第28話 やるべきこと
※この小説にはプロモーションが含まれています。
2日にかけて駄菓子屋エビスについて桜林小学校の生徒たちと先生で意見交換を行い
宣伝用のチラシが完成し、新たな一歩を踏み出すことができたが
先生の指摘により課題は山積みであることを再認識する。
食事用兼お茶会用そして子どもたちの勉強用のテーブルを設置することが最優先事項となる。
理貴はネット通販で店内の和室に合いそうなダイニングテーブルを見つけるが
エビスじいちゃんが冬で寒くなるためこたつが必要ではないかと意見した。
季節に応じた店内の装いの変化を意識したことでまた新たな課題が浮上する。
来月までに丹下先生から言われた指摘、そしてやるべきことを全て完遂することができるのだろうか。
エビスじいちゃんと理貴は、先に提案したテーブルにするかこたつにするかで悩んでいた。
理貴「こたつか~これから寒くなるよね」
エビスじいちゃん「子どもたちが勉強するなら必要になるじゃろ」
冬の寒い時期に暖かいこたつにして快適に子どもたちが勉強できるようにしたいのがエビスじいちゃんの思いだが
少しでも長く店内に留まらせたいという意図もある。
こたつを置くこと自体は反対しないが設置してもまた新たな問題に直面してしまう。
理貴「こたつを置くのはいいんだけどコンセントが1箇所しかないんだよな」
エビスじいちゃん「あ~そうか…」
1箇所しかなくそのコンセントは2階に行くための階段の辺りでその下に設置されている。
想定ではそこに小型の冷蔵ショーケースを設置することを考えている。
差し込み口は幸い上下2つあるがこたつは2つ設置したいためその枠で全て埋まってしまい冷蔵ショーケースが設置できなくなる。
エビスじいちゃん「延長コードを使えばいいじゃろう」
延長コードを使って拡張すればこたつ2台設置しても冷蔵ショーケースも設置も難しなさそうだ。
家にいくつか延長コードがあり長さも十分あるのでそれを使えば問題ない。
それでも良いと思えたが懸念もあるようだ。
理貴「こたつ2つにショーケースだろ?」
理貴「ブレーカー落ちないか心配なんだよな~」
その懸念は最もであり消費電力が許容範囲を超えるとブレーカーが落ちて停電してしまうのだ。
延長コードは一般家庭用のものだと電力の限度は1500Wである。
冷蔵ショーケースは小型である分、消費電力は抑えられるが調べた限りだと飲み物100L想定だと200Wは出る。
こたつの設定温度を強にして最大で消費電力は600Wになる。
こたつ2つ合わせて1200Wになり冷蔵ショーケースを足しても1500W以内に収まるが余裕がなくなってしまう。
理貴「なんとかなりそうだけど…」
電力の制限が1500Wだと初めて知ったエビスじいちゃんと理貴。
駄菓子屋で使用する電気だけかなり使用量を圧迫してしまうためそれに伴いまた新たな懸念が生まれてしまう。
エビスじいちゃん「なあ他はもう使えんのか?」
エビスじいちゃん「家の電気使えんのか?家の冷蔵庫止めないとアカンのか?」
理貴「え?そうなるのか?そんなまさか…」
駄菓子屋店内で使用する電力はこたつとショーケースを最大に設定した状態で考慮し照明を合わせて1400W以上は消費されるため
本家で使用できる電力は100W未満になってしまうところで不安を感じてしまっているのである。
星川家の台所には大きめの冷蔵庫が稼働しているため、それだけで軽く100W以上は超えてしまうだろう。
だからエビスじいちゃんは台所の冷蔵庫の電源を止めたほうがいいのか悩んでいるのである。
理貴「え~そうなっちまうのか!」
これでは駄菓子屋経営どころではなくなる。
生活の基盤を削ってまでするものではないはずだ。
理貴はエビスじいちゃんに妥協案なり、そうならないための考えを出す。
理貴「こたつの設定温度を調整すればいいんじゃないか?」
こたつの設定を最大ではなくそれ以下にある程度調整すれば消費電力を抑えられるので
本家の台所の冷蔵庫の電源まで消すまではしなくてもいいはずだ。
エビスじいちゃん「じゃけどよ子どもが(設定を最大まで)上げちゃったりせんかのう~」
