第24話 フィードバックと宿題
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子どもたちと先生との意見交換である程度まとまってきたが
まだチラシのデザインが悩みどころであり子どもたちの意見が2つに分かれている。
駄菓子屋のチラシのデザインをめぐって翔吉たちの担任の先生である丹下先生がまた案を出してくれた。
丹下先生の提案に期待しつつそれはどんなものなのだろうか。
丹下先生「宿題にしましょう!」
翔吉「え!宿題!?」
エビスじいちゃん「ほう…宿題ですか」
唐突であるが丹下先生はこの駄菓子屋のチラシのデザインを宿題にして一人一人、デザインを考えることを提案した。
丹下先生「デザインにお悩みでしたらここはまず子どもたちのアイデアを参考にしてはいかがでしょうか?」
エビスじいちゃん「なるほどそれはありですな」
子どもたちの感性や個性を基にデザインすればきっと魅力的なチラシが出来上がるはずだ。
すぐにはアイデアが浮かんでこないと思うので、丹下先生はこれを宿題にして
明日に持ち越し授業などで意見を出し合うこと想定としているのだろう。
丹下先生は自分の黒色の手提げかばんから何かを探している。
丹下先生「なあ、時間割表誰か持っているか?」
和河也「ありますよ」
和河也はランドセルから時間割表を出して丹下先生にそれを見せた。
丹下先生が探していたのは3年1組の時間割表で、それが手元になかったみたいだ。
時間割表を確認しているということは明日か近日くらいに授業に組み込むつもりなのだろう。
丹下先生「図工か社会の時間にいれようか?」
桜林小学校の3年1組のカリキュラムの進捗はわからないが
どこかの授業に駄菓子屋エビスのチラシのデザイン案の課題をいれるということは余裕があるのかもしれない。
候補は図工と社会であり、いずれのどちらかでやる予定である。
図工なら純粋に絵やデザインの話になるだろうし
社会なら社会勉強や校外学習の一環として取り上げることもできるだろう。
本当に嬉しいことではあるがわざわざ学校の授業で取り上げるほど
駄菓子屋エビスのことを考えていることにエビスじいちゃんは申し訳なく感じていた。
エビスじいちゃん「すみません…誠に有り難いのですが…子どもたちの貴重な授業時間を…」
エビスじいちゃん「こんなわしの駄菓子屋のために使ってよいのでしょうか?」
丹下先生「いえ、とても素敵な駄菓子屋だと思います。」
丹下先生「こちらこそ子どもたちに価値のある時間を提供してくださりありがとうございます」
丹下先生「教員としてこの駄菓子屋を通じて子どもたちの成長と学びが得られるのではないかと思っております。」
丹下先生「教科書をめくって机の上で勉強するだけでなくこういったことも必要なんじゃないかと思うんですよ」
駄菓子屋が単なるお菓子を売る場所ではないと丹下先生が言ったのは
妻の恵美須の思いだけでなく、子どもたちの教育の観点から価値あるものとしてい見出していたからだ。
教育のあり方を語りだす丹下先生、子どもたちのことを真面目に考えている。
教室で机の上で勉強するよりも多くの学びを得られるのは確かだ。
丹下先生「前の学校では教頭先生をやっていたりと長い間教師をやってきましたがまだまだ学ぶことがいっぱいあります」
エビスじいちゃん「そうですか」
白髪もエビスじいちゃんに負けないくらいあるが、初心を忘れず謙遜で勤勉な人であると感じる。
丹下先生「しかし私はもう60代ですのでもうそろそろ定年になります。」
エビスじいちゃん「な〜にを言うておる、まだまだやれるであろう。」
エビスじいちゃん「これからも翔吉君たちを引っ張ってくれ!」
定年退職の話へ持ちかける丹下先生に喝をいれるエビスじいちゃん。
60代と言っているので70代のエビスじいちゃんより年下である丹下先生。
しかし60過ぎれば年の差もあまり関係なくなるかもしれない。
エビスじいちゃんは70歳まで「オリーブ」で店長をしていたから丹下先生にはもっと現役で子どもたちを支えてほしいのである。
慎吾、和河也、楓、日葵の四人はやる気がありそうだが翔吉の表情を見るとなんだかやる気がなさそうだ。
全員が賛同しているためいくら翔吉が駄々をこねても多数決とやらでやらざるを得ないが
これが学校の授業で取り入れられるのならもう避けられない。
多分これとは別の本命の宿題があると思われるがきっといきなり宿題が増えてしまったことに不満を抱いてしまったのだろう。
ここは任せてもらうほうが良いかもしれないが翔吉たちに負担をかけさせたくないのもエビスじいちゃんの本音である。
