駄菓子屋じいちゃんエビス

第27話 先生からのアドバイス

※この小説にはプロモーションが含まれています。

エビスじいちゃんが歯の治療のため不在だが息子の理貴が代理として駄菓子屋の店番をしている。
本業である「オリーブ」の仕事が休みなのでこうして理貴はエビスじいちゃんの代わりに店番をしているということだが
桜林小学校の生徒の翔吉たちと担任の丹下先生は前回の続きで来店しにきたようで話を最初から説明しなければいけないと思われた。
しかし理貴は事前に話を聞いていて理解しているらしく
むしろエビスじいちゃんの息子のため駄菓子屋のことは誰よりも詳しいのは当然。
日葵のことも宣伝用のチラシのことも話が早く進んで好調である。
展開はかなりよい方向に進んでいるが日葵たちの笑顔の裏で丹下先生の財布の相談が始まる。
なんと飲み物に続き、お菓子の購入までしなければいけない状況に丹下先生は立たされているのである。


チョコが食べたい翔吉とクッキーが食べたい日葵に続き
和河也たちも丹下先生にお菓子をねだるように自分が食べたいお菓子を口にする。
和河也「僕はポテトチップスが食べたいな」
慎吾「俺はショウと同じチョコにするかな」
楓「私はグミが食べたい」
丹下先生「あ〜君たちまで…」
理貴「毎度毎度!おいしいお菓子いっぱいあるよ!」
理貴「さあ!さあ!遠慮しないで!」
お菓子が食べたいと等身大のような無邪気に喜ぶ子どもたちとそれを畳み掛けてくお菓子を売り出してくる商売人の理貴。
これはかなり手強く、丹下先生の財布は「行くしかない」と叫んでいる気がする。
お金がなくてお菓子がなかなか翔吉たちが今は丹下先生がいて心強い味方がいるのだ。
昨日はミニ缶ジュースの飲み物を奢ってもらえたがそれは一人1缶までであった。
今日も1缶だけだと思っていたが理貴がお菓子を買う流れにまで持ってきている。
生徒と先生で来ているが子どもと大人で親子で来店することが理想であり
丹下先生の存在自体がその解決策となっているのだ。
売上を伸ばせるチャンスだから半ば強引だが理貴はお菓子を売りに出している。
もし断れたら潔く引き下がる覚悟はある。
まずは丹下先生の返事を待ってみる。
丹下先生「仕方ないですね、お菓子も一人一個までですよ!」
翔吉「やったー!」
理貴「毎度ありがとうございます!」
こうして翔吉たちは丹下先生にお菓子を奢ってもらえたのである。
学校の先生が生徒にお菓子を奢るのは珍しい光景だがとても微笑ましいものである。
丹下先生「いや~してやられましたよ、理貴さん」
丹下先生「お父様ひいては店長よりも商売が上手くなったのではないですか?」
理貴「本当ですか!?いや~ありがとうございます!」
理貴「これは仲間に自慢しちゃいますかね~」
理貴「オリーブも盛り上がっておりますのでぜひ来店して来てください」
自分はまだまだだと謙遜することなく父の商売よりも上手だと聞かれて
理貴は仕事仲間に自慢したくなるほど嬉しくなっている。
本業の「オリーブ」の宣伝も抜かり無しだ。
売上はミニ缶ジュース50円が6つ、板チョコ140円が2つ、グミが120円、
ポテトチップスが110円、クッキーが200円で合計1010円である。
過去最高の売上は5000円であるが同じ「オリーブ」の従業員である翔吉の父と
現店長の玉井が来てくれて元店長エビスじいちゃんの恩返しや駄菓子屋の投資の意味を込めての売上なので
それはカウントせずに初の店番で自力で1000円以上の売上を叩き出したのは上出来だ。
和河也「ねえ呼ぶ時は理貴さんでいいですか?」
理貴「別に何でも構わないよ」
理貴の呼び名について考える子どもたち。
本業で忙しいがこのように店番することも今後はあるだろうし駄菓子屋のお兄さんとしての立場を得たい理貴本人も
本音では父のように子どもたちに特別な呼び名をもらいたい気もしなくはない。
楓「エビスじいちゃんみたいなのがいいわね」
日葵「エビス兄ちゃんでいいですか?」
理貴「うん!エビス兄ちゃんね!いいよ!」
翔吉「じゃあこれからよろしくエビス兄ちゃん!」
父をエビスじいちゃんと呼ぶなら息子はエビス兄ちゃんである。
母の名前が恵美須だからまるで母と一緒に駄菓子屋を経営していて胸が熱くなる。
父がエビスじいちゃんと呼んで欲しいと子どもたちに言ったのはきっとこういった理由があったのかもしれない。
丹下先生「私は理貴さんが場合によっては星川さんと呼ばせていただきます。」
大人の立場からいえばお金は出すけど一定の距離を保つべきである。
理貴さんだろうが星川さんだろうがなんと呼ばれても構わないが子どもたちからエビス兄ちゃんと呼ばれるのは嬉しい限りだ。
ところがエビス兄ちゃんと呼ばれるのは嬉しいが本人は少し複雑な気持ちであるようだ。
理貴「30歳になるのですがまだ兄ちゃん呼びはセーフですか?」
丹下先生にそう問いかける理貴。
年齢についてのお悩みらしく世代間ギャップみたいなもので若者の定義で考えれば甘く見積もって20代後半までぐらいなのかもしれない。
20から10歳以上くらい離れれば世代間ギャップの影響を受けやすいこともあり
30歳になった理貴はもうお兄ちゃん呼びは難しいものなのかと感じていた。
そんな理貴の悩みに一教師として生徒の悩みを相談するような感じで丹下先生は応える。
丹下先生「う~ん気持ちや心の持ちようですかね…」
丹下先生「いつまでも若い気持ちを持つことが大事なのかもしれません」
理貴「ありがとうございます…」
理貴は丹下先生のアドバイスに真摯に受け止め深くお辞儀した。
若い気持ちを持つことが大事であるという丹下先生の言葉に承服せざるを得ない。
見た目で判断するのは失礼だが丹下先生のほうが理貴よりはるかに年上だがエビスじいちゃんよりかは年下だと思われる。
しかしこの年齢差は上司と部下の関係であり、下手すれば生徒と先生という関係でもありそうだ。
理貴「でも35までがギリですかね」
人指し指で左頬を掻く理貴、エビス兄ちゃんと呼ばれるのは長くて5年の期限だがエビスじいちゃんより特別感はありそうだ。