エビスじいちゃん「ここはまあまあ日当たりが良い方じゃが冬はやっぱり寒くなるぞい」
いたずらもなくはないが店内が寒いとこたつの設定温度を上げざるを得なくなる。
理貴「早めにエアコンを設置して暖房ですればいいじゃないかって思ったんだけどな~」
エビスじいちゃん「その暖房でチョコが溶けちまうか心配じゃ」
理貴「ショーケースに入れちゃえば?」
エビスじいちゃん「飲み物入れるところじゃし、余裕はないぞい」
理貴「あ~小型だからそんな余裕はないか…」
理貴「あ!コンセント足らねえじゃん!」
エビスじいちゃん「本当じゃのう…工事してコンセント取り付けるしかないじゃろうな…」
元は物置小屋だったので壁の上あたりにコンセントはなくエアコンの設置のための設計になっていないのは当然。
畳の上でエビスじいちゃんはゆっくり腰を降ろして尻もちをついて何も考えたくないほどだらけてしまった。
理喜は腕を組んであぐらをかいて座っているがだるまのように転がるが
だるまならすぐに起き上がるが理貴は起き上がらず畳の上で寝そべった。
空調管理のためや夏の暑い時期は冷房でお菓子の品質を保つのが目的でエアコンを設置するのだが
寒い冬では暖房を使ってしまうとチョコ菓子が溶ける恐れがあり逆に品質を低下させてしまう。
いずれは工事込みでエアコンの設置は必須となるが優先するべきではなそうである。
話を戻してこたつをどうするかである。
理貴「だったらこうしない?こたつは1つともう1つは普通のテーブルにしないか?」
妥協案なのだろうが理貴はこたつを2つ置くのではなくこたつは1つにしてもう1つは普通のテーブルを置くことを考えている。
エビスじいちゃん「こたつは1つにするのか…」
理貴「どれくらいの人数が来店するのかわかないけど」
理貴「今日みたく五人くらいだったらこたつ1つでも十分かもしれないよ」
何人店内に来るのかは未知数であるが桜林小学校の3年1組の翔吉たち五人全員が来店しても
子どもなら体格差や身長差もたいした開きはないと思われるのでこたつ1つだけでも五人収まるはずだ。
エビスじいちゃん「翔吉くんはまだ小さいがこれから大きくもなるしそれに上の学年の子どもも来るかもしれん」
エビスじいちゃん「こたつ1つだけではのう…」
まるで子どもの成長に伴い服のサイズを気にするような発言をするエビスじいちゃん。
玉井の息子の颯太が6年生なので彼の体格を基準にして考えれば大勢の子どもが来たときにこたつ1つでは入りきれないだろう。
理貴「まあだったら大きめのサイズのこたつテーブルするのはどうだ?」
理貴は大きめのサイズのこたつテーブルを提案し、それをスマホの画面のネット通販サイトでエビスじいちゃんに見せた。
高さ41cm、幅180cmのこたつテーブルである。
エビスじいちゃん「うむこれならたくさん子どもが来ても入れそうじゃな!」
理貴「まったく親父は何人子どもを入れる気だ?」
いったいどれくらいの人数の子どもないしお客が来ることをエビスじいちゃんは想定しているのか息子である理貴は想像できなかった。
エビスじいちゃんは翔吉の2回目の来店時に彼を含め十人の子どもを連れてきたので
おそらく体の成長も加味して十人を想定しているのかもしれない。
果たして十人以上の子どもないしお客が駄菓子屋に来店するのだろうか。
こたつテーブルは理貴が提案した高さと幅のものにしてもう1つは普通のテーブルを置くことに一応決まった。
いろんな意味で甘く見積もっている部分は否めないが一旦様子見である。
テーブル2台と冷蔵ショーケースで費用は10万円以上してしまうが
丹下先生との約束を守り、やるべきことをやっておくべきなので
エビスじいちゃんと理貴は貯金を切り崩してお互いお金を出し合い購入に踏み切った。
消費電力の懸念でこたつ1台にして600W分浮いたのでこれで実家の分にまわすことができる。
店内にいる時はできるだけ家の電気を使わないほうが無難だろう。
ちなみに1家庭で消費電力は1500Wが限度だと考えているエビスじいちゃんに理貴だが、
