駄菓子屋じいちゃんエビス

第23話 有意義な意見交換

※この小説にはプロモーションが含まれています。

意を決して桜林小学校に行って駄菓子屋の宣伝活動をするエビスじいちゃんだが
心理的プレッシャーで思うように足が進まない。
子どもに話しかけるチャンスが何度もあったのに声をかけられずすれ違ってしまったり
学校の石畳の階段に上がっては下ったりを繰り返し失敗や変な印象を持たれてしまう恐れを抱えなかなか思うような営業活動ができない。
どちらかといえば期待よりもあきらめのほうが勝る営業活動。
なんの成果もあげられなくて苦戦するエビスじいちゃんに助けがやってくる。
桜林小学校3年1組の生徒とその担任先生で、その中にエビスじいちゃんをよく知る翔吉がいたのである。
桜林小学校に来たのか事情話すエビスじいちゃんに対し、翔吉たちもエビスじいちゃんの駄菓子屋に来店するところだと話す。
担任の先生もいることで子どもの意見だけでなく大人の意見と先生としての意見も取り入れられるため
子どもだけ想定していた営業活動だったが嬉しい誤算となる。


チラシを読みながら翔吉たちはエビスじいちゃんの駄菓子屋を目指していく。
これで翔吉は駄菓子屋の来店が4回目と最多となる。
慎吾と和河也は3回目となるが楓と日葵は2回目となる。
楓「エビスじいちゃんの駄菓子屋行ったのはあれっきりだったわね」
楓「日葵が全部お菓子買ったのよね」
日葵「あの時は少しでも力になりたかったから」
エビスじいちゃんは来客者名簿を確認した。
エビスじいちゃん「あ〜楓ちゃんと日葵ちゃんかのう!あの時はありがとう!」
名前だけしか書いていない名簿だが女の子の名前らしきものは二人しかいないので顔が一致しなくてもすぐにわかることができた。
あの時の駄菓子屋は品揃えが不足しているどころか店内は殺風景でもはや息していないかのような状態だった。
売られているお菓子も売れ残りのような子どもたちにとって見れば魅力的なお菓子ではないのに買ってくれたのだ。
今、駄菓子屋を目指して一緒に歩く五人の子どもがまさに駄菓子屋エビスに新しい風を吹かせたのである。
エビスじいちゃんに「翔吉君たちが来てくれたおかげでわしの商売魂に火をつけてくれたんじゃ!」
エビスじいちゃんは目頭が熱くなりながらそう語る。
丹下先生「そうだったんですか」
丹下先生「彼らはよくあなた様の駄菓子のことを話しておりました。」
丹下先生「私もそれを聞いていくうちに興味を持ちまして」
丹下先生「子どもたちの話を聞く限りではございますが…」
丹下先生「あなたの駄菓子屋は単なるお菓子を売る店では留まらない特別なものではないかと感じております。」
エビスじいちゃん「あ…もしや…」
丹下先生「はい…」
事情を知っている丹下先生はエビスじいちゃんに視線を合わせ深く頷いた。
駄菓子屋エビスに到着してすぐに2階に上がり翔吉たちは恵美須の仏壇に線香をあげた。
なぜ丹下先生は駄菓子屋エビスを単なるお菓子売り場ではなく
特別な駄菓子屋だと見出したのかエビスじいちゃんになりに理解した。
エビスじいちゃんの頼りなさや不甲斐なさではなく妻の恵美須に対する思いがあったのである。
そして何もなかった地味な駄菓子屋の有り様を見てより翔吉たちは一掃寂しさを与えてしまったのだろう。
だから翔吉を始めとする子どもたちが駄菓子屋エビスを立ち直そうと協力しようとしてくれているのだ。
エビスじいちゃん「おぬしらには申し訳ないと思うておる」
エビスじいちゃん「恵美須が生きているうちに早く駄菓子屋を建てるべきじゃった…」
エビスじいちゃん「それだけでない…わしが駄目なばかりに子どもたちに力を貸してもらうことになってしまった」
何度もこうして子どもたちが来店しれているのを感じているともっと早くに駄菓子屋を始めるべきだったと後悔してしまっている。
しかし駄菓子屋を建てることに反対していたエビスじいちゃんの選択も決して間違いではなかった。
丹下先生「重い決断だったと思われますが、駄菓子屋を建てられたこと深く尊敬いたします。」
丹下先生「しかしこのご時世…小学校の教員をやっている立場でございますが…厳しい戦いになるかと…」
言葉を選びながら駄菓子屋の未来を見据え、丹下先生はそう語る。
丹下先生「桜林小学校は現在3年1組はここにいる子たちで全員となります。」
改めて現在桜林小学校3年1組の生徒は翔吉、慎吾、和河也、楓、日葵の五人しかいない。
丹下先生はどこまで駄菓子屋エビスを知っているかわからないが翔吉たちの話を聞いて力になってくれるのは有り難いことである。
駄菓子屋エビスは子どもをメインターゲットにしてお菓子を売っているが
少子化により母体数が減ってしまえば経営にも影響を及ぼしてしまう。
この東根市に建てられた駄菓子屋エビスは例外ではない。
桜林小学校の通学路内にこの駄菓子屋は位置しているためその学校の子どもたちが必然的にターゲットになっている。
現在の桜林小学校の生徒数は減少傾向だから少子化の影響を大きく受けている。
当時駄菓子屋を建てることに対してエビスじいちゃん反対していていかに慎重だったが聞かずとも想像できる。
亡き妻、恵美須の思いを受け継ぎ駄菓子屋を建てたエビスじいちゃんの思いを尊重し
全力で支援していきたいのが丹下先生並びに桜林小学校3年1組一同の所存なのである。
暗い話ばかりしていても仕方がない、協力している人たちがいるからこそ結果を残していきたい。
エビスじいちゃん「妻がどんな駄菓子屋を目指したいか今のわしではもうわからんが」
エビスじいちゃん「わしはこの駄菓子屋を子どもたちが交流を深めて楽しくお菓子を食べたり遊んだりできる憩いの場にしたいんじゃ」
駄菓子屋エビスのあり方をみんなの前で話したエビスじいちゃん。
丹下先生「きっと奥様も同じ考えを持たれてると思います」
1階の店内に戻り、これから駄菓子屋エビスの未来のため有意義な意見交換になることを期待したい。