話は続きそうで前回は買った飲み物を店内で飲んでいたが
今回はお菓子も買っているため店内でお菓子を食べていいのだろうか。
理貴「ここで購入したものであれば店内で食べても構いません」
丹下先生「はい、わかりました。ありがとうございます。」
事業内容では店内でお菓子を食べれられそうな文言がある。
文言通りでありお茶会といった子どもたちの憩いの場としているので店内で購入したお菓子と飲み物に限るが飲食できるようだ。
子どもたちが腰を下ろして畳の上でお菓子を食べようをした時に理貴はあることに気づく。
理貴「あ!しまった!テーブル置いてなかった!」
丹下先生「もしかして食事用のテーブルが本来は置いてあるのですか?」
理貴「はい、そうです…」
地べたで食事するような感覚て畳の上で飲み食いするのではなくちゃんとテーブルが用意されていて
そのテーブルの上で食事することを想定しているそうである。
ふと思い出したかのような理貴の発言を聞くに以前店内にテーブルが置いてあってお茶会を、
あるいは似たようなことをしていたのかもしれない。
それならどうしてテーブルが置いていないのだろうか。
理貴「使えるテーブルがなくてですね、家のリビングのを使ってます。」
理貴「すみません!今日は準備していませんでした。」
理貴「今回は遠慮せず畳の上で食べちゃって構いません」
理貴は子どもたちにテーブルの上でお菓子を食べることを許可した。
遠慮せずにといったがこぼしても構わないという意味も含まれているだろうし準備不足に対するお詫びでもあるのだろう。
チラシの事業内容にも記載されているようにお茶会をするのであればそれなりの環境は整えなければいけないはずだ。
準備中でありしかもエビスじいちゃんは歯の治療中である。
理貴にいたっては本業で忙しいのでいろいろ時間がかかってしまうのは仕方ない。
しかしこのような状況に甘んじていない理貴の姿を見るに、
親子で二人三脚で駄菓子屋を経営しているのが素晴らしいと思っている。
経営方針やどのように運用していくかは一歩引いて彼らに委ねて見てもきっと良い駄菓子屋になるはずだが
事業内容に書いてあることを実現するため、丹下先生は有言実行へと移す働きかけするため消費者の立場から一歩踏み込んで指摘する。
丹下先生「近日くらいにはテーブルを設置した方がいいかもしれませんね。」
丹下先生「お客様の憩いの場にするならば時間を忘れてしまうほど快適でくつろげる環境にしなければいけませんね。」
理貴「はい!わかりました!」
丹下先生から正論のような指摘を受けた理貴である。
この指摘にはお菓子まで買わされた腹いせも乗っかている。
具体的な期限に言っていないが近日くらいにはと言っているのでできるだけ早めにやるべきことを全部やっておけということだ。
食事用のテーブルだけではない子どもたちが遊ぶためのおもちゃや、
冷蔵ショーケース、空調管理のためのエアコン、壁面看板の設置、そして本格的な開業とキリがない。
本格的な開業は来年の夏からとしているが駄菓子屋エビスを認知させるために始めた営業活動は
良い意味で思わぬ方向に進み、ゆっくりお茶を飲むほどゆとりを持てず開業の計画が早まる可能性が出てきそうだ。
頭を抱えながらスマホを片手にネットショッピングサイトを開いて、
店内の畳に合って金額もサイズもちょうどいいダイニングテーブルを調べている。
準備不足が不手際だと感じ焦るたびに金額のラインが上がってしまっている。
言われたことや指摘されたことはすぐに直しておきたいのが理貴の几帳面な性格なのだ。