エビスじいちゃん「でしたら図工よりも社会にしてはどうでしょうか?」
社会勉強の一環として見るのならば授業が社会のほうが合っているはずだ。
それに絵の評価以外でアイデアなどで加点もしやすい。
丹下先生「じゃあ社会の授業でいいかな?」
3年1組全員「はーい!」
チラシのデザインは明日以降に持ち越しとなり、社会の授業で扱うこととなった。
翔吉たちは駄菓子屋エビスを後にして、丹下先生は残り仕事を片付けに学校へ戻っていった。
翔吉「宿題増えちまったな〜」
慎吾「でもお菓子を買うこと以外で俺たちでもできることが見つかって良かったんじゃねえか?」
楓「そうよ!先生が飲み物奢ってくれたんだからね!」
子どもたちがお菓子を買うこと以外で協力できるのは良いことである。
子どもたちが駄菓子屋エビスのチラシのデザインを考えることは
この子どもたちの憩いの場とするコンセプトに合致し、意見が反映されることとなる。
絵を描くのが好きな和河也と日葵は早速張り切っている。
和河也「アニメのキャラクターとかがいいかな」
日葵「かわいい動物の絵とかもいいかも」
慎吾と楓も和河也と日葵みたいな勢いはないがそれぞれある程度構想を練っている。
一方で翔吉は夕陽に照らされながらトボトボ歩いていた。
翔吉「はあ〜面倒くさいな〜」
こうなることは思ってもいなかっただろう。
翔吉は駄菓子屋エビスのチラシのデザインを考えてくれるのだろうか。
エビスじいちゃんは翔吉たちが駄菓子屋を出て片付けをしていた。
今日の成果はとても良いものであったことは間違いない。
チラシの内容とデザインは改善の余地はあるが子どもだけでなく学校の先生が一緒になって考えてくれているのは本当に嬉しい。
チラシのデザインを宿題そして学校の授業で扱い、その後日完成したデザインを提供してくれるということなので
また駄菓子屋に訪問することが確定している。
つまり桜林小学校の生徒とその先生とでまた意見交換ができるということである。
エビスじいちゃんは妻の恵美須の仏壇がある2階の部屋を掃除していた。
エビスじいちゃん「恵美須!見ておるか?」
エビスじいちゃん「今日もいつにもまして駄菓子屋が賑やかになったぞ」
エビスじいちゃん「わしらの駄菓子屋はもっと発展していくかもしれん」
夕飯の支度をしていた最中にちょうど理貴が仕事から帰ってきた。
理貴「ただいま親父」
エビスじいちゃん「おかえり、理貴。今日はいいことがあったんじゃ!」
早速エビスじいちゃんは理貴に翔吉たちが学校の先生を連れてきたことを話す。
理貴「へえ〜先生も来てくれたんだ!!」
学校の先生まで駄菓子屋に来店して来たことに理貴は驚いている。
理貴「それで何かいいアイデアくれたの?」
理貴はエビスじいちゃんに今日あった出来事を期待している。
意見交換で得たこと、月額会員のことやチラシのデザインのことまでエビスじいちゃんはいろいろ話す。
月額会員については300円を支払った人をリスト化してエビスじいちゃんが管理するといった提案がされた。
他の案のとして会員チケットがあげられたが紛失リスクがあり
子どもの負担をかけさせたくないことから見送られたことも理貴に伝えた。
話を聞いて理貴は月額会員をリスト化にして管理することに賛成している。
理貴「会員になった人の管理とか、どうやって区別するとか考えていなかったらそれはありだな」
また冷蔵庫についてだが理貴との話し合いでは小型のワンボックスタイプ冷蔵庫にすることに決めていたのだが
今日、丹下先生との話し合いで見えるようなものがいいと意見を出してくれた。
そこでエビスじいちゃんは当初のショーケースを思い浮かんだのである。
つまりは小型のショーケースにしてはどうかということである。
理貴「ああ!そうだな!商品の中身が見えていた方がいいかもしれない」
小型のショーケースについても理貴は賛成している。
「オリーブ」という大型のスーパーで働く理貴そして店長として働いていたエビスじいちゃんの経験からショーケースは多くの商品の品質を保ち冷やすためのものとして考えていた。
店内のスペースやランニングコストの問題があったため断念していたがそれは大型のものを想像していたからである。
飲み物を冷やすことに重きを置いていたため展示する点においては盲点であった。
飲み物が売られていることもわかりスペースも取らない小型のショーケースが最適解だ。
理貴はネット通販などで小型のショーケースの価格を確認した。
価格は3万円から5万円ぐらいはするようだ。
理貴「よし!来月買ってやるぜ!」
エビスじいちゃん「ありがとう!理貴!」
