第19話 いいアイデア
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浜田家の来店によって新たな課題が見つかる。
いかに子どもたちにお菓子を適正な価格を提供し何度も来店できるような仕組み作りをしていくかが課題となる。
昨晩から理貴といいアイデアはないか考えるエビスじいちゃんだが何も浮かんでこない。
そして明日、苦悩の最中予期せぬ救いの手が訪れる。
玉井の息子である颯太が友達を連れて来店してきたのだ。
玉井の計らいではあるが颯太も友達も協力する姿勢を見せる。
それから店内で提供されているお菓子は価格は高いのか安いのか
実際に颯太たちに見せて子どもたちの生の声を聞くことにしたが一体どのような意見が飛び交うのだろうか。
じっくりとカラーボックスに陳列されているお菓子の価格を眺める颯太たち。
彼らの姿を見てエビスじいちゃんは固唾を呑む。
家庭の経済事情で人それぞれ見方や意見は様々だが子どもたちの視点から見た意見が大事である。
緊張が漂いちょっと重い空気が店内に広がりそうになったところでまず颯太が口を開いた。
颯太「う〜ん下手に安くしても商売にならないと思うからこのままでいいと思いますけどね」
エビスじいちゃん「お主もやっぱりそうか…安くしたら利益にならんじゃろうな」
流石「オリーブ」の現店長である玉井の息子、経営者の目線で見ているかのように物事を理解している。
価格設定について理貴と長時間悩んでいたが、解決までの道のりに颯太も一緒に歩み寄ってくれそうだ。
さらに颯太の友達が後ろからついてくるような形で。
樹「俺は全然高くないと思いますよ。」
莉久「高くても200円ぐらいだし、120円とか150円は普通にこの値段で売ってますよ。」
樹と莉久もここのお菓子の価格は高くないとフォローしてくれた。
彼らもいろいろなお店を寄っていろんな商品やその価格を見てきている。
120円ぐらいが平均額だが颯太たちの基準から見て許容できる金額かもしれない。
直紀「颯太に連れられてお菓子を奢ってもらうために来たんすけどね」
直紀「高いとか安いとかよりお金がなきゃどうしようもないんだよな」
直紀「莉久と樹は金持ってるのか?」
莉久「いや…ない、部屋の机の中をあされば小銭は出てくると思うけどきついな…」
樹「俺も…」
最高学年である6年生でさえもお金の面で苦労しているのだと彼らの会話からそれがうかがえる。
今お金を持っているのは颯太だけで所持金は1000円であり2回目に来店した翔吉と同じような状況だ。
彼らが言うにはお金がないから買えないと主張しており結局お小遣いの問題が起因している。
この子どもたちのお小遣いの問題はこちらがどう施しても解決できない問題なのかもしれない。
玉井が息子にお小遣いを1000円しか渡さないことに対して
エビスじいちゃんは文句を行ってしまったがあちらにも経済事情やいろんな理由があると思うのでとやかく言ってはいけないだろう。
だが彼らの意見を聞くと理貴の言った通りであった。
客はある程度まとまったお金を所持してから来店してくると。
直紀たちは颯太がお金を所持していているためこうして来店してくれたのだ。
直紀たちは実際にこの駄菓子屋エビスに来店してきたことに対してどのような心境か聞いてみる。
特にこの駄菓子屋はまだ認知されていないため周りからは得体のしれない未知数なお店だと思われているはずである。
エビスじいちゃん「どうじゃ?店は?率直な感想を聞きたいのう…」
直紀「駄菓子屋だからお菓子が売っているってイメージしかないですね。今のところは」
樹「颯太から事情は聞いていますよ。」
直紀「俺らの桜林小の生徒向けなのかな?近くにあるから。」
彼らが通う桜林小学校の通学区域にこの駄菓子屋エビスがあるため
その利便性から樹が自分たちが対象であるという意見は妥当かもしれない。
事情は颯太から聞いているが駄菓子屋だからお菓子が売っているのは全員共通の認識である。
颯太にお菓子を奢ってもらえるが、次は仮にそれなしでここに来た時お菓子を買わなければいけないという心理は働いているのが伺ってみる。
エビスじいちゃん「颯太君にお菓子を奢ってもらえるそうじゃが」
エビスじいちゃん「またここに来たときはお菓子は買わなければいけないかな〜って気持ちとかって出ておるかのう?」
莉久「買わなかったら怒っちゃうんすか?」
エビスじいちゃん「いや〜そこまではせんがこっちとしては寂しいかのう〜」
エビスじいちゃん(あ!いっちまった!)
