順子ちゃん「なるほどなるほど〜」
友ちゃん「言われた数字が合ってたらその数字に穴を開ければいいんだね」
店員の説明を聞いて理解した順子ちゃんと友ちゃんは軽くコクコクと頷いて
真剣な眼差しで自分が手に持っているビンゴカードを睨み付けた。
幸助「そんなにやる気があって意味ないぞ〜」
薫「いくら実力があっても、こういうのは本当にラッキーな人しか勝てないゲームなんだぜ」
順子ちゃんの今までの活躍ぶりは目を見張るものがあり、運も実力とも言えるが
こういった抽選会イベントは彼女の実力の範疇を超えた運試しの世界である。
初めてということなので彼女に秘められたビギナーズラックが発揮されることを願うばかりだ。
店員は正方形の箱をサッカー台に置いた。
サッカー台に置かれた箱には人の手が入るくらいの丸い穴が開けられていて「抽選箱!」と書いてあり
ギフトのような赤と白などのカラーバリエーションでリボンなどでおしゃれに装飾されていて
中身は気になるようなそんなデザインになっている箱である。
もちろん包み紙を取って広げて確認しない限りは箱の中に入っている包み紙の数字を知ることはできない。
公平性を保つため一度この抽選箱を大きく揺らして中に入っている包み紙をシャッフルした。
ルールはシンプルで参加者が順番に抽選箱の中の包み紙を取って数字を確認して
持っているビンゴカードに数字が一致すればそのマスに穴を開けて進行していくそうだ。
言い換えれば、駆け引きという高度な類のゲームではなく
参加者たちが抽選箱というブラックボックスからランダムに数字を引くだけのゲームとなる。
そして1列ビンゴすれば景品である「ファイティングガルー」をゲットできるということなのだ。
説明を聞いた薫は頭を抱えた。
薫「まいったな〜またこんなやつをやるのか〜」
幸助「今回の薫の引きの運はどうなるんだろうな〜」
ドッチボール大会のボーナスチャンスを彷彿としており当時の薫の引き運はあまり良くなかったようだ。
薫だけでなく他の参加者が一人ずつ引いていくルールの進行上、1列でもビンゴすれば決着がつくため
最短で4回目で決まってしまうこともあるので薫の方まで引かずにゲームが終了してしまう可能性もある。
人の不幸は蜜の味でも、誰かの不幸は誰かの幸運というような酷く大げさなものではないが
自分が抽選箱から引いた数字がビンゴカードの数字になかった場合でも誰かのビンゴカードの数字を当ててしまうことは否定できない。
つまり薫の引きの悪さも直結してしまうということなのだ。
しかしルール上薫のみならず条件はみんな同じである。
薫じゃなくても順子ちゃんか友ちゃんそして幸助のうちの誰かが縦、横、斜めのうち1つでもビンゴになってしまえばいい。
参加人数は順子ちゃんたちを含め十一人だが景品の当選は順子ちゃんたちの感覚では4枠あると言ってもよいだろう。
参加者の年齢層は幅広いが女性の方が多く順子ちゃんと友ちゃんと順子ちゃんの弟の保志と同じくらいの年の女の子とその母、
学校の帰りと思われる女子高生三人組が参加している。
この母と一緒に参加した順子ちゃんよりも小さい女の子もこのビンゴカードのイベントは初めてのはずだろう。
幸助と薫と他の男性参加者二名は仕事の帰りか営業の合間に立ち寄ったかもしれない年配のスーツの姿の男と
大学の帰りかアルバイトの帰りかそれともこれからなのかはわからないが20歳ぐらいの若い私服の男性が参加している。
景品となっているこのぬいぐるみの「ファイティングガルー」という愛らしくてカッコいい見た目のデザインは万人受けする。
参加者たちはそれぞれどのような思いでこの「ファイティングガルー」の抽選会に参加したのかわからないが
あわよくばだったり景品ゲットできたらいいなという希望的観測を持って生半可な気持ちで参加したのであろう。
だが順子ちゃんたちは他の参加者たちとは違う思いを持っており
桂里奈退院祝いのプレゼントのために参加するのであり、
だから思いの差では順子ちゃんたちの方が負けていないのだ。
この思いの差の分だけ幸運の女神がついてきて欲しいところだ。
いよいよ「ファイティングガルー」を巡る抽選会が始まる。


順子ちゃん「ねえ友ちゃんのカードもう一回見せて」
友ちゃん「うん、順子ちゃんのも見せて」
薫「とりあえずもう一回見せてくれ俺のはこれだ」
幸助「ほい」
ビンゴカードその1 ビンゴカードその2
縦横5×5の1から75までの数字の標準的なビンゴカードである。
参加者の一人が1列ビンゴになる確率の回数は中央のFREEのマスを考慮し最短で斜め列がビンゴとなれば4回で終わり