子どもたちは現在の駄菓子屋エビスの店内に対して概ね良い印象を持たれている。
品揃えが充実している点を褒めてくれた。
和河也「ショウ(翔吉)が言ってたみたいにお菓子が増えているね!!」
慎吾「俺たちが2回目行った時はグミしか売っていなかったからな」
エビスじいちゃん「すまんなあの時は、下の子も連れてくれておったのに困惑させてしまってのう」
エビスじいちゃん「でも良かった!いろんな店にいって仕入れてきたんじゃ!」
日葵「チョコとかキャンディーとかおいしそうなお菓子が売られているね」
翔吉「でも父ちゃんが言ってたけどまだまだこれでも足りないみたいだよ」
翔吉「先生はどうなの?」
大人の目線から丹下先生はどのような反応をするのだろうか。
丹下先生「言いそびれていましたがAOZORAのほうのオリーブで店長をされましたよね?」
エビスじいちゃん「そうです」
店内の話をする前に「オリーブ」の店長時代の話をした。
丹下先生「私もAOZORAのオリーブで買い物してまして多くのお客さんから支持されていることを知っています。」
丹下先生「常連として私も店長のことが好きでした。」
エビスじいちゃん「おお!それはどうも!どうも!」
丹下先生も店長時代のエビスじいちゃんのことを知る人物であり、
また翔吉の父が「オリーブ」の従業員であることも知っている。
丹下先生「元オリーブの店長としても品揃えについてはまだ満足ではないはずですよね?」
プロの目線を交えつつ大人の目線からも改善の余地があるとの評価である。
学校の先生をしているそうだがこういった小売業の知識やそれに携わった経験はおそらくないかもしれない。
小売業そのものに携わっている翔吉の父の目線と翔吉たちの会話で得た情報を元に下した評価だろう。
エビスじいちゃん「はい…そうですね」
丹下先生「翔吉たちが喜んでいるのを見るに反省を活かして改善していることはとても素晴らしいことだと思います。」
丹下先生「お客さんの要望を聞くのは大事ですからね」
これが丹下先生の率直な感想だ。
翔吉たちの喜んでいる反応を見れば上手くいっていることがわかる。
小売業の前線に立つ翔吉の父も子どもをターゲットにしていてこの部分については及第点であると評価してくれた。
前回の反省がありそれを改善しちゃんと子どもたちの期待に応えたからこそ評価に繋がっているのである。
反省を踏まえたフィードバックと消費者ニーズに応えることはどの業界も基本となる。
丹下先生なら教員として子どもたちに寄り添った意見を出してくれるはずだ。
しかし丹下先生の意見はもっともだが、消費者ニーズに全て応えることの難しさもある。
エビスじいちゃん「翔吉君が飲み物は売っていないか?って言ってきてな」
エビスじいちゃん「飲み物を売ろうと思ってショーケースとか考えたんじゃが」
エビスじいちゃん「スペースとかコストとかの問題で断念してしまったんじゃ」
そしてエビスじいちゃんは丹下先生に向けてこう言った。
エビスじいちゃん「子どもの意見を全て受け入れるのは難しい部分もあります。」
翔吉「でも颯太兄ちゃんは飲み物売ってるって言ってたよ」
和河也「けど飲み物売ってないよ?」
店内を見回しても飲み物がどこに売っているのかわからない。
エビスじいちゃん「うちの冷蔵庫で冷やしておる」
エビスじいちゃん「1本50円じゃが飲むか?」
翔吉「飲む!飲む!」
するとエビスじいちゃんは丹下先生に視線を合わせる。
丹下先生は苦笑いする。
丹下先生「わかりました」
エビスじいちゃん「まいど」
お菓子を買うか買わないか迷ったがそれ以外で飲み物を奢ることになってしまった丹下先生。
この流れで拒否する選択をするのは難しい。