莉久の買わなかったら怒ってしまうのかの懸念に対しエビスじいちゃんはそんなことはなく買わなかったら寂しいとつい本音を漏らしてしまった。
颯太「あ〜そっかなるほど、まあ確かにそういっちゃうと買わなければいけない気持ちが湧いちゃうかもしれませんね」
樹「そういうことか〜」
駄菓子屋に来たらお菓子を買ってほしいというエビスじいちゃんの思いが伝わりそれが買わなければいけない心理を働かせているのかもしれない。
エビスじいちゃん「この駄菓子屋は小さいからどうしても客との距離が縮まってしまうんじゃよ」
樹「オリーブでもものすごくゴリ推してましたね」
樹「でもこうしていっぱい話すことはありませんでしたね」
エビスじいちゃん「わしもじゃ」
「オリーブ」の社員時代のエビスじいちゃんを知っている樹は颯太と並ぶ理解者かもしれない。
子どもたちとこうして会話しているのが嬉しくてたまらないエビスじいちゃんであるがどこか申し訳無さも感じている。
エビスじいちゃん「いやすまんのしつこく話しちゃって」
颯太「そういう駄菓子屋を目指しているんですよね。」
エビスじいちゃん「うむ、颯太くん友達にお菓子を奢るそうじゃがそれより飲み物にせんか?」
エビスじいちゃん「喋っていたし喉乾いておるじゃろ?」
友達にお菓子を奢る颯太にエビスじいちゃんはお菓子の代わりに飲み物を奢ることを提案する。
颯太「あ〜ありがとうございます。」
エビスじいちゃんの提案に従った颯太であるが喉が渇いていたのは本当だったため内心都合がいいと感じている。
この前のようにお茶を提供するのだと颯太は思っていた。
エビスじいちゃん「なにが飲みたい?1缶50円じゃ」
颯太「え!?飲み物売ってるんすか?」
前に父と行ったときは飲み物は提供していなかった。
冷蔵ショーケースの件で保留するというのを聞いていて颯太はそれを覚えている。
颯太「気にしてはいたみたいですが、もう飲み物を売るって決めたんですか?」
颯太「それに肝心の冷やすものがここにはないですけど」
飲み物はまだ売らない方針であったはずだがなぜ飲み物を売る方針に舵を切ったのか颯太はエビスじいちゃんに聞いた。
さらに冷蔵ショーケースの有無についても言及した。
エビスじいちゃん「安く大量に仕入れるところを見つけての、飲み物をちょうど手頃そうなものが売ってたんじゃ」
エビスじいちゃん「今持ってくるからちょっと待っててくれ」
家に戻って台所の冷蔵庫から何種類かミニ缶ジュースを両腕でいっぱい持ち込んだ。
店内に入ったエビスじいちゃんは畳に上がって腰を下ろして持ってきたミニ缶ジュースを颯太たちに見せた。
エビスじいちゃん「ほれこんな感じのを1缶50円で売ろうと思っているんじゃ」
エビスじいちゃん「ヤスモリっていう安く売っているスーパーを見つけたんじゃよ」
エビスじいちゃん「最近オープンしたばかりと聞いておる。」
直紀「ヤスモリか〜あそこですね。先月家族と見に行きましたよ。」
莉久「へえ〜そんなのがあるんだ。」
新しい仕入先として見つけたディスカウントスーパーの「ヤスモリ」のことを話したが
その店を知っている子もいれば知らない子もいるみたいだ。
知らない子もいたことから隼人から指摘された懸念も払拭できそうだ。
後はこれをただ単に売るのではなく子どもたちに付加価値を与える何かを見出していきたいところだ。
エビスじいちゃん「颯太君やい、このミニ缶ジュース50円一人1缶で4人合わせて200円で手を打たんか?」
お菓子の代わりに飲み物を買わせようとしているがエビスじいちゃんの意図が読めない颯太。
しかしエビスじいちゃんは真剣そうな表情だった。
手元に持っている1000円は父から小遣いで頂いたものであり
自分だけでは心細いので友達を連れてついでにお菓子を奢ろうと自らそうしたことであり
この1000円はないものだと考えていたが
エビスじいちゃんの提案はおつりでお金がで手元に残るので魅力的であると感じている。
颯太「安く済みそうですがそれでいいんすか?」