コンセント1つまたはその壁1つにつき1500Wまでであり、契約している電気会社にもよるが
駄菓子屋店内の電気と実家の電気を併用して1500W以上使用してもブレーカーが落ちる心配はないのである。
最優先事項であるテーブル2つの設置の目処が立ちそして冷蔵ショーケースの設置もクリアできそうだ。
しかしまだ今月中にやるべきことは残っている。
そのやるべきこととは店内の装いのことではなく人間関係的なことである。
今日スマホで撮った子どもたちの写真の中で理貴は日葵の写真を見る。
エビスじいちゃん「日葵のお母さんによろしく伝えておくんじゃぞ」
理貴「日野さんだね。」
理貴「でも明日シフト入っているかな」
日野は調理部門であるが同じ「オリーブ」で働いている理貴でも彼は販売部門であり違う部署だとシフトを把握できないのだ。
エビスじいちゃん「まずは声をかければいいんでねえかのう?」
理貴「けどいなかったらなんだよね〜」
理貴「あそこって職員のおばさんらがいろいろギスギスしてるとこあるからさ〜」
日葵の母である日野に会うために修羅場のような調理部門の厨房に入るのに理貴は気が引けているようだ。
エビスじいちゃん「そうか?みんな笑顔で元気じゃったぞ」
エビスじいちゃん「わしは厨房のみんなにあいさつしとったわい」
理貴「それゃそうだろ〜一応親父は店長だったんだからな」
威圧的で周りを牛耳るような怖い輩もいるだろうが目上の人には手のひらを返し顔色をうかがいごまをする人も中にはいるはずだ。
店長時代のエビスじいちゃんの前で笑顔の仮面を被る人もいただろう。
逆に理貴は元店長の父がいたからこそ今があるので、そんな理貴を面白く思っていない輩も中にはいるということなのだ。
エビスじいちゃんが引退し現店長の玉井が厨房の様子を見ることはあるが厨房はお察しの通りであり
個人的な主観も含まれるが理貴の言う通り地獄絵図と化しているそうだ。
エビスじいちゃんにとっては駄菓子屋経営は本業であるが
理貴にとっては副業か家事の手伝いみたいなところ。
店長時代のご恩があるにせよ直接仕事には関係ないことなのだ。
声をかけるハードルが高そうだが休憩時間とかでチャンスを見つけたい。
エビスじいちゃん「不安じゃったら玉井に頼むのもええんではないか?」
理貴「ああそれもありだな」
現店長の玉井に聞けば日野に声をかけるのも難しくはないだろう。
玉井も本多と並ぶエビスじいちゃんと駄菓子屋の理解者なのだ。
玉井にも完成した宣伝用のチラシを見せておきたい。
理貴「あ…このチラシは1枚しかないんだよな…」
エビスじいちゃん「うむ1枚しかないのう」
日葵たちが丹精込めて完成したチラシは1枚しかないためとても大事なので紛失するわけにはいかない。
しかし宣伝用に使わなければいけないので、日葵が手書きで完成したこの1枚はとっておき元本として大切にとっておくべきだ。
理貴「コピーしてくるか」
エビスじいちゃん「無くさんようにな」
理貴「色ついてるからカラーコピーか」
日葵たちが製作した宣伝用チラシは金では変えられない価値のあるものでとても素晴らしいものだが
この魅力的なチラシを複製するにはカラー印刷しかない。
カラー印刷は50円するのでここにも出費がここにも発生した。
今回は一度に大量に印刷せず日葵の母と玉井と本多に渡す分を含め何かあった時用に5枚ぐらいにする。
理貴「日葵ちゃんも親父のことと駄菓子屋のこと話してくれるそうだからきっとすぐに理解してくれるはずだ。」
そう信じて理貴はコンビニに行って宣伝用のチラシを5枚カラー印刷し、明日の仕事の準備をするのであった。
夕方、日野家にて仕事から帰ってきた母に日葵はエビスじいちゃんと駄菓子屋エビスのことについて話した。
日葵は母の前ではエビスじいちゃんではなく馴染みのある星川店長で彼のことを話す。
日葵「今日も星川店長の駄菓子屋にクラスのみんなと先生と一緒に行ったよ」
日葵の母「星川店長元気だった?」
日葵「元気だよ!だけど歯医者さんに行ってたみたいで理貴さんが代わりに店番してたの」
日葵の母「理貴さん?あ!星川店長の息子さんね。あまり話したことないわね」