エビスじいちゃん「ただいま~」
理貴「あ!親父!おかえり!」
そんな最中エビスじいちゃんが帰ってきた。
翔吉「エビスじいちゃん!」
日葵「あっ!エビスじいちゃん…」
丹下先生「店長お疲れ様です。」
エビスじいちゃんが戻ってきた途端に状況が一変したかのように感じた。
そしてエビスじいちゃんの帰りを待っていたかのようである。
楓「チャンスだよ!日葵!」
楓は日葵に軽く肘を突いて機会を促す。
日葵は駄菓子の玄関から入ってきたエビスじいちゃんの目の前に立つ。
宣伝用のチラシの話をするよりも日葵についての話を早速した。
日葵自身勇気を持ってエビスじいちゃんに声をかける。
みんな日葵を見守る。
日葵「えっとエビスじいちゃん私のお母さんがオリーブで働いているの!」
理貴「そう!俺も知ったよ!日野さん、調理部門で働いているんだよ」
理貴もフォローに入りながら日葵の母のことについて補足し「オリーブ」で総菜やお弁当を作っている調理部門で働いていることを伝える。
さらに丹下先生も宣伝用のチラシを見せて子どもたちとアイデアを出し合い日葵が作成したことを伝える。
丹下先生「店長、チラシの件ですがみんなと考えて日葵ちゃんが絵を描いて仕上げました。」
丹下先生「どうでしょうか?」
エビスじいちゃん「お!どれどれ~」
エビスじいちゃん「これ!もしかしてわしの絵か!?」
日葵「はい!!」
エビスじいちゃん「うわあ~うまいのう!日葵ちゃん!」
宣伝用のチラシを見てすぐに目に留まったのはやはりエビスじいちゃんの似顔絵である。
エビスじいちゃん「ありがとう日葵ちゃん!みんなも!」
父の笑顔はいつも以上に明るく見えた。
なぜこの駄菓子屋エビスを子どもたちの憩いの場を目指したのか理貴はその答えがわかったのである。
エビスじいちゃん「そうか、日野さんか~理貴頼んだぞ」
理貴「おう!」
エビスじいちゃんの頼み事は、「オリーブ」で日葵の母によろしく伝えてほしいということで理貴は快く引き受けた。
これでエビスじいちゃんと日葵の関係により硬い紐で結ばれた繋がり構築された。
日葵の悩みは今日を持って解消しこれからエビスじいちゃんとみんなでこの駄菓子屋で最高の思い出を作ってほしい。
歯の治療に耐えたエビスじいちゃんにとってこれは最高のご褒美になった。
エビスじいちゃんが帰ったので状況を整理し今日の出来事を説明した。
丹下先生「ということで今日もお邪魔しております。」
そして今、お菓子と飲み物を子どもたちが食べようとした矢先のことである。
準備中のため店内に本来置いてあるはずのテーブルがなくそこで理貴は子どもたちに畳の上で食事することを許可していたところなのだ。
理貴「それでいいかな親父?」
駄菓子屋の店長でもあり管理者でもある父に結局委ねてしまう理貴。
エビスじいちゃん「う~んなんか地べたで食べさせているようなもんじゃ」
エビスじいちゃん「テーブル出すから待っててくれ」
エビスじいちゃん「理貴、テーブル運ぶぞ!」
理貴「おう!」
丹下先生「わかりました。みんな待ってね」
子どもたち「はい!」
エビスじいちゃんの意向でリビングのテーブルを店内に移動して子どもたちの食事用のテーブルを提供することになった。
準備不足でボロが出て丹下先生に指摘された理貴、彼だけかもしれないが彼だけ気まずい空気を吸っていた。
しかし父が戻ってきて空気が一変して理貴はどこか救われたような気がして
飲み物だけでなくお菓子も売れて昨日の父の売上を比較して父の商売を超えたのだと調子に乗っていたのが恥ずかしく
自分の商売はまだまだだと気づき反省しながら父とテーブルを運ぶのであった。
エビスじいちゃん「どっこいしょ!これでどうじゃ?」
店内に置いたテーブルは木製の長方形である。
このテーブルはエビスじいちゃんと理貴がいつもリビングで使っている食卓のテーブルである。
初めて来店した時の日葵と楓、父と来店した翔吉は星川家に招かれていたためまだ記憶に新しいだろう。
試しに置いて見た雰囲気がエビスじいちゃんの体から発されているが
実は同じ桜林小学校の1年生の隼人とその家族が来店し1度は実践しているのである。
理貴が自らリビングのテーブルを使いまわしているような発言をしてしまっているのでこれをするのは初めてではないことを伝えている。
そこは敢えて突っ込ます実際に子どもたちが店内でお菓子を食べている様子を観察しよう。
翔吉たちがテーブルにお菓子を置いて食べ始めた。
見た感じ普通で子ども会で子どもたちが集まってお菓子を食べている、または友達の家でお菓子を食べているごくありふれた光景である。
それでも思っていたイメージとかけ離れることはなく、エビスじいちゃんにとっては有難いものである。
駄菓子屋店内に子どもがいることがなにより幸せなのだ。
店内にテーブルが置かれたことで大体のイメージが付きそれを付随した形で丹下先生はある一教師として意見する。
丹下先生「テーブルの配置やサイズなど工夫して2台置けるといいですね」
丹下先生「生徒たちがここで宿題や勉強できたらいいなと思いまして」
エビスじいちゃん「なるほどそれはありですな!」
丹下先生の意見に賛同するエビスじいちゃん。
事業内容からもある程度自由を与えている環境であるため遊び場にするだけでなく勉強会を開けるようにするのもいい。
翔吉「え~勉強~」
翔吉はなんだか嫌そうである。
また1つ翔吉がどんな子なのかわかったような気がする。
丹下先生「せめて翔吉が宿題をしているかどうかだけでも見てもらいたいですね」
エビスじいちゃん「うむ、じゃったらここで宿題をすることを許可するぞ」
エビスじいちゃん「翔吉君がちゃんと宿題やってるかみるぞい」
理貴「翔吉君のお父さんにも言っておくからね」
慎吾「だってよショウ」
翔吉「うわあ~」
エビスじいちゃんが子どもたちが宿題しているのか監視役として見るそうだ。
特に翔吉には監視の目が強そうである。
子どもの面倒見るのもよさそうだしそれが駄菓子屋経営をする励みにもなりやりがいにもなりエビスじいちゃんの生き甲斐にもなる。
丹下先生「いろいろ迷惑をおかけしますがこれからよろしくお願いします。」
翔吉たちがお菓子を食べ終えてあいさつをして翔吉たちは駄菓子屋を後にした。