少なくとも小型の冷蔵庫よりは高くなるだろうが駄菓子屋のために妥協せず来月購入を検討する。
理貴「ちなみにチラシのデザインについてはどうだったの?」
話を通じてよいアドバイスを聞けたようであるが、理貴が一番気になっているのはチラシのデザインについてである。
エビスじいちゃん「それじゃがな、それを宿題にして学校の授業の時間を使って考えてくれるそうなのじゃ」
理貴「ほうほう…そこまで」
授業まで取り扱ってくれるほど協力的なのは嬉しいが宿題にまで持ち越したということはチラシのデザインはいまいちだったということなのだろう。
これについては理貴も仕方がないと思っていた。
理貴「ということはあまりよくなかったんだな」
エビスじいちゃん「このままでいいって意見もあったんじゃがな」
賛否両論あったのでできればみんなで納得がいくするため今日のうちには決めずに明日以降に宿題や学校の授業を通して時間をかけてじっくり取り組みたいということだ。
理貴と同じく「オリーブ」で働く人たちの意見でも絵やイラストや写真などでどんなお菓子が売られているのかを書くべきだと言われた。
エビスじいちゃんと理貴の考えたチラシのデザインは駄菓子屋エビスのタイトルロゴは頑張ったほうだが
全ては文字だけで、ツッコミどころ満載で地味と言われても反論しようがない。
しかしこれがエビスじいちゃんと理貴の精一杯である。
理貴「本多さんからイラストとか写真とか出した方がいいって言われたからな」
理貴「子どもたちがどんな案を出してくれるのか楽しみだね」
エビスじいちゃん「そうじゃな」
エビスじいちゃんも理貴も子どもたちのアイデアに期待している。
色塗り作業が大変だと思いわがままではあるが子どもたちの力を貸してもらおうと思っていたがまさかチラシのデザインまで協力してくれるなんて思ってもいなかった。
こうなったらとことん翔吉たちに協力してもらって良くしてたい。
こちらもやるべきことはするべきで小型のショーケースは来月からにしてまずは会員リストの作成に取り組みたい。
それに取り組み前に夕飯を済ませてからにする。
夕食を終えてちょっとした後、理貴はスマホから翔吉の顔が写った写真をエビスじいちゃんに見せた。
理貴「はい、これが翔吉君の顔だよ」
エビスじいちゃん「おお!本多から送ってくれたのか」
理貴「うん、まあ今日あってるから覚えているだろうけど、親父はすぐに忘れちゃいそうだからな」
そして理貴はエビスじいちゃんのスマホに翔吉の顔写真を共有した。
理貴「翔吉君は桜林小学校の生徒で合ってるみたいだよ」
理貴「玉井店長の息子さんの颯太君も桜林小学校の生徒で6年生で間違いないよ。」
エビスじいちゃん「おう、ありがとな!」
エビスじいちゃん「颯太君も同じ桜林小学校の生徒だって教えてもらったんじゃが」
エビスじいちゃん「理貴が覚えてくれればええかのう〜」
理貴「はあ〜まったく!」
翔吉と颯太が桜林小学校の生徒であることは確認できたがエビスじいちゃんの記憶力の懸念は拭えず理貴に任せようとしている。
月額会員の管理を任されているのにこれはいかがなものか。
理貴「だったら名前プラス桜林小って書けばわかるだろう」
エビスじいちゃん「そうじゃな、それならわかるな」
会員リストのことについて理貴は言っているのだが
例えば本多翔吉(桜林小)と書けば翔吉が桜林小学校の生徒であることがわかるだろう。
理貴は余ったチラシの裏面に定規で線を引いた。
会員リストのイメージ的なものを書いているのだろう。
文字が書けるくらいの幅で等間隔で線を引いていく。
余ってしまった駄菓子屋のチラシを裏目に使って再利用しているが思えば100枚もコピーする必要はなかった。
翔吉たちや「オリーブ」の職場の仲間などに数十枚くらい使ったと思うがそれでも80枚以上は余っている。
色塗りする前から理貴は思っていたが本当に後悔している。
その後悔を消化するのが会員リストへの再利用なのである。
理貴「よし、これでいいかな」
エビスじいちゃん「うむ、いいんじゃないかのう」
ざっくりと2列の表を作って1列に二十人、1枚で計四十人の名前が書けるリストを作成した。
全員人数に応じて表や線の幅を調整することがこの余ったチラシで有効活用できる。
会員リストはこちらで管理するものなのでデザインは気にしなくてもいいし
その都度管理しやすいように体裁を整えていきたい。
理貴「ところで売上はあった?」
子どもたちだけでなく大人である先生も駄菓子屋に来てくれたので売上に期待する理貴。
エビスじいちゃん「300円じゃよ」
理貴「300円か」