運が悪ければ折返しの33回から35回くらいまでが最多となるだろう。
参加人数が多ければ多いほどまた重複の数字を考慮すると少ない回数で誰かが1列ビンゴで当選しやすくなる。
参加人数が十一人のため長くても20回くらいでリーチの人がでてきてそれ以降から決着に近づくだろう。
抽選箱から数字を引いていく参加者の順番だが
最初に順子ちゃんより年齢が下の女の子から始まり2番目はその女の子の母
3番目から順子ちゃんとなり、友ちゃん、幸助、薫、女子高生三人組、私服の若い男性、スーツ姿の年配の男性という順番でループする。
1回目の女の子が引いた数字は「34」である。
順子ちゃん「くそ〜なかったか〜」
友ちゃん「私もなかったよ」
幸助「お!あったぜ!」
幸助のビンゴカードに34の数字が真ん中の列にあったようでそこのマスに穴を開けた。
しかし34の数字でビンゴカードに1マス穴を開けたのは幸助だけじゃなく他の何人かの参加者も穴を開けたようである。
幸先のいいスタートを切ったと思われた幸助だが油断はできないようだ。
2回目の女の子の母が引いた数字は「72」である。
順子ちゃん「あ〜ない!なんでよ〜」
2回目の数字も順子ちゃんのビンゴカードにはなかったようだ。
薫「俺らもダメだ〜」
72の数字は三人ともなかったようだが他の参加者の誰かには72の数字を持っていてビンゴカードに穴を開けられた。
順子ちゃん「じゃあ今度は私が引いてくるわ!」
3回目の数字を引くのは我らが順子ちゃんである。
狙いはもちろん自分が持っているビンゴカードの数字であり友ちゃんたちのビンゴカードの数字である。
順子ちゃんは抽選箱の中に手を突っ込み包み紙に中から探り当てる。
順子ちゃん「これだ!」
声と同時に抽選箱の中から一枚包み紙を取り出しそれを広げて数字を確認した。
順子ちゃんの引いた数字は「65」である。
薫「よし!」
65の数字は薫のビンゴカードにあったようで5列目の1番下でつまりちょうど右下にある。
幸助「お!!あったか!薫!」
薫「ああちょうど右下にあったぜ!」
年配の男性はそれを見てニヤリとする。
年配の男性のビンゴカードも薫と同じく右下の数字が65だったのだ。
さらに興味深いことに幸助が穴を開けた34の数字は真ん中の列のFREE下なのだがそれとも偶然一致していたようだ。
薫のビンゴカードに1つ穴を開けることができたが他の三人には65の数字がなかったようである。
友ちゃん「66だったら…」
薫「俺もあるんだよな66」
順子ちゃん「私もあるから悔しいわ〜」
66という数字は順子ちゃんと友ちゃんと薫の三人のビンゴカードにあるようでどちらも5列目にある。
友ちゃん「今度は私が引いてくる!任せて!」
4回目は友ちゃんが抽選箱の中の数字を引く。
できれば66という数字を引いてほしいところでありそれが理想である。
3回目で順子ちゃんが引いた65の数字と連続し確率的にかなり低いが引く可能性はあるためここで66を引いてくれれば
順子ちゃんと友ちゃんのビンゴカードに1マス穴を開けられるだけじゃなく
薫のビンゴカードにまた1マス開けることができ、さらに薫のビンゴカードの66の数字は65の数字と同じ列の5列目にあるため1列ビンゴに近づく。
抽選箱の中の数字を引きに行く友ちゃんの小さな背中は頼もしく見えた。
運の世界で彼女の勇敢さは結果に結びつくのだろうか。
友ちゃんの引いた数字は「29」だった。
29の数字に対し順子ちゃんは自分のビンゴカードを目を皿にして1マス1マス確認した。
順子ちゃん「う…友ちゃん〜29ないよ〜」
薫「くそ〜28か30だったら」
友ちゃん「ごめん27引ければよかった」
順子ちゃん「私も27あるのよ!」
幸助「なんで当たらなねえんだよな!」
友ちゃんが27の数字を引けていたらと嘆いていたが順子ちゃんと幸助にも27の数字を持っていた。
順子ちゃんたちが求めている数字がなかなか出てこずことごとくすり抜けられていった。
苦戦を強いられる順子ちゃんたちだが29という数字が出た時、参加者の誰かのビンゴカードに1マス開けられている。
4回目に到達し中央のFREEのマスを考慮するとここで参加者の誰かが斜め列でビンゴになることもあり得るが
この時点で1列ビンゴになった人もリーチした人も一人もいないようである。
しかしリーチになったけれどもそれを言わずに5回目の数字を待っている参加者が中にはいるかもしれない。
幸助「今度は俺が引くしかねえな!」
この5回目で決着がつくかもしれないプレッシャーの中、幸助は抽選箱の前の立った。
幸助が抽選箱の中に手を入れた。
どの数字を引くのかただ固唾を飲んで見守ることしかできなかった。