エビスじいちゃん「お菓子の値段はこれでいいと言ってくれたのは嬉しいんじゃが」
エビスじいちゃん「やっぱりおぬしらはゲームとかおもちゃとか欲しいんじゃろ?特に颯太くんは」
颯太の気持ちに寄り添いエビスじいちゃんは語りかける。
颯太「あ…そうっすね」
樹「俺らもゲームとかは好きですし欲しいっすよ」
駄菓子屋のことを考えてくれているが彼らはゲームとかおもちゃやその他の娯楽にお金を使いたいようだ。
なぜエビスじいちゃんがお菓子の代わりに飲み物にして安く提供しようとしているのか颯太は理解した。
一方でエビスじいちゃんは子どもたちが欲しいゲームやおもちゃにお金を使いたいのが本音であることに気づいた。
聡太たちが来るまでの間、エビスじいちゃんは茶の間でアニメを見てくつろいでいたが
そのアニメを見てさらにテレビのコマーシャルでおもちゃやゲームの宣伝を見てそれが魅力的に見えてしまわれたのか
きっと子どもたちはゲームとかおもちゃが欲しいのではないかとエビスじいちゃんは思ってしまったのだろう。
お小遣いに限界がある子どもたちはお金をゲームやおもちゃの方に使うはずだと。
お菓子ももちろん好きだろうが二次的か三次的かそれ以下の位置づけになってしまうだろう。
そこまでお菓子にお金を使えないことから売る側であるエビスじいちゃんは価格が高いのではないかと心配になってしまうのだ。
隼人の祖母が言っていた指摘もそれが由来になっているはずだ。
颯太「う〜んどうする?」
ちょっと気まずい雰囲気になりそうなのでまた颯太は友達に振ってみた。
直紀「俺らは今回奢ってもらう方だから悩んではいないんだけど」
直紀「颯太がお金あまり使いたくなければ言う事聞いちゃえば?」
颯太「なんだかそれじゃ申し訳ないな」
颯太「もうこの1000円使う気でいたから」
エビスじいちゃん「お〜颯太君気前がいいな〜いい友達持ったなおぬしら〜」
樹「サンキュー颯太!お菓子買ってもらおうぜ〜」
エビスじいちゃんは真剣な表情からころっと表情が柔らかくなり笑みを浮かべる。
あれは本音だったのか策略だったかのかわからないがエビスじいちゃんにまんまとはめられてしまった。
颯太は目をぎゅっと閉じてため息をついた。
父から言われたがエビスじいちゃんは商売上手だと聞いている。
きっとこれも何かご縁で何か自分の身に何かいいことが起きると思い、ここはぐっと堪えて友達にお菓子と飲み物を奢ることにした。
飲み物200円プラス、800円で友達にお菓子を奢った。
前回とは違った中身が濃く有意義のある売上1000円となるのであった。
エビスじいちゃん「お前の親父に伝えておくからの〜」
颯太「はい、前に父が店長の好きなようにやったほうがいいと言ってましたね。」
エビスじいちゃん「うむ!好きなようやるぞい!じゃから妥協したくないんじゃ」
エビスじいちゃん「じゃからおぬしらにこの駄菓子屋がもっと魅力的になるいいアイデアをわしは欲しいんじゃ!」
ようやくこれから駄菓子屋エビスの今後に向けていいアイデアはないか話し合うことになる。
先に樹がアイデアを出してくれた。
樹「あ!だったらゲームとかおもちゃとか売ってみたらどうですか?」
莉久「いいんじゃない!それ!」
エビスじいちゃん「ゲームとおもちゃか」
ゲームとおもちゃが子どもたちの一番とする趣味だと気づいているエビスじいちゃんに樹はそれらを売ることを提案する。
お菓子よりもゲームとかおもちゃの方がいいのではないかと言ってたし、駄菓子経営も妥協なしで好きなように思いきってやってみるのもいいかもしれない。
桜林小学校の生徒たちにゲームとおもちゃが買えるようになればこの駄菓子はさらに大きな強みを得て大きな発展になるかもしれない。
駄菓子屋で売れるかどうかわからないが少なくとも颯太たちには需要があり彼らがこの駄菓子屋を広めてくれるはずだ。
品質管理はもちろんしなければいけないが食品ではないため衛生管理は気を配らなくてよいだろう。