期待していただけに売上300円はイマイチな印象を受ける。
300円の内訳を聞くとミニ缶ジュース160mlが6缶売れたそうである。
エビスじいちゃんが翔吉たちの飲み物を売ると伝えたことで先生が意見を出し小型のショーケースまで漕ぎ着けることができたのだ。
いろいろといいアイデアをいただけたので売上300円よりも価値の意見交換になったと言える。
本多家にて、翔吉は宿題を済ませてからエビスじいちゃんの駄菓子屋のチラシのデザインを考えていた。
翔吉(なんでこうなるんだろうな〜)
エビスじいちゃんの駄菓子屋の支援をしたい気持ちはあるのだが
それはお菓子を買うことに限った話なのでありここまでアイデアを出したり未来のことまで考えたりなどは思っていなかった。
エビスじいちゃんは父が働いている「オリーブ」の元店長であり、父はエビスじいちゃんにお世話になっているため
翔吉も離れられないくらいの繋がりができている。
気前がよくお菓子を安くしてくれたこともあり子ども思いで亡き妻の思いを背負っている。
そんな人柄を知ってこっちは何もしないわけにはいかない。
翔吉「父ちゃんに協力してもらおうかな」
父もエビスじいちゃんは恩返しがてら協力したいそうだから父の力を借りて慎吾たちに負けないチラシのデザインを考えたい。
翔吉はリビングにいる父に声をかけて駄菓子屋エビスのチラシを見せた。
翔吉「父ちゃん、これなんだけどさ」
翔吉の父「あっこれ、翔吉も持っているのか」
父もチラシを持っているようである。
翔吉「え?父ちゃんも持っているの!?」
翔吉の父「ああ、店長の息子の理貴君もオリーブで働いていてな。それで彼からこのチラシを貰ったんだ。」
翔吉「へえ〜」
父もチラシの件について知っていのでそれなら話が早い。
翔吉「今日放課後みんなと先生とエビスじいちゃんの駄菓子屋に行って話をしてきてそれでこのチラシのデザインを考えるのを宿題にしたんだ」
翔吉の父「学校の先生が宿題に?」
翔吉「そう、社会の授業でそれを」
社会勉強の一環としてだろうが学校側がエビスじいちゃんの駄菓子屋を授業で扱うとは驚いた。
まだまだ小さな駄菓子屋なのにそれを取り上げてくれていることは翔吉たちの協力が大きく影響しているのだろう。
翔吉の父「いや〜見上げたもんだな〜翔吉の思いも活動も学校の心を動かしたんだな」
翔吉「たっ多分…」
実は翔吉の父も桜林小学校で育っている。
学校側も協力しているのは感慨深いものでありエビスじいちゃんこと星川店長は恩師のであり
息子である翔吉がその人と繋がりを持ち互いに駄菓子屋を発展させようとすることに感動している。
今はこのチラシのデザインを考えることなので翔吉の父もエビスじいちゃんの恩返しとして手伝いをしたい。
翔吉の父「俺も理貴君に絵とか写真とか入れたほうがいいとは言ったけど」
翔吉の父「いさぞれを自分でやるとなったら難しいものだな」
チラシのデザインについてはすでに理貴に意見を出したが、それを出したはいいものの具体的なものは提示していなかった。
翔吉と同じく父も絵には自信がなく、そしてアイデアも浮かんでこない。
本多親子はリビングのテーブルで駄菓子屋エビスのチラシを腕を組んでじっと眺めていた。
翔吉と共に親子で駄菓子屋に行った時、エビスじいちゃんの好きなように駄菓子屋を経営すれば良いと話してきた。
だからエビスじいちゃんの好きなようにやればいいのだが人の意見を聞いてよりよくしていくことは大事である。
子どもたちの憩いの場をコンセプトとしてみんなのための駄菓子屋を築いていきたいのである。
翔吉「今のままでもいいと思うんだけどな…」
翔吉の父「翔吉はそう思うか…」
翔吉がそう思うと今のままでもいいような気がしてきた。
資金面で限界がある翔吉を始めとした子どもたちにとっては子どもでもできる素晴らしい取り組みである。
チラシのことについて限った話ではなく店内のことだったりエビスじいちゃんのことだったり翔吉も意見を出している。
今回はこのまま良しとして次へ進めればいいのだがどうやらこのチラシのデザインをめぐって子どもたちの間に意見が分かれているそうだ。
エビスじいちゃんとより縁がある翔吉は他よりも惹きつけるデザインを考えたいところだ。
翔吉の父はアイデアを探すためネットサーフィンで情報を集めながら時折スマホに保存されている写真を眺めていた。
父はある写真を見て何かひらめいたみたいだ。
翔吉の父「そうだ!!これなんかどうだ?」
翔吉「ん?エビスじいちゃん?」
それはエビスじいちゃんの顔が写った写真である。
翔吉の父「そう!!似顔絵を描いてみないか?」
翔吉「似顔絵!?」
続く