さりげなく飲み物の提供の話へ持っていき買わされる羽目になった。
商売人としてのしたたかさを感じた。
エビスじいちゃん「え~一人1缶の計算なので六人で合計300円となります」
飲み物代は丹下先生を入れて合計300円になった。
自分はいりませんと言えるわけもなく了承してしまった。
このままではお菓子も買う羽目になってしまいそうだ。
これは駄菓子屋の未来の投資だと思えば痛い出費では全然ない。
冷蔵庫から何種類かの飲み物を持って来て翔吉たちにそれを見せた。
160mlのミニ缶ジュースでこれを1缶50円で売るそうだ。
エビスじいちゃん「今はうちの冷蔵庫で冷やしておりますがここに小さな冷蔵庫を置いてそれで冷やす予定です」
丹下先生「なるほどですね」
飲み物の売り方の方針を話し、160mlのミニ缶ジュースを50円で提供し
スペースを圧迫しない小型のワンボックスタイプの冷蔵庫で売るということだ。
きっと翔吉が思っていった飲み物の売り方ではないだろう。
翔吉たちの反応はどうだろうか。
慎吾「1缶50円なら安いんじゃないか?」
翔吉「けど小さいから物足りないかな?」
和河也「夏になったらもっと欲しくなるよね」
安いけど物足りないのが翔吉たちの意見だ。
和河也の言うように夏などの熱い時期にもなれば汗をかくのでミニ缶ジュースではもの足りないだろう。
エビスじいちゃん「一人1缶までとは決まってないからのう」
エビスじいちゃん「在庫次第じゃがいくらでも買ってよいぞ」
丹下先生「しかし今回は一人1缶とさせていただきます」
翔吉「え~」
エビスじいちゃん「ありゃりゃ、惜しかったのう~ふふ」
ミニ缶ジュース7缶以上を目指して売り上げを伸ばそうとしていてこれまた自然な流れだったので流石商売人だ。
しかし今回は財布を握っている丹下先生により一人1缶までとなってしまった。
確かにミニ缶ジュースは一人1缶までとは決まりはないので物足りなければ追加でもう1缶買ってもいい。
1缶50円なら安いため子どもでも手頃な価格である。
何よりも難しかったとされた飲み物の販売をしてくれたのは嬉しい。
チラシの内容と店内の様子を交互に見ながら丹下先生も意見を出した。
丹下先生「私個人の意見ですが、冷蔵庫を買うのでしたらお客さんがみて飲み物が売られているのがわかるように」
丹下先生「中身が見えるような透明なものみたいなケースがいいかと思います。」
エビスじいちゃん「あ~なるほど小型のショーケースですか!」
丹下先生「はい、それです」
エビスじいちゃん「ありがとうございます!検討しておきます!」
冷えた飲み物を店内に見えるように配置するのが丹下先生の提案である。
つまり小型のショーケースである。
小型のワンボックスタイプの冷蔵庫を置く予定であるが
その冷蔵庫は一般的な家庭用のもので開けないと中身がわからないものを想像している。
スペースを大きく取らないショーケースも存在するため、中身がわかるそちらを置くことを検討した。
予算の都合と理貴と相談してから小型のショーケースの購入に進めていきたい。
エビスじいちゃん「颯太君も桜林小学校の生徒であってるかのう?」
翔吉「うんそうだよ」
丹下先生「はい。私も彼の担任をしていたので。彼は6年生です。」
エビスじいちゃん「そうでしたか~ありがとうございます。」
話を聞いて颯太が桜林小学校の生徒で合っているかという不安が解消された。
過去に丹下先生は颯太の担任をしており、この前颯太が連れてきた友達の樹、莉久、直紀のことも当然知っているだろし
各学年1組しかいないため必然的に彼らの担任をしているはずなのでなんなら彼らをよく知る理解者として遜色ない。