幸助の引いた数字は3である。
友ちゃん「やった!!3あった!!」
順子ちゃん「よかったね友ちゃん。けどなんで私のだけないのよ〜!」
女の子「ママと同じとこ当たったよ!」
女の子の母「ふふ、私はあと2マスでビンゴよ」
順子ちゃん「えっ?なんだって!?あと2マス!?」
5回目に幸助が引いた3の数字で友ちゃんのビンゴカードに1つ穴を開けることができたが
女の子とその母にもビンゴカードに3の数字がありさらに同じ配置にあったそうだ。
未だに順子ちゃんのビンゴカードは1つも開けられていない一方で女の子の母はあと2マスでビンゴということで
それを聞いた順子ちゃんは驚きと焦りが出る。
抽選会の進行役である店員は参加者たちの持っているビンゴカードを見て回った。
開示された数字は「3」、「29」、「34」、「65」、「72」でありそれぞれ見落としがないか確認した。
もしかしたらと思い店長は順子ちゃんのまだ1つも穴を開けられないビンゴカードを見てみた。
やはり開示された数字の中には順子ちゃんのビンゴカードの数字と一致するものはなかった。
順子ちゃんは顔を歪めながら店員と顔を合わせた。
その表情はまるで今すぐにでもビンゴカードを変えてほしいとの訴えだった。
店員「次は出ると思うよ」
そう言って公平性を保つため心を鬼にしてビンゴカードの交換も救いの手を差し伸べなかった。
店員は順子ちゃんたち四人のビンゴカードを含め、参加者全員のビンゴカードを把握した。
ビンゴカードその3 ビンゴカードその4
ビンゴカードその5
偶然数字の配置が何箇所が同じ人がいたようで5回目に引いた3の数字で1列目の上から4番目に女の子とその母のビンゴカード
さらに私服の若い男性も3の数字が同じ位置にあった。
女の子の母があと2マスでビンゴになるのは本当らしく数字の「13」と「56」が出れば斜め列がビンゴになる。
特に参加者の女の子の母が3箇所ビンゴカードに穴が開いているため女の子の母が一番好調である。
参加者たちはペアで参加した人同士であればお互いビンゴカードの数字がどこに配置してあるのか
見せ合うことで知ることができるが、人数や規模にもよるが主催者権限を持った人などでなければ参加者すべてのビンゴカードを把握することは難しいだろう。
もっとも参加者の誰かが自分のビンゴカードを公開してそれにつられてまた自分のビンゴカードを公開して見せ合って
75までの数字がどこにあるのか確認するのもありではある。
参加者同士でビンゴカードの数字がわかってしまってもどの数字が出るのかわからない抽選箱を順番に引いていくためゲーム性が損なわれることはない。
もし仮に女の子の母が「13」、「56」の数字が出れば斜め列でビンゴになると他の参加者に教えた場合でも
「13」、「56」の数字が出てしまうのではないかと緊張感やプレッシャーを与えることができ、さらにゲーム性を上げることができる。
今回はそういったペア以外で参加者同士でビンゴカードの数字を開示することはなかったが具体的な数字は言わなかったが女の子の母はあと2マスでビンゴになると言っていた。
それを聞いた順子ちゃんの反応から見ても他の参加者の影響を与えているはずである。
具体的な数字は言わなくてもビンゴになる列は横なのか縦なのか斜めなのかわからず
さらにどの数字が出たらビンゴになってしまうのかという緊張感を与え、自然とより高度で面白いゲーム性を築き上げている。
この不確実性のあるビンゴゲームの面白さはまさにここにある。
しかし今の順子ちゃんは桂里奈の退院祝いのプレゼントのため、景品の「ファイティングガルー」をゲットすることだけを意識してしまっている。
まだ1つも自分のビンゴカードに一致する数字が当てられていないためビンゴカードのゲームの奥深さよりも苛立ちのほうが勝っている。
今のところ誰もリーチしていないためは勝負はここからと言ったところである。
まだ順子ちゃんは逆転できるチャンスはまだまだあるということだ。
薫「さて俺の番だな」
順子ちゃん「薫…お願いよ…」
ドッチボール大会のボーナスチャンスではあまり引きの運は良いものではなかったがそれがチームを勝利に導く結果となったため決して彼の引きは悪かったわけではないはずだ。
薫自身、引きの運が悪かったと思うなら、この時のために運をとっておいた自分に言い聞かせるべきである。
せめて順子ちゃんのビンゴカードに1マスだけ開けてほしい。
薫は抽選箱に手を入れた。
「ファイティングガルー」を巡る抽選会の行方はいかに…。

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