魅力的な提案ではあるがゲームはお菓子よりも価格が倍以上するし仕入れコストも高くなってしまう。
エビスじいちゃん「う〜んゲームは高いから今は無理じゃのう〜」
樹「ゲームはちょっと無理っすよね…」
エビスじいちゃん「でもいいアイデアじゃから検討はしておくぞい。」
エビスじいちゃん「おもちゃならいいかもしれんぞ!それは採用しておきたい」
ゲームは見送る一方でおもちゃを売ることには賛成しているみたいだ。
おもちゃもゲームと同じくらい価格は幅広いが身近なものでは比較的安いものが売られているため仕入れコストも安く抑えられるはずだ。
おもちゃなら遊び道具として使えるため壊れない限りは、お菓子のように食べたらそれっきりにもならない。
そのためお菓子以上の価値を得られる可能性がある。
樹「そうだ!おもちゃを置いて自由に遊べるようにしちゃったほうがいいんじゃない?」
さらに樹がいいアイデアを出してくれた。
エビスじいちゃん「それありじゃな!」
おもちゃを置いて子どもたちが自由に遊べるようにするのはとてもいいアイデアである。
お茶会と組み合わせれば子どもたちに充実した憩いの場を提供できるはずだ。
颯太「自由に遊べるのはいいけど店側は利益出したいんじゃない?」
エビスじいちゃん「うむ、いいアイデアじゃが颯太君の言う通りこちらとしては利益も出したいのう」
魅力的なアイデアが出たが経営者の目線で見てくれる颯太もありがたい。
莉久「じゃあ祭りとかで見かける、輪投げとか射的とかの遊びを1回10円とかで出してみたらどうですか?」
直紀「それを景品でお菓子を出すってのもいいと思いますよ」
エビスじいちゃん「お!!それいいかもしれん!」
莉久のアイデアに直紀が付け足す形で出された案だがこれもとてもいいアイデアある。
祭りのようにお金を支払って遊びを提供するサービスは利益に繋がるし
景品としてお菓子を出せば子どもたちも喜んでくれるはずである。
これらのアイデアは駄菓子屋エビスのコンセプトに合うかもしれい。
そしてエビスじいちゃんも子どもたちのアイデアに触発され良い考えが浮かんできた。
エビスじいちゃん「そうじゃ!そうじゃ!わしもいいアイデアが浮かんだぞい」
エビスじいちゃんは店内に売られているお菓子をあさって何かを探している。
エビスじいちゃんはあるお菓子の袋を取り出し中身を開けた。
袋を開けたお菓子はフルーツキャンディである。
いいアイデアが浮かんだエビスじいちゃんだが、フルーツキャンディの袋を開けて何を考えているのだろうか。
袋の中の1個飴を取り出したエビスじいちゃん。
エビスじいちゃん「これを1個10円ぐらいで売ろうと思うのじゃ」
エビスじいちゃん「おぬしらの言った遊びの景品として出してみるのもありじゃ」
思いついたのはお菓子の中身をすべて取り出してそれを1つずつ売ってお菓子の単価を下げる考えであった。
フルーツキャンディはいろんな種類の味があり20個入って価格は180円である。
これを1個10円で売ってすべて売れれば200円になるので単純に20円の利益になる。
そこに子どもたちの案も組み合わせて遊びの景品として提供すれば利益も出しつつ子どもたちにも満足できるサービスになるかもしれない。
話が煮詰まったところで颯太たちは購入したお菓子と飲み物を持って駄菓子屋を後にする。
エビスじいちゃん「次来たときはいい感じに仕上げておくからのう」
エビスじいちゃん「今日はありがとう!」
直紀「はい!楽しみにしてますよ!」
樹「また来ます!」
莉久「今度はお金を持って、ちゃんと買いに行きますね。」
颯太「父によろしく伝えておきます。」
エビスじいちゃんは手を振って颯太たちの帰る姿を見送った。
午後の15時、オリーブにて理貴は仕事を終わらせてシフトの後(15時〜23時)の従業員と交代し更衣室で帰宅する準備をしていた。
店長である玉井もシフトが理貴と同じ前(7時〜15時)のため更衣室にいる。
理貴「玉井店長ちょっといいですか?」
玉井「いいよ、聞くよ」