日葵の母も理貴のことを知っているようだ。
しかし日葵の母も理貴に話しかけることはあまりないそうだ。
日葵「今度星川店長の駄菓子屋に一緒に行かない?」
日葵の母「う〜ん余裕ができてからね」
仕事で手一杯でそれでいて女手ひとつで日葵の面倒を見ているため余裕はないようであり
母の表情見て察するに疲れていそうで目の下のクマが少し青みがある。
できれば母と一緒に駄菓子屋に来店してさらにエビスじいちゃんと仲を深めたいところだが母の体調が心配である。
調理部門でもスーパーでは種類は様々で精肉、鮮魚、青果、惣菜と分かれているが
日葵の母は惣菜を担当していてお弁当やおかずを調理しているのである。
どこも大変だが惣菜部門は特に揚げ物調理で油や火を使うため厨房は熱気に包まれ職場環境は熱くなりやすい。
さらに人間関係がよくなければさらに悪化し理貴が言うように修羅場のような環境と化してしまう。
日葵の母「でも必ず会いにいかなくちゃ、星川店長にはいろいろお世話になっているんだから」
日葵の母は夫が生前まではアルバイトだったが夫が他界したあと日葵の子育てのため安定した収入が欲しく
エビスじいちゃん(星川店長)に相談し正社員になったというエピソードがある。
エビスじいちゃん(星川店長)が日葵の母を正社員にするために本社に行って直談判したことも日葵の母は鮮明に記憶に残っている。
他にもいろいろ数え切れないほど助けてもらっていた。
ほとんど助けてもらったことしかないが本人は覚えてくれているのだろうか。
エビスじいちゃん(星川店長)の分までAOZORAの「オリーブ」を支え精一杯働いていることが恩返しなのかもしれない。
だが自分の声で面と向かって感謝の言葉を伝えたいから絶対に駄菓子屋エビスに行って
エビスじいちゃん(星川店長)に会うこと心に誓う日葵の母。
日葵の母「よし明後日は休みだから一緒に店長の駄菓子屋に行くわよ日葵」
日葵「うん、お母さん無理しないでね」
明後日、母の仕事が休みということで日野家はエビスじいちゃんの駄菓子屋に親子で行くことを約束するのである。
お疲れ気味の母を労る日葵は、母と一緒にエビスじいちゃんの駄菓子屋に行けることは嬉しいが
母には休みの日だけは体を休めることを優先してほしい。
明日、理貴はいつも通り「オリーブ」の業務を行い休憩時間が近づく。
理貴「さて、えっと…日野さんいませんか?って言えばいいのかな…」
やることが終わったので休憩に入る前に厨房の様子を見て日葵の母に声をかけようとした。
理貴「いや…忙しそうだな~落ち着いてからにするか」
厨房の騒がしさを聞いて足が前に出ない理貴。
昼時なのでお菓子を買う客が増えるのでこの時間帯は忙しくなりそうだ。
そう思って理貴は引き返して更衣室の方に戻っていく。
理貴「あ!玉井店長!今お時間いいですか?」
更衣室に戻ろうとした理貴だが手が空いてそうな玉井を見つけたので声をかけた。
玉井「理貴君、休憩はいるんじゃないかな?」
理貴「はい、その前に日野さんに話があるです」
玉井「日野さん?惣菜の?」
理貴「実は日野さんの娘さんの本多さんの息子さんと同じ桜林小学校の子でして」
理貴「それで日野さんにも親父の駄菓子屋のことを話したいんですよ」
玉井「日野さんの娘さんも桜林小の生徒なんだね。」
玉井「この時間帯だと弁当の品出しで忙しくなるよね」
玉井「ちょっと様子を見に行こうか?」
理貴「ありがとうございます!」
惣菜の方は忙しそうだが現店長の玉井がいればちょっとだけ中断されても文句は言われないはずだ。
しかし惣菜部門の従業員が血相を変えて玉井の方に駆け付けてきた。
惣菜部門の従業員「店長!日野さんが!」
玉井「日野さんが!?どうしたの?」
惣菜部門の従業員「急に倒れてしまって…」
玉井「なんだって!?」
理貴「え…」
賑やかなAOZORAの「オリーブ」に不穏な空気が漂う。
日葵の母の身に何が起こったのか…
続く
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