ここからようやく本題に入り、チラシの内容とデザインについて言及される。
チラシの内容を読むことによって駄菓子屋エビスでやりたいことがわかるようになってくる。
丹下先生「お茶会に月額会員ですか…なるほど」
楓「お茶会か…」
楓と日葵はエビスじいちゃんの家でお茶を飲んで会話していた時のことを思い出し納得する。
日葵「エビスじいちゃんは子どもたちとお茶を飲んでお話がしたいんですね」
エビスじいちゃん「その通りじゃ」
エビスじいちゃん「何度も通えて親しみのある駄菓子屋にしたいんじゃ」
エビスじいちゃん「じゃけど、子どもたちはあまりお金がないことは知っておる。」
丹下先生「だから月額制を導入しようとお考えなのですね。」
子どもたちのお金の事情はエビスじいちゃん自身も知っていてお金がないと何度も駄菓子屋に通えなくなってしまうため
その対策としてお菓子を毎日買わなくても済むように月額会員を考えているのである。
会員費も300円と安いので子どもでもお小遣いの範囲で納まるだろう。
お茶を飲んでゆっくりできるだけじゃなくおもちゃを店内に置いて自由に遊ぶことができたり
イベントやゲームに参加して景品をゲットできたりなどの楽しい企画も考えているそうだ。
以上のことが300円で受けられるサービスなら子どもたちも満足できるはずの内容だ。
丹下先生「現金での支払いになるとは思われますが」
丹下先生「どのように会員であるかそうではないか区別するのですか?」
エビスじいちゃん「あ!えっとそれは考えてませんでしたね…」
丹下先生の質問はかなり重要なことで会員費の支払いをした人つまりは会員であるか
会員ではないかそれを区別する場合はどう対処するかについてである。
それに対してエビスじいちゃんは何も考えていないそうだ。
和河也「覚えてくれたらいいんだけど」
翔吉「俺のこと覚えているか怪しかったみたいだし…」
エビスじいちゃんはちょっと縮こまりながら苦笑いする。
楓「けど増えてきたら覚えきれなくなっちゃうかもしれないから区別できるものは必要かもね」
会員人数が増えていくと顔で覚えるのは大変になってくるだろう。
記憶力に乏しいエビスじいちゃんなら尚更であり会員だと区別できるものがほしい。
どうすればいいかだがすぐに和河也が提案してくれた。
和河也「チケットみたいなのはどうですか?」
エビスじいちゃん「なるほどチケットか!ありじゃな!」
慎吾「ワカらしくていい考えだな」
慎吾がそう言うのも和河也はゲームや漫画が好きなためチケットはそのアイテムのような着想を得て考えたのだろう。
エビスじいちゃんの反応に呼応して概ねみんな賛同している。
仮に会員チケットと名付けその会員チケットの有効期限についても考える。
丹下先生「定期購入よりかは有効期限付きの買い切りになるでしょうが」
丹下先生「有効期限は購入したその月の月末までになるということでいいんでしょうか?」
エビスじいちゃん「そうなりますね」
エビスじいちゃん「会員チケットはその月の月末までが期限となりますので来月また会員チケットを買うことになるのかと…」
和河也「今11月だから30日までになるね」
具体的に11月に購入した会員チケットは11月30日までが有効で12月も会員になる場合は12月の会員チケットを買うことになる。
どうやって運用するかはエビスじいちゃん次第だが、例えば「20〇〇年××月分会員チケット」みたいな形式で販売すると予想される。
日葵「もし途中で会員チケットをなくした場合は?」
エビスじいちゃん「う〜んそうなった場合はまた購入になってしまうかのう…」
会員チケットを紛失した場合の対処だが見つからなければ失効されるため再度購入しなければいけなくなるようだ。
会員チケットをなくしてしまっても300円だから大したことはないかもしれないが子どもたちにとって痛手になってしまうだろう。
会員チケットを紛失した時の痛手を配慮するエビスじいちゃん。
エビスじいちゃん「じゃが子どもたちにとってはどうかのう?」
丹下先生「どういった方針にするかは運営者である店長に委ねますが」
丹下先生「ルールや規則を守ることはこれからの子どもたちのために大事なことなのだと思います。」