更衣室のベンチに腰掛けた理貴と玉井。
今ならと思い、理貴は玉井に駄菓子屋エビスの現状について話した。
お茶会を初めて飲み物を提供する旨と、子どもが何度も来店できるような仕組みが課題になっていることも伝えた。
玉井「なるほど安く仕入れる店を見つけてそこで飲み物を提供するきっかけになったんだね。」
理貴「ワンボックスの冷蔵庫でミニ缶ジュースを冷やして1缶50円で提供しようと思っています。」
玉井「ショーケースより安くなるからいい考えだね。」
玉井「お茶会を駄菓子屋でやるのも面白いね」
玉井「星川店長の魅力に惹かれて子どものお客さんだけじゃなくて」
玉井「大人のお客さんも来ていずれは常連もできるんじゃないかな」
腕を組んで上を向き玉井は店長時代のエビスじいちゃんを重ね合わせてお茶会で客を喜ばせ盛り上げている姿を思い浮かべる。
コクコクと感慨深く頷きながら次のエビスじいちゃんの駄菓子屋に行くのを楽しみにしていた。
玉井「品質管理も必要だけどお茶会をするならお客さんに快適な環境作りも必要だね」
理貴「はいまずは空調管理ということでエアコンの設置も考えているんです。」
理貴「あそこはもともとエアコンなかったんで」
理貴「なのでボーナス期待しています!」
手と手と合わせて擦り、理貴は星に願いをするように目を輝かせてその視線を玉井に送る。
来月のボーナスをエアコンの購入に企てているようだ。
給料交渉みたいなことなのだろうか、玉井は苦笑いした。
玉井「こっちの一存で決められないけど仕事頑張っているし話だけでもしておくよ。」
理貴「ありがとうございます店長!」
店長の玉井は理貴の仕事ぶりを見て社に給料の交渉をするそうである。
玉井「こっちも星川店長を応援する立場としていろいろサポートしていきたいからね」
給料交渉は資金面での補助に繋がるためエビスじいちゃんの恩返しも兼ね玉井はサポートのしがいがあると感じている。
心置きなく理貴は駄菓子屋の新たな課題に対する悩みを打ち解けた。
理貴「来店してきたお客さんがお菓子を買わなきゃいけないって心理を払拭していきたいと思いまして」
理貴「お茶会で無料でお茶が飲めれるようなサービスを提供しようと考えているんですよ」
玉井「じゃあそこでも利益を出したいということなんだね」
理貴「はいその通りでございます。」
理貴「それで今は行き詰まっている感じなんです。」
アドバイスが欲しいそうだが玉井はこんな事もあろうかと先手を売っていた。
玉井「実はね息子にお小遣い1000円渡して星川店長の駄菓子屋を助けてやれって言っておいたから」
玉井「颯太が何かいい案を出してくれていたらいいんだけどね」
理貴「え!?本当ですか!ありがとうございます!」
息子頼みではあるが玉井は助け舟を出していたみたいである。
何かしらいい知らせがあったらと期待しながら帰宅しようとした一人の男が更衣室に入ってきた。
「オリーブ」の従業員の磯島で同じく理貴と玉井と同じ今日のシフトは前である。
磯島は20代の若い男性で理貴より年下である。
磯島「お疲れ様でーす!」
理貴と玉井「お疲れ様です」
磯島は自分のロッカーを開けてユニフォームを脱いだがその姿を見て玉井は彼に声をかけた。
玉井「磯島君結構体つきがよくなっているのね、ちょっと太っていたから見違えたね!」
玉井「彼女でもできたのかな?」
からかいながらも玉井は磯島の変化に気づいているようだ。
磯島「そんな感じですかね」
磯島「体力づくりのためにジムに通っているんです。やっぱりこの仕事は体力使うんで」
磯島「ちょうどチラシ持っているんで店長も星川さんもやってみてはどうですか?」
スポーツジムのチラシを二人に渡した磯島。
そのチラシを一通り目を通し、理貴はチラシに記されている月会費を見て閃く
理貴「これだーー!ありがとう!磯島!店長お先に失礼します!」
磯島が見せたスポーツジムのチラシから何かヒントを得た理貴だがこの閃きが駄菓子屋エビスにどのような発展をもたらすのだろうか。
続く