昨日と今日で桜林小学校生徒並びに先生が来店しとても有意義のある意見交換ができさらに売上もあって充実したものとなった。
しかしそれと同時に課題点も見えてきた。
やるべきことは早めに済ませておきたい。
月額会員についてだがリストにしてこちらが管理することに決まったのでこれはひとまずクリアである。
現在11月の中旬または後半ぐらいなので11月中に会員費を支払った客の待遇は12月からとするのが妥当だろう。
ということは丹下先生から言われた指摘を今月までにはやるべきことをやっておかなければならない。
課題点を頭に整理しながらエビスじいちゃんと理貴はテーブルを家のリビングのほうに戻した。
理貴「まずはテーブルをなんとかしないとな」
エビスじいちゃん「そうじゃのう~」
子どもの憩いの場を目的として掲げた駄菓子屋エビスだが
先生の目に留まり桜林小学校の生徒向けとしての駄菓子屋が定着しつつある。
お茶会兼食事用そして子どもたちの勉強用のテーブルが必要でリビングのテーブルを使い回す訳にはいかない。
規模はかなり小さいが地域に根差した駄菓子屋になることが大きな目標になってくるかもしれない。
店内用のテーブルの設置が最優先事項となる。
理貴はネットショッピングで和室の店内にちょうどいいテーブルを見つける。
幅90cmで奥行きが60cmある木造のローテーブルである。
理貴「これでどうかな?」
エビスじいちゃん「う~んそれにするかのう…」
理貴が選んだテーブルでもよさそうだがエビスじいちゃんは少し悩んでいる様子だ。
エビスじいちゃん「もう来月から12月じゃろ?」
エビスじいちゃん「冬になるんじゃしこたつあった方がいいんじゃないかのう…」
理貴「あ~こたつか…」
エビスじいちゃんの意見は的を射ていて季節に応じて店内の装いも変化が必要になる。
宣伝用のチラシは完成したが肝心の事業内容はイメージ通りの実現には程遠い。
課題はまだまだ山積みであることを再認識にしたエビスじいちゃんと理貴であった。

続く

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