丹下先生「紛失してしまったのは本人の責任、毅然と振る舞い再度チケットを購入させるのがよいと思われます。」
教育者らしい丹下先生の意見であり、子どもたちの責任力向上のためこの会員チケットは一役買いそうである。
また駄菓子屋の売上にも貢献できる側面もある。
しかし不本意に会員チケットを失くしてしまった子どもにとっては不快感を与えてしまいかねないので
子どもの憩いの場とする駄菓子屋のコンセプトの意に反する恐れがあるかもしれない。
エビスじいちゃんに「おぬしらはそれでいいかのう?」
エビスじいちゃんは翔吉たちの方を向いて悩み込む。
翔吉「う…う〜ん」
言葉にできず沈黙してしまう翔吉たち。
エビスじいちゃんの考えた方針に従うべきであるがそれだと窮屈な駄菓子屋というイメージがついてしまいそうだ。
悩めるエビスじいちゃんたちに丹下先生がまた案を出してくれた。
丹下先生「でしたら表を作成して会員リストにするのはどうでしょうか?」
エビスじいちゃん「お!リストですか!それもいいかもしれませんね!」
丹下先生は生徒の出席簿を取っているのできっとそれと同じようなイメージで出した案なのだろう。
エビスじいちゃんも名前を忘れないように来客者名簿なるものを書いて持っているのでその案についても受け入れやすく
これをリスト化して例えば会員になった人は氏名をフルネームで書くようにすれば管理しやすく負担も軽減できる。
チケットよりもメリットを大きく感じたエビスじいちゃんは会員リストの方を採用した。
エビスじいちゃん「失くす心配を考えたらチケットよりもこちらでリストにして管理した方がいいかもしれんな」
エビスじいちゃん「それでいいかのうおぬしら?」
和河也「それでいいと思います。」
楓「チケットを失くしちゃう心配はなくなるわね」
丹下先生「とても子どもたちに寄り沿った考えだと思います」
エビスじいちゃん「いえいえ!先生がお考えした案なので、ありがとうございます!」
会員リストの案を考えたのは丹下先生なのでお礼を言うのはエビスじいちゃんの方である。
とても教員らしい子どもに寄り添ったアイデアである。
慎吾「翔吉は絶対にチケット失くしちゃいそうだし、エビスじいちゃんにリストで管理してもらおう」
翔吉は慎吾の発言に気まずい感じで軽く会釈した。
翔吉「はい…失くす自信しかありません…」
翔吉の言葉に丹下先生は深く溜息をして呆れている。
丹下先生「はあ~まったく翔吉はそれでいいのか~?」
エビスじいちゃん「翔吉君だけチケットにしますか~?」
丹下先生「いいですね~翔吉のお父さんにも話しておきます~」
翔吉「なんで~」
店内に笑い声が響き賑やかになっていく。
エビスじいちゃんは同調して翔吉のことをからかっているが丹下先生は教師として翔吉の成長を促している。
月額会員についてはリストでエビスじいちゃんが管理することになった。



そしてチラシのデザインについてだ。
タイトルロゴについては好評である。
エビスじいちゃんは店内に置いてある全てのチラシを持ってきた。
渡されたチラシとは違い、文字が白抜きされている。
まだ色塗り作業が途中であることを明かした。
エビスじいちゃん「デザインはこれでいいのじゃったり、わがまま言って悪いんじゃが色塗りの作業とか手伝ってくれんか?」
丹下先生「みんなは駄菓子屋のチラシのデザインはこれでいいかな?」
慎吾「これでいいのかな、内容も大体理解できたし」
翔吉「俺もこれでいいかなって思います」
日葵「私は絵があったらいいかなと思います。」
楓「字だけだとね…もっと魅力的なものにしたいです。」
子どもたちの意見が分かれているようである。
エビスじいちゃん「絵かのう…実はわし絵は得じゃないんじゃよな」
内容については纏まってきているがデザインについては未だ悩みどころだ。
エビスじいちゃん自身絵は得意ではないみたいである。
丹下先生「ではこれはどうですか?」
ここでも丹下先生が案を出してくれるようだが、その案に期待である。

続く

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